ティル・タルンギレ
俺とティアマトさんはゴヴニュの饗応があるティル・タルンギレに訪れていた。
ティル・タルンギレは、メル・マグより木々が多いのが特徴で、主に農産物に力を入れているという。ここで育った野菜か果物と言った作物は、魔界に存在する街に輸出されているのである。
「ティル・タルンギレに住む天族のほとんどが男性が八割ほど占めているの。理由としては、農作業はほとんど力仕事が殆どなの。最初は女性がやっていたのだけど、木箱に積まれた大量の野菜を荷台に乗せるのに三日以上も掛かって以来、男手を必要としたの。女性陣は田植え、水やり、箱詰め、納品、販売を行って、男性陣が力仕事を全面的にやるようになってから生産の効率が倍以上に伸びたのよ。そのアドバイスをしたのは転生者である人間の一言なのだけどね」
とティアマトさんは笑顔で説明しながら俺にそう教えてくれた。
魔族の時もそうなのだが、魔界に暮らす魔族と天族には、あらゆる作業をほぼ魔法で対応している為、それ故にどれが効率がいいのか全く思いつかばないのだとタツオさんから話を訊いた。
管理図書の一件で唯一、救出されたことを覚えていたタツオさんと偶然ヘルヘイムで会ったさいに、かなり困惑していたのを思い出しながら