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それらの暗躍
「可笑しいです。実に可笑しいです。本来なら、君の肉体という肉体は原型を留めずに塊と化すというのに可笑しいです。もしかして、もう一つの生命が維持しているからですか? それなら両方とも溶かして私の培養液に成り下がることを推奨します」
最初は不思議そうに首を傾げながら尋ねてくるそいつは、今では、まるでいいアイデアだと言わんばかりの笑顔で俺に話しかけた。
「培養液…………? もしかして、今あなたが立っている場所にある紫色の粘着性のある液体のことですか?」
ヘルモーズは睨みつけるようにそいつに尋ねた。あくまで怒りを立てずに冷静な声音で落ち着きを払った対応であった。
「そうです。そうです。大正解です。褒めて差し上げます。素晴らしいです」
「棒読みで言われてもなぁ……」
そいつは、棒読みと無表情で両手を三回だけ叩きながらそう言ってから
「だけど、それはつまらないです。やはり、培養液に成り下がるだけではなく、私と同じ個体になればそれで万事完結ではありませんか。さぁ、どうぞ」