村の厄災事に追い出された1人の少年
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崩落した崖をドラゴン形態のソフィさんの背中に乗って先へ進むこと出来たので、俺たちは先へと進んでいると、薄汚れた服を着て体育座りをして顔を埋めていた白い髪の子供がいた。
薄汚れているし、放っておくと返って気になってしまう。
「あの…………。大丈夫?」
体格的にも比較的に近く親しみやすいという理由でスズカにお任せすることにしたのはいいが、子供は顔を伏せたまま。
「喉乾いたとか? お腹が減ったとか?」
スズカは困惑しながら四次元麻袋の中から、竹のようなもので作った水筒をとりだしたり、普通の麻袋からパンを取り出したりとしていると、どれに反応したかは不明だが勢いよく顔を上げた。
整った顔立ちをした子供。白い眉毛に、睫毛[まつげ]、赤い瞳をしていた。アルビノと呼ばれる子供ようだ。スズカは、水筒とパンを渡せば、うれしそうな笑顔を浮かべた後、がっつくように食べ始めた。途中でむせ始めたので背中を軽く叩いてあげれば嬉しそうな顔をして頭を下げた。
「えっと、落ち着いた?」
スズカがそういえば子供は頷いてから水筒の中身が空になるまで飲み干したのち
「ありがとうお姉さんたち! あのね、あのね。僕、こういう見た目だから嫌われていて。でも、村長とかは優しいんだけど、3日前に起きた厄災が原因で、僕、何もしていないのに追い出されて…………。それで…………」
見た目は子供なのに声が渋いことに俺たちは内心、驚きつつも少年の話を聞き終えた。要するに、厄災のためにこの少年をこんな道に捨てたのだろう。3日前に捨てられたというのならば、ひ弱そうな子供は殺されてもおかしくないのだが、じっくり観察をする限り服は薄汚れているだけで、身体に傷一つ無いことに不思議そうに見ていたのを感じ取ったらしい少年は
「僕、魔法とか得意で、襲ってくる、モンスターをバッタバッタ倒しているんだ。でも、その代わりなんだけど、剣術とかはダメダメなんだ。それにお腹もすいちゃって、体力もないから座り込んでいたんだ。この3日間に何人か、東の街へ行く人が何人か訪れたけど、僕には目もくれなかったよ。だから、僕はとっても嬉しい! 水に食べ物まで! 僕は感謝しかないよ!!」
と興奮しながらも俺たちに向かって感謝を述べた。
「僕も1人前の大人だし気を付けないと」
「大人なんだ…………」
少年の言葉にドロシーがそういえば、何を思ったのか首を傾げたのち両手を軽く叩いてから
「なるほど。そういうことか。僕は見た目は少年期ぐらいなんだけど、身長がこれ以上伸びなくて、この身長のままなんだよ。あと20cmぐらいはほしかったんだけどなぁ…………」
少年。基、青年は、がくりと項垂れた。
彼の名前はレグルスと名乗った。
「レグルスくん…………いや、さんか?」
「ん? 愛称を考えているのかい? それなら不要だよ。呼び捨てでそのままレグルスと言ってくれていいよ。かたっ苦しいのは苦手なんだ」
俺の言葉にレグルスはそう言った。そういうことならかたっ苦しくないようにしてあげないとな。
「んじゃ、レグルス。1つ訊いていいか? あんたが3日前に住んでいた村の厄災ってなんだ?」
逆に乱暴すぎるような口調だったのかもしれないな。スズカとカズキが俺の脇腹の肉をつねったからな。
「いっ!?」
「い?」
「いや、何でもない」
「? そうかい? ならいいけど。厄災というのはね、まぁ、大したことじゃないんだ。ただ植物が育たないってだけだよ」
未だに俺の脇腹の肉をつついたりつねったりの繰り返しをしながら、レグルスはそういえば、スズカとカズキは、それをやめてから
「へ? 人が死んだりとかじゃないの?」
とスズカが言えば、レグルスは少しだけムッとした顔をした後
「失礼な人だね。君は。人が死んで厄災なら、この世界全体が、厄災だらけだよ」
「謎の病原菌が大量発生したりとかじゃなく?」
カズキの言葉にさらにレグルスの好感度は下がる。
「君も、失礼な人だね。あのね、僕はそういうのは嫌いだよ。冗談でも言わないでほしいな」
レグルスの地雷をことごとく踏みにじったらしくスズカとカズキは項垂れてしまった。
「植物が育たないか。数で言えばどれくらいなんだ?」
ソフィさんとラーシュとドロシーにスズカとカズキを慰めるようにお願いしつつ話を聞いてみることにした。
「えぇっと、その村では、観葉植物として、中央の街に存在する王宮や、各町々にある宿屋にある観葉植物も、その村から輸出しているんだ。3日前に育たなかったのは南の方面のある村やら、街など全部に輸出する予定だった植物が育たなくなったんだ。村の言い伝えで僕のような容姿は育たなくなるという言い伝えがあってね。それで、僕が厄災の種として追い出されたんだよ」
若干悲しそうな顔をしつつもレグルスは教えてくれた。
歩きながら話を進めているので、時折休憩をはさみながらレグルスの話を俺たちは訊いていた。
最初は好印象だったスズカとカズキは、名誉挽回しようとしていたがその全てがレグルスの地雷だったようで、
「僕とスズカは、傍観者に徹するよ。レグルスの地雷をこれ以上踏みたくないからさ」
と酷く落ち込んだ様子でカズキは俺に話していた。特にスズカは、かなりの落ち込みようで、途中から泣き始めてしまった。
「スズカ。大丈夫か?」
「だいじょうぶじゃないよぅ」
俺は、スズカに声をかければスズカは泣きそうな顔をしつつ
「もうだめ。あたし、こういうの苦手だってわかってたのに…………。キオリくんは器用でうらやましいよ…………」
「それは、関係ないと思うが…………。スズカは普段から、相手と話すときに地雷でも踏んでしまうタイプだったのか?」
俺の言葉にスズカは首を横に振った。
「初対面で間もないレグルスの地雷が偶々踏んでしまっただけだ。レグルスも、スズカとカズキは根は悪いやつではないと分かっているはずだ。そうだろう?」
「う、うん…………」
「だから、今回は気にする必要がない。レグルスの何が地雷なのかは、ハッキリしているんだろ?」
「…………。うん」
「なら、大丈夫だ。今回は、偶々レグルスの地雷だったんだ。次で名誉挽回しような」
「うん。ありがとう。キオリくん」
正直に言って俺は、スズカを慰めたとは思えなかった。正確には、持ち直してはいるのだが、スズカの気持ちは実際にどうなのかと問われると正直に言ってわからない。俺も無意識にスズカの地雷ってのを踏んでしまっている可能性だって否定できないからな。
レグルスにも悪気があったわけでもないようで、東の方面にある村に向かう際に小声で教えてくれた。
「僕は、少し意地っ張りなんだ。相手は悪くないとは分かっているけど、頭では理解できていない。そんな少し、ひねくれた性格をしているのさ。もちろん、カズキくんとスズカさんにキチンと謝罪するつもりだよ。少しだけ時間が掛かるから、じっくり待っていてほしいかな」
と申し訳なさそうな顔でそう教えてくれたので、3人の問題は時間が解決するのであると俺は、内心思った。ソフィさんとラーシュはレグルスの小声が聞こえていたようで、納得の表情をしていた。聞こえ無かったのはドロシーとカズキとスズカだけである。
村に着く前に2番目の小屋に着いた時には、すでに日が沈みかけていた為、今日はそこに泊まることにした。平屋の広い小屋で敷布団が10枚ほど川の字のように綺麗に敷かれてあったのだが、そのうちの3枚は、必要がないため、押し入れに入れようと襖を開けたら、布団が飛び出してきた。
「…………前の人って結構乱暴に入れていたのかな…………?」
ごちゃごちゃになった布団やら枕やら毛布やらが溢れかえた状態になったのだが、その枕のうちの1つがスズカの頭にクリーンヒットしてしまったらしく、スズカは枕を握りながら複雑そうな顔をしつつそういった。
【レグルス】
身長は小学6年生男子とほぼ一緒で、白髪、赤眼のアルビノの23歳の青年。
中央の街と東の街にあるちょうど中間地点の村に住んでいたのだが、その村に厄災が降りかかり、その原因として村から追い出された。
魔術、魔法などの方面に関して強い力を持っているが剣術はからっきしである。
【2番目の小屋】
平屋の小屋で、入ってすぐにリビング、ダイニング、キッチンが1つの部屋にあり、リビングの左側の部屋に風呂場と寝室があるのだが、寝室の敷布団を含めた毛布などが押し入れに入っており、それがあふれかえっていた。