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伊豆能亮
高天原の中でも大きくそびえ立つ白色と群青色で統一された城に、キオリは驚きを隠せないでいた。高天原に行く際にも見えたそれは、最初の第一印象を与えた。
元いた世界でテレビの特集番組として組まれていたお城特集を見ていたのだが、見た感じはそのお城に類似しているようだとキオリは思った。
「さぁ、さぁ、キオリくん。どうだい? どうだい? この城は! 我々の最高傑作でね。キオリくんの住んでいる世界のとある城をモデルにしたんだ」
その城を通り過ぎながら俺に得意げな顔をする伊豆能亮さんは、ずんずんと先に進んでいくので
「あれ? あの城じゃないんですか?」
と尋ねれば伊豆能亮さんは、立ち止まってから振り返り首を傾げた後、何かに納得して
「あれは、ただの飾りだよ。木の板で張り付けてあるいわゆる見せつけ。みたいなものさ」