謎の森の出現
「あれが、ゴヴニュの饗応…………なのか?」
ティル・タルンギレの中にいるのにも関わらず、幻術か幻影が見せられているのか鬱蒼とした森の中心部だろうと思われる場所にいつの間にか立っていた。
ヘルモーズの固有能力があればどうにか幻術か幻影を切り抜けられるが、ヘルモーズと分離状態になってから固有能力は使えなくなっていた。アウラさんが言っていた俺の固有能力はヘルモーズとしてなる前だったからそれが表に出たのだろうということで納得して、今現在、俺の固有能力は不明のままだったのだが、魔力測定を行った際にコシャルさんから微妙な顔をされたのち、ティアマトさん抜きでまた来てくれと言われたぐらいだ。
話はそれたが、冒頭に戻ろう。
ティアマトさんとはぐれてしまった俺は、ティアマトさんの名前を叫びながら歩いていると、俺の手よりも大きくしかし、片手で持てるぐらいの赤色と桃色の中間点ぐらいの色合いをしておりそれが下に下がると色が濃くなり最終的に先端は黒で構成された少し丸みを帯びた物体がそこにあった。
冒頭のセリフは、これを見た感想である。
ゴヴニュの饗応を知っているおばあさんの話だと、匂いは無で味は爽やかさと甘酸っぱさが混じったようなものであるということだけだ。見た目も教えてくれたのだが、その時は桃色が熟れているということだったので、今目の前にあるこれは熟れを通り越して枯れる前なのだろうと勝手に推測した。
今回の目的はゴヴニュの饗応を完全に枯らすことなので、これはそのままにしておこう。
「