来訪客の到来
平和組の前に現れる人物
11月29日修正
2000年前→を18000年前に変更しました
もう遅いからと話の続きは、また明日ということで、エルナトの豪邸で泊まることとなった。俺に用意された部屋は、純和風のようなものだ。中央に囲炉裏がないだけで、丸い窓、床の間など…………そうだな。旅館などの畳部屋のようなものと思えば分かってもらえるだろうか? あんな感じである。スリッパは、部屋の入口の所に脱いでから靴下越しに伝わる畳特有のサラサラした感覚。使い古された少し黄ばんだ畳ではなく、真新しい緑色の畳とその独特的な匂い。座椅子と机があるので、そこでゆっくりしながら寝る前に、忘れないようにと四次元麻袋から、紙とペンを取り出し、書き出しながら寝間着を取り出しておく。で、書き終わったら紙とペンと服を脱ぎ捨てて寝間着に着替える前に、部屋に備え付けてあった風呂場へ向かい、下着類を籠の中にいれつつ身体を洗った後は、湯舟に浸かり疲れを癒しつつ俺の感覚で大体30分ぐらいで上がり、身体を近くにあったタオルを使わせてもらいつつ拭きながらそれに入れ変えるように真新しい下着と寝間着に着替えた後、湿ったタオルを籠の所に置いてから風呂場から出て、少しまったりした後、敷かれてあった布団の中に潜りぐっすりと眠った。
翌日。ドアを軽くノックする音に目覚めた後、服装に着替えながらドアを開けたら、ダリスさんがいた。
「おはようございます。キオリ様。朝食の時間ですので、場所を案内しようかと思いましてお声掛けしました」
「あ、じゃあお願いします」
「はい」
スリッパを履いて部屋から出ると既にスズカとカズキもいた。
「おはよう、キオリくん」
「おはようさん。キオリ」
「おはよう。二人とも」
朝の挨拶は忘れずにして、ダリスさんの案内の元、朝食の場所へ向かった。
「今日の朝食は、平和組の勇者様の御馴染み、ごはん、味噌汁、塩魚、漬物となっております。飲み物は各自自由ですので」
「飲み物だけ自由ってこと?」
「ええ。エルナト様のご要望で飲み物だけは自由です。飲み放題ですので、遠慮はなさらずに。あ、もちろん塩魚以外はお替り自由ですので」
メインだけはお替り自由なのかと思いつつ。案内された朝食場所は1階の大広間。そこも和室なのかと思ったが、ここだけ洋風のようだ。
さて、朝食を食べた後、エルナトさんに呼ばれて再び、エルナトさんの部屋に訪れた俺たち。
「さて、まず疑問を解決する前に、私は少し所要が入ってね。SSPの様子を詳しくはみていないのだろう? 私の所要が終わるまでの間、SSPを見学したらどうだい?」
と言われて俺たちはエルナトさんの部屋を後にした後、外に出る前にダリスさんが本を取り出してサインを強請られたので、表紙の最後のページの空白の部分に俺たち3人分の名前を書けば、ダリスさんは嬉しそうに微笑んだあと、出掛けることを告げれば、
「エルナト様は夕方には所要を終えられますので、昼食は各個人で済まされるので、平和組の勇者様も昼食は、外で食べられるのが良いかと。夕方の合図は鐘が鳴りますのでその時にこちらにお戻りくださいませ」
切り替えの速さに心の中で称賛しつつ、お礼を言えば、ダリスさんは、微笑むように返したあと手を振った。
小人が夜型の種族だってことを思い出したのは。エルナトさんの屋敷から出てすぐのことだった。ダリスさんに見送られた後だし、戻るのは、気恥ずかしいのでしなかったのだが、どこで時間を潰そうかと考えて、最初に連れ出された大広場へと向かった。
大広場をよく見ると、ブランコ、シーソーなど公園でよく見かけるものが数多くあったのだが、俺たち以外、人がいないので、とても閑散していて物静かだ。聞こえるのは風で揺られる草木の音と鳥の鳴き声ぐらいだろうか。
「あの鳥って変な鳴き声だね。なんか、にゃーだし」
「ウミネコじゃないよな…………海の在る方面は、西の方面だけだし、不思議だな…………」
「ん? キオリ? なんか眠そうだけど、大丈夫かい?」
「……………………大丈夫。大丈夫。眠い」
大広場に来てから急に眠気を感じる。ぐっすり眠ったし夢も見なかったのだがと首を傾げるが問題は解決しない。
「あそこに飲み水があるみたいだし、そこで顔を洗おう。ほら、キオリ。立って」
申し訳ないなと思いながらもカズキに支えながら顔洗いで顔を洗う前に、そのまま意識を失った。
「あ、おい! キオリ! 起きろ!」
カズキは、キオリの頬を何回か軽く叩くが起きる気配がないし揺さぶってみても同じ。
「キオリくんって寝起き悪かったけ?」
スズカの言葉にカズキは否定した。
「同室だったから分かるんだけど、キオリはそこまで寝起きが悪いほうではないはずだ。身だしなみはキレイに整えているほうだし、部屋の掃除する几帳面なタイプだと僕は思っている。だから、人前で寝ぼけるって事態が珍しいというか」
カズキの言葉に2人は首を傾げるとカツンと音が響き振り返ると、先ほどまでの大広場の形式は打って変わり、暗くて青い透明の箱のような形にカズキ達がいた。
カツンという音は再び鳴る。その音はだんだんと近づき、奥の方から1人の男が現れた。黒いロングコートのような服に腹あたりが露出している服装に黒いベルトに灰色のダボっとしたズボン。そして薄紫色の肌、尖った耳が特徴的で、鼻は丸く髪は白くて長い人物が右手に杖を突いていた。
「あぁ…………。君達は魔術要素がないのか。だから、1人だけ倒れたのか…………」
低くもなく高くもない中性的な声が四角形の中に響き渡る。
「まぁ…………。どうでもいいか。こんな所に閉じ込めたのは、ある意味必然なんだ」
彼はそう言ってから
「君達も気になるだろう? 我々の秘密が…………」
キオリが目を覚ました時に思ったのは、薄暗いような空気に驚愕したことだ。そして周りを見て何が起きたのかを理解しようとして彼を見た。
「あぁ…………。目を覚ましたか」
彼がそう言えば、カズキとスズカは何ともないかと尋ねて来たので、キオリは身体的な異常はないと言えば、安堵を浮かべた。
「自己紹介をしよう。我はタルタロス。18000年前にこちらに現れて討伐された魔王だ」
タルタロスと名乗った男はどうでもいいように
「我に名は存在しない。存在するのは、上位階でも地位があるものだけだ。ただ、君達が呼ぶ呼び名がないのは不便だろう。仮の名でそう呼ぶと言い」
そう言いつつ平和組を見据えてから
「…………しっかりとした者の持ち主だ。なるほど。救える者は、君達で間違いないようだ」
「救える者…………?」
「魔界で伝わる伝承とされる人間のことだ。分け隔てなく救う人物が救える者だ。18000年後に現れた魔王を君達は、我らを救ってくれるのだろう?」
その問いに平和組は頷けばタルタロスは満足そうに微笑んだ。
「君達以外の、そうだな…………。ドラゴンとロボット、獣人の一部はそれに快く受け入れてくれるだろう…………。だが、他は難しいだろう。…………彼らは既に我らを殺すことを目的としている…………。別行動をとったのちにまずは話を持ち掛けてくれ…………」
タルタロスの周囲にノイズのようなものが走る。
「時間がない…………な。東の方面にアルデバランという男がいる……………………彼に話を聞いてくれ」
そういうと同時に電源を抜いた音がしたと同時に、視界が暗転した。
ゴーンゴーンという低い鐘の音で平和組の意識は覚醒した。水飲み場の近くにいたのだが、水飲み場に向かう前に座ったベンチに横になっていたらしく、辺りを見回したら既に夕方だった。
鐘の音が鳴ったら帰ってくださいというダリスさんの言葉をその数秒後ぐらいに思い出し、平和組は大広場を後にして急いでエルナトさんの住む豪邸へと足へと向けた。
【タルタロス】
この世界の18000年前に異世界からやってきた勇者によって討伐された魔王。
名前はなく、タルタロスは仮名。
平和組に助言を託した。
【救える者】
魔界における伝承に数えられている立場は関係なく平等に接してくれる者たちのこと
【アルデバラン】
東の街に住んでいる男。