表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/177

疑問の答え、その2

過去回想。

 魔王がこの世界に強制的に連れ出されたと知ったのは、この世界の勇者の1人であり、今は伝説的な存在になっているハーバードという男性と、そのハーバードを支えた妻であるアイビーがSSPに訪れたのが始まりであった。


 この世界では、勇者の素質者がある者が必ず通わなければいけない専門学校があり、ハーバードも勇者の素質があるとして、勇者学校に通っていたのだが、ハーバードの性格は、臆病で怖がりという勇者に向いていない性格をしていた。その為、他の勇者の素質を持つものは、ハーバードと臆病バード、怖がりバードという敬称をつけて、彼をいじめていたのである。それでも、ハーバードは勇者の素質があるのは何かしらの理由があるとして、その理由が知りたくて辞めることはなく、勇者としての素質を磨くことに専念した。

 ハーバードが勇者学校を卒業した時には、臆病で怖がりな性格は、若干ながらも克服したものの、やはり周りからは、からかわれてばかりだった。そんな彼は、依頼書という街の住人からの困りごとを張る掲示板に張り出されており、モンスター討伐やら王宮の仕事など、地味なものから大きなものまで色とりどりあるのだが、掲示板に張り出されて依頼書は早い者勝ちで、依頼料が高くて支払いも良いものから順に選ばれてしまうわけだが、その中で誰も取らなかった、荷物運びの依頼書を見つけて、それを掲示板から引っ張り出して、受付にこれを受けたいと申し出たのが始まりであった。

 受付の人は怪訝そうな顔をしつつも、赤い判子を依頼書に押し付けてハーバードに返した。

「荷物運びの手伝いです。頑張ってください」

 受付はそう言ったのだが、やる気はみられなく覇気のない声音でそう言った。さっさと行ってくれという顔をしていることにハーバードは、気づいたものの、それを言う勇気はなかった。


 ハーバードは、町はずれの民家をノックすれば、若い女性がやってきた。それが、ハーバードの妻にあたるアイビーであった。

 ハーバードの好みの女性にかなり近いアイビーの容姿にハーバードは一瞬だけ我を忘れかけるが、スグに我に返ってから、依頼書を見てやってきたと言えば、やつれ気味だったアイビーの顔はみるみるうちに明るくなり、ハーバードの両手を掴むように手を握ってぶんぶんと腕を振ってからハーバードを家の中に招き入れた。

「だいぶ前からあそこに張っていたのだけど、誰も手を付けなくて諦めていたから、とても嬉しいよ。依頼内容は、ここに近くに農産物があるのだけど、それを指定場所まで、一緒に届けて欲しいって依頼なの」

 ハーバードは、その依頼を快く受け入れて、アイビーと共に東南東へ向かった。


 農産物をくれる依頼人は、姿を見せたことがないか、指定場所に野菜を置けば、その分お金が手に入るらしいので、その指定場所まで、父親と一緒に向かっていたのだが、父親が道中で腰を痛めてしまい、どうも1人では無理だったので、依頼書を張ったのがきっかけだということを道中で説明されて、彼は納得した。

 それ以降も、ハーバードは、同じ依頼や、似たようなものを繰り返しているうちに、

モンスター討伐を直接頼み込まれたりして、いつしか英雄と呼ばれるようになった。そんな時に、アイビーの父親に娘を貰ってくれと頼まれてアイビーとひそかに恋人としていた彼は、そのことを説明したうえで、娘さんをくださいとお願いしたら、アイビーの父親は笑った後、

「君は正直者だなぁ! そんな、君には娘のアイビーを任せられる!」

 と背中をバシバシ叩きながら結婚の許しを得て半年後にハーバードとアイビーは結婚した。

 そんな時に、ブラックホールが現れた。


 ブラックホールの大きさは、最初は小規模で、小石が入る程度の大きさだったのだが、それが日付が過ぎるに連れて大きくなり次第には王宮でもその姿が確認できるほど、大きく穴があった。ハーバードは王宮の依頼により、そのブラックホール、当時は謎の穴と呼ばれていたのだが、それを調べることにした。

 正体不明な謎の穴に、まずは道端に落ちていた枝を拾ってそれを、謎の穴に入れると何かに強引に引っ張られる感覚がして思わず枝を引き離せば、枝は吸い込まれるように消えていった。この謎の穴には吸引力があるのだと何度か確認したのち、耳を済ませると、騒がしい音が聞こえたが、聞き取れた範囲で訊くと

「…………………………………………………ろ! ……………………………………………………を、…………だ!? 何なのだこれは!?」

 声が近くになって思わず反射で離れると、穴から現れたのは、謎の物体。紫色の肌に白いギザギザな歯、見慣れぬ服装をしていた。

「貴様か!? 我を呼んだのは!?」

「ち、違います!」

男の言葉にハーバードは否定して、この謎の穴が現れたのは先日であることで調べていることを明かしたらその男はバルバドスと名乗ったのち

「我は、足元に何かしらの術式が展開されてここに連れてこられたのだ。どういうことだ?」

 その答えを、ハーバードは持っていなかった。


 ハーバードは、王宮に謎の空間には近づくと吸い込まれることと二度と戻ってこれない可能性を伝えてたうえで魔王なるものがこの世界に強制的に連れてこられることを説明した。

 ハーバードは、バルバドスと呼ばれる魔王を王宮がどうにかするだろうと踏んでいたのだが、翌年に魔王が討伐されたという話を勇者学校の時に良く接してくれたパブリックは、教えてくれた。

「それに、魔王を討伐したのはハーバードだって訊いているぞ」

「はぁ!? 僕がそんなことをするわけないだろう! パブリックも知っているだろう? 僕は未だに臆病で怖がりなんだぞ」

「それは、知ってるだから。おかしいんだ。君がそんなことをするはずがないって。それに同じ勇者学校に通った同級生も、あの臆病で、怖がりバードが魔王を討伐するのか? って疑問視していたぐらいだ」

 これにより、ハーバードを含む他勇者や、現在の勇者はハーバード達の訴えを信じ、誰も魔王討伐へ駆り出さなくなった。

 だが、問題はさらに広まった。王宮が別世界の勇者資格をもつ人物を召喚させたのである。

 ここで、疑問に思ったのは、王宮で洞窟について研究していたクローズ博士である。どういう召喚法で行われているのかを実際に見て、ハーバードから訊いた内容と照らし合わせて見ると謎の穴と勇者召喚はほぼ同一で強制的であることが判明し、それを訴えたのだが、1年もたたずに、クローズ博士は住民を惑わせたという罪で公開処刑された。クローズ博士は最後まで訴えを辞めなかった。

 ハーバードとアイビーは、SSPに魔王が出現したこととそれに関することをどうにか本にしてくれと直接会いに来て土下座までしてそう訴えた。

 エルナトは、それに同意をし、小説を異世界語。つまり、日本語に残すことで書き記すで残すことになった。日本語は造語で作ったのだが、のちにSSPに訪れた占い師のサマーは、その造語に指摘をした。

「君たちが、造語だと思っているその言葉を使用している異世界があるね。地球っていう青い星さ」

 エルナトはそこで、地球を知った。


「私が君達の使っている言語。つまり日本語という造語を作り上げたのさ。その【洞窟について】と【異世界アトランダム召喚術式のやり方】は、同時のクローズ博士やハーバードなどの助言を交えて書いたものだんだ。だが、だれもそれを信じなかった。なら、地球からやってくるであろう君達に、託したのさ。君達なら、魔王を救ってくれるとね」

【ハーバード】

伝説の勇者で、臆病で怖がりな性格をしているが、地道な努力を重ねた結果伝説のハーバードと呼ばれるようになった。勇者がプラスされたのは、バルバドスを討伐したのはハーバードということになっているからだが、ハーバードは、その身に覚えがない。

勇者学校時代は前髪を隠していたが、卒業してから前髪を切った。

金髪の金目をしている。


【アイビー】

住宅街から少し離れた農家として父親と共に畑仕事を行っている金髪金眼の女性。ハーバードの妻。

小人に野菜を届けるのを昔からやっており、アイビーも勇者の素質はあったものの、行くことを拒否した人物。数ヶ月前に父親が腰を痛めており、その時点で張り紙を依頼書を張っていたのだが、誰もこずに意気消沈していたころにハーバードが来てくれたので、大いに歓喜した。


【パブリック】

ハーバードと同じ勇者学校の同期。パブリックは、のちに平和組が子の勇者が仕事をしない原因を作った魔王討伐をするのはおかしいと提議した人物の考案者になる。


【勇者学校】

勇者の資格があるものが必ず入ることが決まっている学校。正式名称はないため、勇者学校と呼ばれている。


【依頼書】

掲示板に張り出されている紙のこと。A4サイズで依頼内容と報酬が書かれていることがあるが、早いもの順で値が良ければよい程抽選会が行われる。その依頼書を受付に渡して赤い印鑑を貰うことで受理される。どうでもいい内容は、受付も対応が悪いことで有名。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ