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火照命
「あれ? あれ? 君はリツノの息子なのかい?」
待ち合わせ場所である神社内にある井戸の近くにある少し背の高い大きな岩に凭れ掛かりながら腕を組んで待っていると、俺のところに近づきながら不思議そうに首を傾げる男性がいた。
「え、あ、はい。そうですけど」
あまりにも自然に話しかけたので、俺は姿勢を正してから彼に向かってそう言えば
「やっぱり! 直ぐに分かったよ。君はリツノ似なんだね! えーっと、キオリくんだったかな? 目的の場所の案内及び護衛を担当することになった火照命だ。よろしくね」
赤髪と赤い瞳が特徴で赤い着物を着ている人物というのが事前情報だったのだが、何故俺はそれを失念していたのだろうか。
火照命さんは、母さんの事を知っているんですか?」
「知っているも何も、彼女もこの高天原に正体されたことがあるんだよ。