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ある規定事項
精神が魔界に来てから4回目の魔王が交代した。先代魔王であるアルバンさんは、炎の魔術で焼かれたのか恐怖に染まった表情で魔王城の最上階に位置する玉座の前で焼死死体となって帰ってきた。
あまりにも惨い光景に、俺は、怒りを通り越して無の表情になってアルバンさんの遺体を見つめてからアルバンさんの側近の魔族から白い布を受け取ってそれを優しく遺体にかぶせて祈るように黙禱の意を示した。
それから二週間後に俺は、一人で現魔王であるイズンさんに呼ばれて謁見の間へと赴いていた。
魔王城の大掃除以来、イズンさんとは、業務連絡しか言葉を交わしておらず、本来の性格はどういう人なのか全く見当がつかないでいる。