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疑問の答え、その1

少しややこしくなっていないでしょうか。

後書きは読まないとさらに分からなくなります。

 謳えや踊れや舞えやのどんちゃん騒ぎの宴会は、大いに盛り上がり、特に久しぶりに食べるごはんとお味噌汁がとても美味しくて思わず顔が綻んだぐらいだ。他の料理にも手を出しては、余りにも美味しさに、ごはんのお替りを要求したのは、恥ずかしい思い出だ。そして、深夜辺りになってからエルナトさんの柏手一つで静まり返り、解散を知らせる内容を伝えたのち俺たちを連れて、大広場から後にした。片付けも手伝いたかったのだが、あの手この手でかわされて、片付けすら手伝わせてもらえなかった。

 というのも、エルナトさんが言うには、小人の大昔からの習わしで、主役に選ばれた人物は、準備や片付けなどは手伝ってはいけないというのがあるからで、それを知ったのは、大広場から離れて少ししたところだった。


 エルナトさんによって案内され場所は、他の住居よりも2回りほど大きい豪邸のようで、その周りを少し大きい木で出来た塀がぐるっと豪邸の周りを囲んでいた。

「おかえりなさいませ、エルナト様。…………そちらの方は?」

 その塀をくぐり抜けて扉を開けた先に出て来たのは、執事服を身にまとった女性がエルナトさんを見てお辞儀をしたのち、俺たちをちらりと横目でみた。

「彼らは、平和の勇者だ。わざわざこの地に訪れて来たのだよ」

 とエルナトさんがそう言えば、彼女の表情は、冷たくクールな表情から一変した

「! ああ、あの! 先ほどの無礼をお許しください。そしてこの本にサインを…………ああ、でも、後からがいいでしょうか……」

 身体をくねらせて頬を赤らめさせ両手をそれで隠しつつ目が非常にキラキラと輝かせていた。逢って数秒の豹変に俺たちは困惑するしかない。

 エルナトさんは咳払いをしてから

「ダリスさん。落ち着きなさい。私は、彼らを自室へ案内をするので、紅茶の準備をしてください」

 と少し呆れながらそう言えば、ダリスと呼ばれた女性はハッとしてから

「失礼しました。紅茶のリクエストはありますでしょうか?」

 クールに切り替えたダリスさんの質問にスズカは苦いものをカズキは甘いものをリクエストした所で、再びエルナトさんと俺たちに向けてお辞儀をした後、その場から離れた。靴は脱ぐように促されたので、きちんと靴を脱いで奇麗に並べた後、スリッパを履いてエルナトさんについていった。

「御見苦しいところを見せたね。彼女は、君たちがこちらの世界にやってきたときに、尊敬を抱いているのだよ。君たちの活躍を耳にするたびに彼女はまるで自分のように喜んだりしているんだ。根は真面目だから気を悪くしないでくれると嬉しい」

 エルナトさんはそう言ってから、こっちだよと案内されてついていく。


 エルナトさんの自室は、和室で構成されていた。外見が洋風なのに部屋の中身は和室。囲炉裏、布団のようだ。スリッパを脱いでから座布団に座るように促される。


「それで、私に訊きたいことがあるのだったね。その前に、このSSPについて説明をしようか」

 ドアを軽くノックする音が聞こえてエルナトさんが返事をするとダリスさんが紅茶を運んで持ってきてくれたようだ。

「SSP原産の紅茶です。スズカ様の紅茶は苦みが効いておりますが、後味が残らずスッキリさがあります。カズキ様の紅茶は、我がSSPで最も甘いとされる紅茶で、甘味も加えられており香はとても良いものです。キオリ様の紅茶は、エルナト様も愛用されています。サールマイスという紅茶でござます」

 サールマイスと呼ばれる紅茶は酸味が強く、後味が強い緑色をした紅茶だ。ダリスさんは、説明しながら、それぞれの紅茶を近くに置いたのち

「エルナト様。平和の勇者様たちは、同室と個室のどちらにしましょうか?」

「個室にしようか。3人分は空いているかい?」

「はい。丁度3名分空いております」

「では、そこに平和の勇者の部屋割りを考えてくれ。スズカは女性だろう? 彼女だけは、華やかな方がいいだろう?」

 エルナトさんはそう言うとスズカは少し照れたように頷いたので、ダリスさんは、それを見た後頷いてからエルナトさんの部屋を後にした。


「SSPに向かうには資格がある程度いるんだ。私たち小人をどう思っているかという資格をね。それがないと、平和の勇者達がいた居場所から崖のように見えてしまうように仕込んであるんだ。いわゆる幻惑状態だね。だから、案内人は先に進めなかったんだ」

 ここに来た時に最初に言われた資格というのを問いただしたら、エルナトさんは、真面目な顔つきでそう答えた。

「それに、加えて、私達小人は2頭身半なのだが、それに合わせて平和の勇者達も2頭身半になって、いるんだ。平和の勇者達は、本来ならばしゃがまなければ、いけないぐらいの差があるんだ」

「え!?」

「いつの間に!?」

 いつの間にか俺たちの身長は2頭身半に縮んでいた。一気に縮んだら分かるのに、それすら分からせないのが、幻惑魔法のすごいところだ。

「いつからと言われたら、見回りたいの2人がいただろう? 彼らに出会ってからになる。そこから幻惑魔法を掛けさせてもらった。私は魔法が得意なタイプだからね。平和な勇者たちのなかでも。キオリ。君には、かなりの素質がありそうだ。異界の魔術師より上に行く可能性もあるだろう。スズカとカズキもそれぞれの能力に特化したものを教えよう。それで、魔王を救ってやってくれ」

「!」

 エルナトさんの言葉に、俺は四次元麻袋から【洞窟の発生について】と【異世界アトランダム召喚術式のやり方】を取り出してから

「俺たちは、魔王を討伐するために異世界アトランダム召喚術式によって召喚されたんだ。最初は何も疑問も持たなくて、ただ討伐すればいいと思っていたけど、ビーデルさんを救った辺りから本当にこれでいいのかって分からなくなったんだ。これを書いたのは小人であるエルナトさん達だと知って、その真相が知りたいんだ。それにビーデルさんに助言したことについても」

 俺の言葉にスズカとカズキも真面目な顔つきになってエルナトさんを見た。

「なるほど。それで小人の所に行こうとしたのだね」


 エルナトさんは紅茶を一口飲み込んでから

「洞窟は、2000年に一度発生すると思われているが、実際にはこの異世界の妬みや恨みなどと言った悪に関するものが、この洞窟、正式名称はブラックホール。ブラックホールは、悪に関する物を2000年のも間、溜まりに貯まったものなのだ。だが、この世界の人々は、それらを区別することが出来ない。どれが善でどれが悪なのか判断が出来ていないのだ。モンスターは悪であると知っているから、モンスターと似た魔王は悪であると、彼らは思ったのだ。ビーデルの時もそうだ。だが、クローズ博士は、それに気づいて、異世界アトランダム召喚術式とブラックホールはほぼ同一存在であるということを世間に知ってもらおうと各地で講演を行い口説いた。だが、それでも常識が改善されるわけでもなく、クローズ博士は処刑されてしまったのだよ。トントン族の長[おさ]であるレグルスは、この時点で時計作りをやめようかと思ったと言っていたね。それで、ビーデルのことがあって完全に信用を無くしたようで、それにビーデルを救わかなった当時の勇者に頼み込まれても作ることはしないと明かしていたよ」

 だが、とエルナトさんは続けた。

「平和の勇者達が、西の街に行く途中に出会った、山小屋を管理していた彼、西の街のモンスターの問題、ビーデルの救出と耳に入ってくる度に彼らは非常に喜んでいたよ。彼らなら、この世界の常識を一変することが出来るとね」




【スモール・スモール・パークの資格】

小人がいる東北東には、ある程度の資格が必要で、小人をどう思っているかが左右される。

ペーパーは、彼らを内心小ばかにしていた為、引き返すはめになった。


【ダリス】

エルナトの家のハウスキーパー的存在。2300歳なのだが、見た目が23歳前後の女性。

普段は、クールで真面目なのだが、平和組がいると恥じらいのある乙女風になる。平和組のファンで、彼らの活躍を風の噂程度で知ってから応援している。


【幻惑魔法】

幻覚、幻聴などを丸っと1つ


【ブラックホール】

洞窟の正式名称で、この異世界の恨み、妬みと言った悪の感情が溜まりに貯まって出来てしまったもの。それが2000年周期でやってくる。


【レグルス】

トントン族のお偉い人。彼が時計のづくりの現場監督を仕切っており、クローズ博士の処刑時点で、人間を見捨てそうになったが、それでも生産は続けていたのだが、ビーデルが謎の瘴気による原因で人間を辞めてしまった際に完全に見切りを切った。それ以降時計作りを行っていない。

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