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元に戻る場所
整えた髪が乱れるほど、風が強く吹いていており、風によって身体が動かされるぐらいとても強かった。ここ一帯の地域はその程度の強風が吹き乱れている為、地元住民は、立ち入り禁止だと話していたのを訊いたことがある。
だと言うのに、何故、俺が立ち入り禁止であるこの場所に立っているかと言えば、あの場所にもう一度戻る為である。
「君があの危険な場所に戻るというのなら、それなりの覚悟が必要だろう。ここで癒えた傷は元に戻れば癒えた傷のまま復活とはならず、あの激痛に再び苛まれることは既に確定事項だ。それを覚悟した上で戻るというのだな?」
彼のその言葉に俺は強く頷いた。