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ヘルモーズの見解
「いいえ、それは嘘です」
ヘルモーズは強く否定した。
「私もキオリさんも戻ってくるまで一度もこの世界に行っていません。キオリさんが本来死ぬはずだったこの身体に入ったのは、この世界に最初の魔王が再来してから一万四千年後の出来事です。そこから現在まで一度もこの世界に訪れていません。それに魔族や天族、外族でもこの世界に行くのには、キオリさんから訊きましたが、別世界から呼ばれる方法と類似しています。実際にキオリさんもその方法でこちらに呼ばれましたので」
ヘルモーズは真面目な顔つきになりながら説明する。
それを鏡越しで見ていたソフィさんは目を大きく見開いてから
「その類似ってのは?」
「拘束具で逃げられないように両手首と両足首を固定させれた上の拘束での召喚方法です。私たち魔族はそれらが現れた時点で、生きて生還するのは諦めるしかなかったそうです。キオリさんが現れるまでは」
ヘルモーズは一旦言葉を区切り、俺をチラリと見てから
「キオリさんは、魔界では救える者として重宝しています」