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それぞれのイメージ
元々古い屋敷を買い取っていたアルデバランさんが住む屋敷が半壊したのと周囲に生えていた木々がなぎ倒された事以外の甚大的被害はなかったのだが、枝やら小石やらが飛び散ったこともあり、近隣住民はそれらを片付けるのに一週間ぐらい掛かり、観光名所であるアルデバランさんの屋敷を手伝いに地域住民が駆り出されたとスズカとカズキから話を訊いた。
俺は何をしていたのかというと、俺が街の様子を見に行く際にイザールさんが俺の腕を掴んでから
「この街の住民の半数以上は魔族に関して非常に過敏になっているんだ。しかも、巷では魔王が攻撃をしかけたのではないかという噂話まで浮上している。ここでお前が行けば事態はややこしくなる」
と真剣な表情で、そう論された。
俺の個人的な意見としては、手伝いを申し入れたかったのだが、イザールさんの言葉によりヘルモーズが
「元々魔王がこの世界を襲っていたというイメージが強いのです。そのイメージを拭いきれない限り手伝いをするのは止めた方がいいと思います」
と言われて俺は悔しい思いをしながら頷いたのを覚えている。