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強制帰還

会話文章中に、カタカナ表記がありますが、主人公たちがまだ、異世界語に訊きなれていないのだなと思って下さい。


前話のキオリとグリーバスさんの会話は、両方異世界語で会話しています。


キオリ→習得済みだが、あえてカズキとスズカに合わせる

カズキとスズカ→異世界語が訊き慣れて来たけど、まだ難しい


という感じです。

 朝食を食べ終えた後、グリーバスさんに胡蝶蘭の案内をしてもらうことになった。

 その前に、俺は、カズキとスズカにある言葉を聞かされた。

「それって、本当なのか?」

「うん。あたしも驚いたけど、細かいことは、集まってからって」

 俺の言葉にスズカは頷いた。

「おーい。キオリ、カズキ、スズカ! 行くぞー?」

 玄関付近で俺たちを呼ぶグリーバスさんを待たせるわけにもいかない。

「ラーシュさんとソフィさんと集まってから話そうぜ」

 俺はそう言えば、カズキとスズカは頷いた。


 胡蝶蘭は基本、簾のような細い木を幾つか組み合わせて重ねた建築をモチーフとしており、その中でも数字でランク付けており、最高位で5最下位で0と決まっているらしいそれにより、家の見分けなども分かりやすいのだとか。ちなみにグリーバスさんの家は3ランクだそうだ。

 滅多に人間が長時間滞在することがないので、宿屋は元々ないらしく、観光するスポットもないので、出店も存在しないのが、この胡蝶蘭の特徴だ。

 その代わりに存在するのが、北の街でもあった戦闘訓練所があるぐらいだ。


「他にも、名物ト言えば闘技場ダガ。熱くなりすぎて、民家が燃えたから中止になったんだ」

 熱気で民家が燃えるという驚きの事態を訊きつつ、道案内をしてもらっている。

「おや、グリーバス。平和組の案内をしているのか?」

「ツキマ。ああ。そうナンダ。左からキオリ、カズキ、スズカだ。こちらの言葉ヲ徐々にだが覚えツツアル」

「なんと!」

 ツキマと呼ばれた茶色の熊は驚愕しつつ俺たちを見てからお辞儀をした。

「どうも、初めましてツキマです」

「初めまして」

 握手を交わしつつ俺がそう言えば、ツキマさんは驚愕しつつ

「おっと、失礼。キオリハ、男の人だったのかと思って」

「あー。いえ、大丈夫です。間違われるのは、よくあるので」

 久々に言われたな。ソフィさんと初対面時も女かと思われたのだし、こちらの世界に来た際に改めて自己紹介をした時にはパドラーさん達が驚愕するほどだ。幼少期からずっと言われていることなので、もう慣れたけどな。

「君も、苦労人という奴か…………。なるほど」

 何を納得したのかは不明だが、ツキマさんは頷いてからグリーバスさんを見て

「そういえば、グリーバス。昨日の支払いをしてモラッタノダガ、グリーバスが昨日話していた通り、金融機構の方でトラブルがあってイタラシク、それが、落ち着いて先々月から先月分までの未払い分が纏めて振り込マレテイタヨ」

 と話した。

「ああ、ソウなのか。銀行ノ機械のトラブルだったのか?」

「どうやらそうらしい。ジャンジャン族ニ頼んで、交換するのかい?」

「1200年ほど前に作ってモラッタ物だからね。流石に交換するよ。交換代だけでも金貨が2400枚ほど飛ぶのだが…………まぁ、仕方がない。だから、今月は手渡しで頼むよ。交換は再来月にはクルラシイカラね。それじゃあね。キオリくんたち」

 ツキマさんはグリーバスさんに要件を伝えてからその場から離れた。

「ツキマさんって何をしている人なんです?」

 カズキは尋ねるとグリーバスさんは

「ツキマは、3ランクの家の大家さんを任されているんだ」

 なるほど。それで、あのやり取りかと俺たちは納得した。


 ラーシュのいる狼の家に訪れた。

「グーズ。いるか?」

「……………………グリーバスか。用件はなんダ」

「ラーシュはいるか? キオリ達を連れて来たノダガ」

 グーズと呼ばれた男性は、明るい灰色と白色も混ざっている狼のようで、クールだ。

「入れ違いだな。ソコノ奴らに会いに行くカラト、先程出て行ったぞ」

 グーズさんが指さす方向は、俺たちが来た場所と反対側だ。一体どこに向かったんだ?

「入れ違いカー。しかも、反対方向トハ…………。そちらの方へ行くか。ありがとうな。グーズ」

「…………俺も探す」

 グリーバスさんの御礼にグーズさんは視線だけ下げてからそう言いつつ一旦家に戻った後、胡蝶蘭に入る前に見かけた上下鉄製で出来た鎧を着ながら戻って来た。

「さ、行くぞ」

 グーズさん以外とやる気ありますね? とは言わなかった。多分藪蛇[やぶへび]だと思う。


 グーズさんを加えてラーシュを探すことに。

「急いでいた様子ダッタが。何か用デモ逢ったのか?」

「同じ勇者候補のパドラーさんから連絡があって至急、王宮に戻らなくちゃいけなくなったんで、その連絡をと思って」

 スズカの言葉にグリーバスさんは驚愕する。

「そうなのか? 東の街へ行くとばかりに思ッタノダガ…………」

「ええ。僕たちも昨日までは、そう思っていましたけど、その夜に念話で連絡があって、戻ることになって」

 カズキの言葉にグリーバスさんは、そうかと頷く。

「それで、出ていくとき遅かったのか」

 出かける際に、俺たち遅かったのを疑問に思っていたらしく納得したように頷いた。

「緊急という訳カ…………。もう1人のドラゴンの方は行ってミタノカ?」

 グーズさん、不思議そうに尋ねる。

「ソフィさんですか? 一応立ち寄ってみたんですけど」

 そう。ソフィさんの方が、グリーバスさんの家にほど近い距離だったので、その際に、訪れた時

「ソフィ? 朝食を食べ終えた後、所用がアルみたいで、慌てた様子で出て行ッタけど?」


「って言われて、それでラーシュの方に来てみたら、これでして」

 スズカの言葉にグーズさんが納得して口を開く前に

「キオリたち!!」

 甲高い声で声を掛けて来たのは、ジャスさんだ。

「え!? ジャスさん!? どうしてここに?」

 カズキは驚きながら尋ねると、

「あれ? いつのまに異世界語を…………。って、今はそんな話をしている場合じゃないんだ。緊急事態なんだ!」

 ジャスさんは焦りながらも

「トカゲくんに狼くん。この3人の荷物を持って来てくれないかい?」

「あ、ああ。それは構わないが。ジャスと言ったか? ソフィとラーシュは今、ここにはいないぞ」

「そのことについて、話があるんだ。ソフィとラーシュの荷物があるなら、それらも持ってきてくれ!」

「わ、分かった。直ぐ持ってくる」

 ジャスさんのあまりにも焦りに、グリーバスさんとグーズさんは急いで、その場から離れた。

「昨日のアレは、2人が居なくなったのと関係があるんですか?」

 スズカの言葉にジャスは頷いた。

「そうなんだ。僕もひどく混乱している。ありえない状況が起きているんだ。こんなこと今まで起きたことがないぐらいにね」

 ジャスさんはそう言ってうろうろと落ち着かない様子でグリーバスさんとグーズさんを待っていた。

 一体何があったんだ? ソフィさんとラーシュがいないのと一体何の関係が?

 

 数分も時間が経たないうちに、グリーバスさんは俺たちの荷物とソフィさんの荷物を、グーズさんは、ラーシュの荷物を持ってきた後、それを受け取ったのちそれを俺に渡してから

「カズキは、キオリの手を握って、キオリは、スズカの手を握って、スズカとカズキは僕の手を握るんだ。今から転移魔法を発動する。酔うといけないから3人共目を瞑っておくんだ。いいね?」

 と言われて。俺は、カズキとスズカの手を握った後、目を瞑ったと同時に、ジャスさんは呪文らしき何かを言うと同時に、足元の感覚が無くなり、落ちる感覚がして

「あ」

「え!? その。あってなに!? 不安しかないんですけど!?」

 ジャスさんの言葉にスズカは困惑していた。

「いや、大丈夫。あってた」

「何が!?」

 カズキも不安がっていた。


 浮遊感のまま、落ちているような感覚になりながらもカズキとスズカは小声で大丈夫かなとか死なないよな? とか不安な声が漏れていた。がやがて地面に足がつく感覚がして

「目を開けていいぞ」

 と言われて、開けると、場所は、初めて異世界召喚されたあの応接間の所だった。

【ランク】

胡蝶蘭で行われている家のランク付けのことで、最大の5から最下の0まである。


0→空き家状態。草木が伸びきって全く管理されていない家

1→売家状態。賃貸のようなもの。

2→持ち家状態。コーカスなどの背が小さい魔物は大体ここ

3→持ち家状態。グリーバスのたちの家はここ。ツキマとグーズもここ

4→持ち家状態。カノンたち大きい魔物の家。

5→店。店などは大方5ランクが基本。細い木などではなく、ログハウスの状の作りとなっている。


【闘技場】

今の時代から約1500年前から220年前まで栄えていたのが闘技場。熱気で民家が燃えてさらに大火事に発展したので、闘技場はその日を境に倒壊した。

跡地は訓練所として代替えした。


【グーズ】

英名はグレートプレーンズオオカミ。和名はネブラスカオオカミ

絶滅危惧種に認定されているオオカミの一種。

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