連れ出したのは、アイツ。
登場人物が多ければ多いほど、困惑すると思うので、後書きに纏めておきました。
そんなに出したいわけではないけど、気が付いたら多い人数になっていたという。
多人数での会議に挑戦しましたが、全員が喋るようにさせるのに苦労しました。
10月29日修正
ドミスのセリフと矛盾したものがあったので修正。
ジャスさんの移動魔法により王宮の応接間に帰還された俺たちの他に、パドラーさんとテトさん、イリルさん、グインさん、リドさんの年長組の他に一緒にいた他の人たちがいなく、代わりに、ララさん、鱗人、コボルト、魚人、神々しい何かがいた。後方に光がさしているように感じるし、後、眩しい。
固まったと思ったのか、ジャスさんは俺たちの背中を押しつつ、地面に座るよう促した。
「戻って来たか。説明もなしに済まない。だが、緊急事態なのは、この状況を見て分かるだろう」
渋い声でグインさんはそう言った。
「ソフィさんとラーシュが行方不明なのと関係があるのですか?」
スズカの言葉にグインさんは少し驚愕したのち頷いた。
「ああ。ソフィとラーシュの他に、ドロシー、アレクロ、デラミラ、ルンド、アゴル、ニーモジ、フィルセ、トーシル、ボブル、パーバル、リドナイド、クータン、ディーネが今朝になって姿を消している。共通しているのは、私たちに話したいことがあるからと言って出て行ったきりなのだが、ソフィとラーシュも同じか?」
「! は、はい。てっきりこの事だと思って。ジャズさん達もドロシー達が行方不明だなんて…………」
スズカは信じられないとばかりそういう。
「その原因は、分かっているんだ。ソフィやドロシー達を召喚した、人物がいただろう?」
パドラーさんの言葉に俺たちは頷く。
「その彼が、呼び戻した可能性が高いんだ。生憎、名前は分かっていなくてね。その彼に呼び出された人も名前を知らないらしいんだ。ところで。キオリくん達」
「あ、はい」
パドラーさんは少し悩んだ後
「いつ、異世界語を習得したんだい? 違和感がないのだが」
「え? あー…………えーっと、いつの間にかですかね? 昨日の昼あたりはまだ聞き取りずらかったんですけど、夕方あたりからすっと入ってきた感じで」
俺はそう答えれば、パドラーさん達は頷いた。
「あの、初めましての方がいるんですけど」
カズキの言葉に、パドラーさん達は、はっとしたあと、
「おっと、肝心なのを忘れていたね。ピクシーの方は挨拶はしたから、後回しにするとして、鱗人のコージー、魚人のオオミス、コボルトのクィージィー、そして、神のドミスさんだ」
鱗人のコージーさんは男性で、ヘビ人間のようだ。肌は鱗で覆われて緑と黒で形成されていた。髪も緑と黒の斑模様のようになっている。服装は鉄製の胸当てとチェーンが幾つもの重なった鎧を着ていた。獣人と同じ戦闘に特化しているんだったかと頭の隅で思い出した。
魚人のオオミスさんは女性で、カジキマグロに似ているなと思ったら、オオミスさん本人がカジキマグロであると公言したので、カジキマグロの擬人化した人だ。
服装はこの世界に初めて来たときに来ていたという習字でデカデカとカジキと書かれたTシャツと白と黒のツートンカラーのカーゴパンツと、白と黒のツートンカラーの靴。前髪が白く、後ろ髪が黒く、頭上には角のようなものが生えていた。不便じゃないかと思ったが、役に立っているので不便ではないらしく、逆になければ不安になるようだ。
コボルトの男性クィージィーさんは、薄緑の肌色をしていた縄と動物の毛皮で造られたものを腰に巻きつけている。それ以外はほぼ薄緑の裸体だ。牛のような耳と顔つき、爪が前2本と後ろ1本で絶妙なバランスを取っているようだ。
そして、最後の
「か、神!?」
後方が神々しい白の布で覆われた男性の正体が神ということに驚愕しつつ
「そんなに驚くものなのかい?」
落ち着いた声音でドミスさんは尋ねてきた。
「そ、そりゃあ…………そうですよ。神様って結構物語には出てくるのに、実体がなくて、他の惑星を管理しているとかっていうイメージがありますから」
「ああ、なるほど」
何に納得したのだろうか?
緊急事態で強制的に王宮に戻ったことにより、王様は驚愕しつつ、ジャスさんに詳しい説明を訊いたのち
「なんということだ。最[もっと]も恐れていた出来事が起きてしまったというのか。ああ、これも天命が齎[もたら]す厄祭なのか」
この王様何を言っているのか全く分からない。最初は分かったのに後半が良く分からない。
「あの、これって…………」
「しっ! 最初から王様はこんな感じよ」
通訳として連れてこられた、兵士さんは、小声で真面目な顔でそういう。
悲報:王様は真面目に言っている。
「あの、伝えなくていいんですか?」
スズカは小声で質問する。
「着任して13年目だから、住民も慣れて最初こそは訂正していたけど、無自覚だから」
「無自覚なのかよ」
「そうなの。だから、内緒。いいですね?」
後半部分の発言は気にしなくていいと念押しされた。
その王様の計らいで、場所は応接間で話すことになった。
「それで、ドミスさん達を召喚した人の特徴ってあります? 男性であるとは聞いてはいましたけど……」
カズキの言葉にドミスさんは、
「体格は大きいほうだな。服から腹がはみ出ている、汗かきのようで、布で顔の部分を拭いているのを何度か見かけたよ。あと、ねちゃねちゃしている。臭いもきついものだったな…………」
ダメな要素しか覚えていないようだ。
「他には?」
「脂ぎっていた、無精ひげが生えていて髪が長く地面についていたな」
「脂ぎった…………? トントン族の住処だった男も脂ぎった男が乗っ取ったって訊きましたけど、同一人物なんですかね?」
カズキの言葉に、ドミスさんは腕を組んで悩み始めた。
代わりに答えたのが、鱗人のコージーさんだ。ヘビの鱗人だ。黒と緑の模様をしている
「…………トントン族は、東南東に住んでいる種族だが、…………たしかに、あの場所はトントン族がいた痕跡が残っていたな。…………なるほど、この世界の死刑に値しているのか」
細長い舌をペロっとだしてから彼は納得したのち、俺たちを見てから
「…………あまり、驚かないのだな。…………平和の世界は、ヘビの二足歩行など普通なのか?」
「え!? いや、二足歩行はしないですけど、アニメとかでよく見かけるんで」
「あにめ? …………ふむ。…………あまり二足歩行ではないが、珍しくもないのか」
カズキの言葉に気にしつつも、コージーさんは納得した。
「でも、なんで、アレグロさん達を…………?」
「気まぐれで、呼んだのかもしれないな。平和組が纏めて呼ばれてないのは、平和組の詳細を詳しく知らないからだろう」
スズカの言葉にコージーさんは、腕を組んでから答えた。
ヘビに腕とか足があるとトカゲっぽいなとか思ってしまうが、今は緊急事態なので、真面目な思考をしよう。
「寧[むし]ろ、知らなかったから、ソフィとラーシュだけで済んでいるだろう。平和組の3人の内2人が連れ出されていたら、残った1人が不安視するのが目に見えている」
クィージィーさんはそう口を開く。
確かに、俺とカズキでも、カズキとスズカでも、スズカと俺でも残った1人が不安になる。もしも知っていたらと思うと冷や汗が出て来た。
「クィージィー。平和組の不安を煽[あお」るようなことは、言わないでおくれ。一緒に旅をしていた仲間が、滞在していた街から突然消えたのよ。困惑するし、初めての旅がこうなるのは、私達でも予想外でしょう?」
オオミスさんは、俺の近くに座っていたので、顔色が悪くなった俺を見て、彼女はクィージィーさんに注意をしつつ、状況を整理させた。
「魔王を討伐するまえに、まずは、その人なのかどうかは、不明だけど、彼をどうにかしないと、旅の最中に連れ出されるのは困るからね!」
イリルさんは腕を組んでからそう言った。
「わたしだって困ります。南東南にいるのでしたよね? 直ぐに駆け付けないといけません!」
リドさんもイリルさんの言葉に賛同した。
「相手の情報不足は否めないな。詳しく知りたいのだが、気まぐれにクィージィー達を呼び出す人物だろう? 気まぐれに罠でも仕掛けられたら溜まったものじゃない」
テトさんは、根城としている拠点を見ながら呆れた顔でそう言った。
話がまとまらないまま、夜になった。
【アレクロ】
2話で登場した魔術師の男性。
足が悪く少し大きい杖をついている。
【デラミラ】
2話で登場した、お母さんが体系の魔術師の女性。
【ルンド】
ハーフエルフの男性。
落ち着きがあり、ハーフエルフのまとめ役でもある。
【アゴル】
ハーフエルフの男性。
冷静沈着だが、プッツン度が高い。
【ニーモジ】
エルフの男性。
リドの旦那。エルフの次長を務めている。
【フィルセ】
エルフの女性。
リドとニーモジの子。
補佐役としてリドとニーモジの傍にいた。
【トーシル】
ドワーフの男性。
ドワーフ界の、近くの村人の娘と婚約を結ぶ予定がある。
【ボブル】
ドワーフの男性。
ドワーフ界でも凄腕の武器職人として有名。
【パーバル】
4話で出て来た。獣人のウサギの女性。
ブーメラン使って戦闘を行う。
【リドナイド】
4話で出て来た。獣人の狐の男性。
弓を使って戦闘を行う。
【クータン】
3話で出て来た妖精の男性。
甲高い声が特徴。
キオリを励ますために手紙を渡したのもこの人。
【ディーネ】
3話で出来た妖精の女性。
甲高い声が特徴。
キオリが念話するのにお題として出した手紙を書いたのはこの人。
【コージー】
鱗人のヘビの男性。会話の途中に舌を出したりしている。
【ドミス】
神様の男性。どこかの異世界での神をしている。
【クィージィー】
コボルトの男性。ドワーフのグインさんと共に行動をしていた。
麻で造られた縄で獣の毛皮で造られたものを腰に巻いている。
【オオミス】
カジキマグロを擬人化した女性。
白と黒のツートンカラーのTシャツと同じくツートンカラーのカーゴパンツ、靴を着用している。
頭に黒い角がある。