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手慣れている

 魔王城に戻ったキオリとトールは、アフラ・マズダーに報告を済ませた後、部屋の前で別れてからキオリはベッドの上に雪崩れ込むように倒れてそのまま寝息を立てた。

 それを部屋の前で別れたはずのトールは、ヘルモーズの部屋の扉をゆっくり開けてからキオリが気が得ないまま寝ていることに対して肩を竦めるように苦笑しつつキオリをお姫様抱っこでベッドに横にさせてから毛布を被せてから部屋を出て扉を閉めた。

「今日はハードな一日だったからな。お疲れさん」

 と小声でトールは呟いてから今度こそ部屋の前を後にした。

 キオリが起きたのは、それから2000年経過した後だった。


 キオリと言うより、元々はヘルモーズの体力の限界に近いことだった。

 元々、ヘルモーズはティアマトによって造られたクローンのようなものの失敗作であり、それにキオリの精神が入り込んだことによって何度かヘルモーズの体力とキオリの体力で今まで乗り越えてきたのだが、限界に近づいたのである。

 その限界をが超えたのは、ユグドラシル大樹での出来事である。本来ならコンクリートのように固い地面で壊れることは決してないのだが、それをキオリは隠し持っていたのであろう小型ナイフをわざとキオリ自身の右手に突き刺したことによって加護から除外される条件であるユグドラシル大樹に血を流すなという項目に見事引っ掛かり、そのまま穴に落ちてその男に手を伸ばして助け出したのである。

 大量出血とその前の体調不良にプラスするような形でキオリとヘルモーズの体力が合わさった状態であったから。だが、キオリが2000年眠っても、魔族はいつものかと納得出来るぐらいには手慣れていた。

 というのも、魔族は長年眠り続けることで消耗した体力を回復させることが普通なのだが、キオリが来てから長年眠りに入ることはなかったのである。リグレット洞窟で身動きが取れなかったエリゴスがその事例である。しかし、キオリは魔族の事情を詳しく知らないのである。流れに身を任せればいつか分かるだろというスタンスだったからだ。


 キオリが眠っている間、アフラ・マズダーから受け継いだアルパンは元々、魔王城が監視塔であった時からの使い古しに文句が言いたかったらしく外装やら内装やらを一新させた。ただし眠っているキオリには起きた時に説明するという前提でキオリが寝ている部屋以外はほぼ一新された

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