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廃れた神社
火照命さんを先頭に俺はカルガモの雛のように後を追いながら、今行く廃れた神社へと向かっていた。
「五百万年前は、高天原が地上に在ったんだ。その際の参拝者用としてこの神社が出来たんだが、それから二百万年後に起きた衝撃により、高天原だけが浮かび上がりそこに住んでいた僕たちは取り残されているんだ。それ以降は全く手を付けくわえられていないのが、今向かう神社ということさ」
火照命さんは、振り返らずにずんずんと歩幅の速度を落さないままそう言った。
「衝撃?」
「君達でいう所の地震というものだよ。だけど、何故浮かんだのかまでは今でも分かっていないんだ。僕たちはそれに付いて今でも研究しているんだ。いずれ地上に戻りたいというのが高天原に住む魔族の総意だからね」