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東の街へ向かう

東の街に行く話だぞ。

 魔王の事を知る為に、新たにドロシーを加えた平和組+ソフィさんとラーシュは、王様の助言である

「アルデバランは、気難しい性格だと訊いている。実際に会ったことはないのだが、彼は、同じ街にすむ住人と親しく接しているが、外の住人…………そうだな。特に中央の街。つまりここの事だが、毛嫌いしている節があるということを東の街に住んでいる住人がそう言っていた。エルナトの知り合いと通せば、疑いはするが、信用は得られるとも話してくれた」

 王様は東の街の住人との会話を思い出しながら話した。

「エルナトさんとアルデバランさんは、仲が良いのですか?」

 疑問に思っていたのかスズカは尋ねると、王様は若干困惑しつつも

「親しくしている相手だとエルナト本人から訊いた事はあるが、それ以上はしらないぞ。……………………そう、難しい顔をするな。西の街の活躍など君たちの活躍は、アルデバランの耳にも入っているはずだ。気難しい相手でもどうにかなるものだぞ。…………多分な」

 王様の人生経験なのか、懐かしい顔になりつつも腕を組んで頷いた。

 平和組の不安そうな顔に、大丈夫だと後押しをする。

 それでも、不安はぬぐい切れないが、気持ちを明るめに持った方が、説得力もあるし前向きにもなれる方がいいのだろう。


 城下町で、ある程度の必要な買い物を終えたのち、俺たちは東の街へ、徒歩で向かった。瞬間移動魔法は習得していないし、一応ペーパーさんに、やり方を訊いてみたのだが、時間の側面と波がどうのこうのと専門知識が満載の要素があったため、早々に白旗を出したのは言うまでもない。

 胡蝶蘭のグリーバスさんに、ソフィさんとラーシュは、無事であるという報告は、救出後に伝書鳩で送ったのだが、その返事が東の街に行く途中に届いたのだが、手紙の内容を日本語で書いて送ったのだが返信は異世界語である。読むことにまだ慣れていない俺たちは、ソフィさんとラーシュに手紙を渡して読ませてもらうこといした。

 手紙の内容は、ソフィさんとラーシュが無事であることを喜んだ内容と、ビーデルさんを救ったことに驚愕したという内容がつづられていたらしく、ソフィさんとラーシュの個人あてに宛てた手紙も一緒に付け加えられていたことを教えてくれた。


 東の街に着くのは、中央の街を出てから約1週間ぐらいかかるかもしれないというのが、王様と側近と護衛の人たちの助言であった。実際に東の街へ行った護衛の1人が

「東の街は唯一雨が降る街で、この時期は、雨は滅多に降らないが地面がぬかるんでいる場合もあるんだ。足元には十分注意して進む方がいいだろうな」

 というアドバイスも貰い、服装も東の街に合わせるべく、なるべく質素でラフな格好をした方がいいだろうと思い、長袖のシャツにジーパンとスニーカーを洋服屋で偶然売っていた日本らしい服装に目を引かれて購入を決意した。スズカは羽織れるパーカーを購入して、それに着替えてから東の街へ出発した。今まで来ていたウエスタン風の衣装は、四次元麻袋に仕舞った。意外と便利な四次元麻袋である。一体どうゆう仕組みなのかは一切不明だがな。


「そう言えば、ドロシーに訊きたいことあったんだけど、ロボットの世界ってどんなのかな?」

 東の街へ行く道中にスズカは、ドロシーがいた世界の話を尋ねて来た。

「基本的に、人間とロボットの共存している世界ね。ある人間は、前世はキオリ達と同じ世界に住んでいたらしいのだけど、交通事故に遭って気づいたらそこにいたらしいの。彼は生前技術者だったから、それを駆使して作り出したのがロボットだと習ったよ」

「じゃあ、元々、人間だけだったってこと?」

「そうね。でも、大きな怪物がいたわ。こっちでいうモンスターのことよ。その怪物は、巨人より多くて中には人間と共存する怪物もいるけど、基本的に人間を襲うことが多かったの。だから当初は戦闘に特化したロボットが多くてそれを修理するのは、技術者の彼だけだったから、代わりに元々いた人間で技術者と同じ要領で造ることが出来た彼はサポート用のロボットを作って彼を補助したわ」

 それがカジワという男性であるらしい。日本語を知っているのは、カジワから教わったのだと。

「そのカジワさんって幾つぐらいなんだ?」

 カズキの言葉にドロシーはしばらく悩んだのち。

「彼は既に死去しているわ。カジワというのは、その称号のようなものよ。初代カジワと同じ技術を持っている人物はカジワという称号を得られるの。初代カジワは。女性だと訊いていたけど」

 どうやらカジワは襲名のような扱いになっているようだ

「ソフィさんのドラゴン界は、確かデザイナーでしたよね?」

 スズカは、ソフィさんに話を振った。

「そうだね。この服装も予備の服装も彼女が作ってくれたよ。ふふ。彼女はとても感情が豊かだよ。君達のように怒ったり泣いたり、それでいて優しい女性だ。内面は」

「内面は?」

「本性は、負けず嫌いのへそ曲がりだ。直ぐに暴走する」

 猪突猛進タイプなのか大和撫子タイプなのか随分落差の激しい女性がいるものだと思いつつ、東の街へ進むまでの間楽しい会話をした。

 ちなみに、ラーシュさんの世界では、人間の方にやたらと世話焼きの俺たちと同じ世界から来た転生者がいるらしいことを教えてくれたが、会ったことはないらしい。


「よぉ! 平和組と人数が増えたなぁ!」

 オレンジ色のバンダナをした男性3人がいた。

「風の噂で聞いたぜ。東南東にいる人物を浄化したって?」

「ええ。まぁ。当たり前のことをしたまでです」

「お前たちはそうだろうなぁ…………。この世界の勇者も君達に関心を持っているみたいだ。嘗てのハーバードのようだと称しているらしいからな」

 ガハハハッと笑いながら彼はそう言う。

「そういえば、僕たち貴方たちの名前を知らないんでした」

 カズキは思い出したかのようにそういえば、

「そういや、そーだな。俺は、オージ、隣にいるのが弟のダオンとリーゴだ」

 オージさんはガハハハッと再び笑い。

「俺たちは、東の街から中央の街に戻る予定なんだが、平和組たちは東の街に行くのか?」

「ああ。アルデバランという人に逢いにね」

 俺がそう言えば、オージさん達は驚愕した。

「アルデバラン!? あの、気難しいおっさん!?」

 おっさんと言ったぞ。この人。

「気難しいおっさんって…………」

 流石にスズカも、若干呆れていた。それに気づいたらオージさんは、慌てた顔になりつつ

「おっと済まない。あまりにも驚いたもんで。あの、アルデバランに逢いにねぇ…………。まぁ、あんた達なら素直に逢ってくれるだろうな。俺たちもアルデバランのおっさんに逢いに行ったが門前払いさ。必要な買い物以外は外に出ないって話だからなぁ…………」

 アルデバランの詳しい情報を教えてくれた。商人でもある彼らすら門前払いされているようで、オージさんは残念だというようなジェスチャーをしたのち、もう少し先に小屋があるらしいと教えてくれて、その場から去った。


 オージさん達の言う通りに小屋を発見した時、日は既に傾いて眩しい夕焼けが俺たちを照らしていた。進行方向に影が長く伸びている。

 スズカはパーカーを着ているが、俺とカズキはロングシャツ1枚だ。夕方になると少し肌寒く感じ始めた。念のためにと買った水色のパーカーを四次元麻袋から取り出してそれを羽織った。カズキも四次元麻袋から紫色のロングコートを取り出して羽織っていた。

「夕方は少し冷えるみたいだね。さっさと小屋の中に入ってしまおうか」

 ソフィさんの言葉に俺たちは頷きながら、足早に小屋へと向かった。



【中央の街】

 王城や城下町などがある街。平和組が召喚された最初の街でもある。


【カジワ】

ドロシーのいるロボットを作った人物の苗字で漢字は不明。

カジワは称号のようなもので、ドロシーを作ったカジワは男性で、初代カジワは女性である。


【オージ】

オレンジのバンダナをした男性。

3兄弟で商人をやっている。鉈は護身用


【ダオン】

マンダリンオレンジのバンダナをした男性。オージの弟でリーゴとは双子。兄


【リーゴ】

マリーゴールドのバンダナをした男性。ダオンの双子で、弟

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