表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/177

模擬戦闘訓練

訓練所のイメージで汗臭さをしていますけど、実際はどうなんでしょうか。


 ソフィさんとラーシュがいつ戻って来たかは不明だが、あの後、カズキとスズカで一緒に喋った後に、いつの間にか眠っていたらしく気づいたら、朝になっていた。

 昨日の、案内やらで相当疲れていたらしい。自覚をしていなかったので、今になってようやく理解出来た。という感じだ。


 朝食を食べて、ソフィさんに案内されて来たのは商店街から南に10㎞ぐらい離れた、戦闘訓練所だ。

 北の街には、時々というより稀にモンスターが門番を振り切って街に侵入してくるときがある。この時に出撃するのが、警頭兵たちなのだが、その警頭兵が訓練として使われているのが、この戦闘訓練所である。


 砂岩で出来ている街とは違い、戦闘訓練所は、石づくりで構成で、見た感じだが3階ぐらいの高さがあった。あの手話を習得したらしいソフィさんは、手話で会話をすれば、戦闘訓練所の前に立っていた警護の1人が笑顔で出迎えた。

 扉はないため、警護の人は直ぐに横に避けた後、中に入るように促した。その訓練所の中は少し蒸し暑く、湿気があってジメジメとしていた。それに伴って特有の汗臭さもあって、思わず顔を顰める。

 昨日の朝食時にあった、警頭兵の偉い人が2階から降りて来てから

「いやー! どうもどうも! 先日はどうも!!」

 いや、ちょっと待ってくれ。あんた昨日は日本語話していなかっただろ。と俺とカズキとスズカは内心ツッコミを入れた。だってそうだろう? 昨日まで、俺たちが知らない言語で喋って敬礼していたのに、今、この人は俺たちの知っている言語で喋っている。一体どういうことだ。ってならないか?

「ああ、驚いてますね! ええ! そうでしょう! 昨日まで! 貴方たちの言語は知りませんでしたからね! ええ! 戻ってから勉強しまして! こうして! 喋れるわけですよ! 一日で覚える者なのかと思いますが! 私は! これでも! 勉学では! 常に! 1位でしてね! はは!」

 正直に言おう。声が大きい。ついでに、エクスクラメーションマークが多すぎる。妥協点を考えてくれ。以上。だが、声には出さないがな。


「戦闘訓練だね! では! こちらに! どうぞ!」

 という警頭兵の偉い人は、歩き出したので、俺たちも彼の後をついていく。

「我が! 警頭兵軍事部隊は! 常に! 戦闘面での訓練を! 欠かせません! なぜなら!」

 歩きながら説明してくれるのは、非常にありがたいが、声が大きい。

「訓練用のかかし! 実にッ! 素晴らしい商品だ!! この! かかしは! 南東に住んでいると言われている! ジャンジャン族という! 種族が作った最高傑作ですからッ!!」

 ジャンジャン族という知らない種族が出て来たぞ。というか、部品あたりはそう言う種族が作ったりするのがこの世界の決まりなのか? 時計だったり、本の複製だったり。

 大声で説明されつつ地下1階に連れてこられた場所は、王宮でも見た訓練施設だ。

「模擬戦闘訓練所ですぞ!! 中央に存在する王宮とほぼ同じ作り!! 最先端!! 素晴らしいッ!!」

 エクスクラメーションを増やすし、声の音量はさらに大きくなる。耳を塞ぎたい。ラーシュに至っては耳が後ろになっているぞ。しかし、警頭兵の偉い人は気づかない

「私は!! 上にいますので!! 終わったら!! 声を!! かけてください!!」

 そう言って警頭兵の偉い人はその場から離れた。鼻歌を歌って。


「これって、難易度も設定できるみたいだ」

「何、そのゲームみたいなの」

 元々RPGのような異世界なのに、難易度が設定できるという謎の使用がある。最先端と言っていたし、その最先端が難易度の設定なのか?

「どれが一番難しんだ?」

「一番下の奴からやってみようか」

 言語が良く分からない難易度を選んだ。


10分後

「難易度、高い方を選んでしまった…………」

「南方面はそのぐらいだぞ」

 カズキの言葉にソフィさんさんはそう返す。

 息切れは起こしてはいないが、翌日筋肉痛になるだろうというぐらいだ。簡単に言えば、難易度は一番高く、全部の敵を倒すまで抜け出せないぐらいの高難易度の模擬戦闘だった。

 南方面があれぐらいだとすると、俺とカズキとスズカはソフィさんとラーシュのサポートがあっても必ず死ぬことが目に見えているぐらいだ。模擬戦闘だから、当たったら警報音が鳴る仕組みになっており、カウントもされていた。3人で合わせても100回以上のカウントが回っている。

「巨人に合う約束をしているんだけど、もう少し戦闘を付ける必要があるな…………」

 俺の言葉にカズキとスズカは頷いた。

「じゃあ、下から2番目を挑戦するか。多分中級だと思うぞ」

 ソフィさんの言葉に、俺たちは頷いてからそれぞれの武器を持って再び下から2番目の難易度で挑戦することにした。



「最初に…………比べれば……………………簡単…………だったな」

「そ、そうだ…………ね。休憩を入れようか。昼のようだし…………持ってくるから待っていてくれ」

 息切れを起こした。中級難易度は、最高難易度に比べれば簡単だったが、休憩をする暇を与えてくれなかった。隠れた場所から待ち構えたように現れる敵、それを倒しては隠れての繰り返し。油断していると、板挟みになってカウンターが増える。

 それが終わったのが体感的に10分ぐらいだったが実際に時間が不明なままだ。時計がないのが非常に縁だ。旅の途中でトントン族に逢ったら、時計作りを辞めた理由を聞きに行くという、旅の目的が増えてしまった。

 荒かった息が大分落ち着いたところで、ソフィさんは昼食を持ってきてくれた。

「近くの出店で買ってきたんだ。あの声の大きい警頭長さんが、そこがお勧めだって言ってさ」

 と言って近くにあったテーブルに置いたのは、昨日ぐらいにあの男女二人組がお勧めしてくれたサンドイッチに似た何かの専門店のお店の料理だ。

「! あ、これって昨日の昼に食べた」

 とスズカは嬉しそうな顔をする。スズカは、あのお店のサンドイッチに似た何かが余程気に入ったらしい。

「へぇ。食べたことがあるのか。これは結構人気らしいからな。カズキ…………。大丈夫か?」

 未だに息が整ってないカズキにソフィさんは尋ねると、カズキは頷く。

「カズキくん。水を飲みましょう。ここって近くに飲み水が逢ったと思うから。カズキくん結構喋ってたから、喉が渇いて声が出なくなっているんだよ」

 スズカはカズキの背中をさすりつつ、ラーシュに水を持ってくるように頼んだ。



 昼食を食べ終えて休憩しているとカズキの声も復活してから数分して

「あ、そういえば、難易度を訊いて来たよ。4段位階あるみたいで、西、北、東、南のモンスターの順で模擬戦闘訓練が開始されるらしい」

「じゃあ、最初の2つは東の方向のモンスターと北のモンスターの難易度だったの?」

「そうみたいだね」

 スズカの言葉にソフィさんは頷く。

「最高難易度の南の街の情報も仕入れたよ。警頭兵の最終試練場所として繰り出されるんだ。そこをクリアすれば晴れて合格の超難関組織で、鉱山が各地にあるらしくて、工業の街だそうだ。ただ、空気が悪いらしく、旅行者が南の街に訪れることは、滅多にないらしい。移住者も来ないことで有名だが、安息して暮らせる街としても有名だそうだ」

 ソフィさんはそう言いながら水をぐいっと飲み込んでから

「さ、休憩時間はこれで終わり。次はどれにする?」


 東の街に行く予定もあるので、東の街のモンスターの模擬戦闘訓練を行った。

 東のモンスターは、待ち構えるスタンスがあることさえ覚えれば、カウンターの数も徐々に減っていく。

「はぁ…………疲れた」

 夕方になったので、俺たちは宿泊している宿屋に戻ることになった。

「熱心でしたね!! 流石!! 勇者様だ!  素晴らしいッ! くぅッ!!」

 訓練所を離れる際に警頭兵の偉い人は、何故か涙を流す。相変わらず声が大きいが。

「全部の街を!!! 見終わった際に!! 中央の王宮へ戻ることを!! 推奨しますぞ!!」

 俺たちが耳を塞ぐのを気にせず警頭兵の偉い人は、何故か王宮に戻ることを勧めた。

「それは、なんでですか?」

 スズカは尋ねれば、何を当たり前のようなことをという顔をしたのち、

「新たな情報を!! 王宮に伝えるのが!!! 役目でしょう!! 歴代勇者様も!! そうしましたぞ!!」

 初めて聞いたぞそれ。 

【エクスクラメーションマーク】

!←これのこと。通称ビックリマーク。


【ジャンジャン族】

南東にいるとされている種族のこと。大体5頭身半。機械関連の商品は全てジャンジャン族が作り出している。その値段は金貨2100枚ほど。高いね。壊れないかかしは金貨2200枚ほど。


【南の街】

工業の街。鉱山がたくさんあり、もっとも機械に任せて動かされる。常に空気の質が悪く草が一切生えない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ