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邂逅する人物

前回のあらすじ

外族の言語を習得済みだと思われるアルスヤラルユル。



 香料会の表向きな活動は、料理に使われる香料の種類の多さやそれを広めるための宗教団体であるのだが、香料を崇めるわけではなく広めるためのものなので宗教団体とは別じゃないかと疑問になるところなのだが、本当の目的が外族の信者探しも含めている為、宗教団体として扱うには丁度いい隠れ蓑になるわけだ。でも表向きの宗教活動をしなければ怪しまれるので、不定期に魔王城に訪れて香料会の開催をお知らせするのである。

 だが、俺が魔界に来てから初めての香料会へのお誘いなのだが、一体何をするのか見当がつかないので、開催が決まると同時に行っているというアラルさんに話を訊いてみることにした。

「不定期に開催される香料会について? キオリはそう言うのに興味がないのだと思っていたんだが……」

 と怪訝そうな顔をされた。

「香料会の設立者である。えーっと…………アルスヤラルユルさんって人に、招待状を貰ったんだよ、それで、香料会ってのには詳しくないからどんなものかなって思ってさ」

 以前まではアラルさんに対して真面目な口調で話していたのだが、途中から呆れたような顔をしてから、普段の口調で話してくれと言われて以来、素の口調で話している。ヘルモーズの時から違和感がありまくりだったらしい。

 ヘルモーズだった時の記憶は、正直に言うと曖昧な部分がある。自分が自分じゃない感じってのは、ありきたりのような気もするが、分かりやすく例えるなら夢を見ているような気分だ。少し白い靄がかかっているが、周りは鮮明に見えているような錯覚が覚えるアレだ。夢のような感覚なので、覚えていたり覚えていなかったりしている。

 閑話休題。

 話を元に戻すが、俺の言葉にアラルさんは驚愕し俺の両肩をアラルさんの両手でがっしりと掴んでから

「あの、アルスヤラルユルとあったのか!?」

 険しい顔で俺に詰め寄った。

「!? あ、ああ…………。何かあったのか?」

 突然の事に、俺は驚愕しながら尋ねれば、アラルさんは複雑そうな顔をしながら

「本当に、どうでもいいことなんだが」

 と言ってからまた黙り、数分して意を決したような戦場へ向かう戦士のような顔つきをしてから

「その…………喧嘩しているんだ」

 とそう言った。

「喧嘩…………」

「ああ。アルスヤラルユルと俺は、名前が似通っているからよく遊ぶ仲だったんだが、そのせいで、名前の間違いで互いに不利益になることが起きたんだ。そのせいもあって気まずいままで、お互い連絡をとってなかったんだが…………。まさか、ここでアルスヤラルユルという名を訊くとは……」

 俺の呆けた答えにアラルさんは頷いてから困惑気味に教えてくれた。

 名前の間違いで不利益になることって? とは尋ねなかった。お互いの喧嘩内容まで足を踏み入れることはないだろう。


 その後、悶々としていた表情を浮かべつつもアラルさんは、本来の目的を思い出してから

「ああ、忘れていた。香料会について知りたいのだったな。不定期に開催される料理教室と思っていい。香料は料理の味を引き出させくれる調味料の一種だと天族はそう考えられているらしく、いろんな料理を振る舞いつつ香料を加えて、どの料理にどの香料が合うかどうかを試行錯誤しながらするものだな。特に女性参加率が高い。魔族は料理が上手なほど嫁に行きやすいという噂があるからな」

 噂かよ。と心の中でツッコミを入れつつ、脳内に書き込んでいく。

「その料理はその場で食べたり上げたり出来るから魔族では唯一楽しみにしている行事ごとの1つと言ってもいいだろう」

「不定期に開催されりゃあ、そうなるだろうな…………」

 その後、香料会の話をした後、アラルさんは、エリゴスさんに呼ばれてその場から後にしたので、俺も部屋に戻ることにした。

「その前に、少し話でもしようや。勇者候補のキオリ」

 曲がり角に曲がってすぐに後ろでどちらとも言えない声で話しかける人物がいた。残念なことに影は反対側を照らしていて見ることは出来なかった。

「…………あんたは誰だ?」

 俺は振り返らずにそう言えば、その人物は口笛を吹いてから

「いい判断じゃなぁ? 普通なら振り返るってのに、振り返らない。素晴らしい判断だ。あいつらが救世主だったり救える者だったりと名称を付けてはいるが納得は出来るねぇ?」

 そいつは答えずにのらりくらりに先ほどの質問をはぐらかした。

 俺は内心イラつきながらも冷静さを保ちつつその言葉であることを思い出した。

「もしかして、リグレット洞窟やメル・マグ管理図書の地下空洞の仕業はあんたか?」

 そう言うと同時に右手が首元を潰すように握ってきた。

「…………っ!」

 呼吸が段々息苦しくなる前に俺は、俺の首を絞めている右手を両手で掴み思いっ切り引っ張りながら外そうとしたが、微動だにしないほど力強かった。逆に俺の体力が奪われてしまいそうだ。ただでさえ息苦しってのに。

「まさか、それだけの情報で正体を言い当てるなんて、流石と言うべきか。はぐらかしたつもりだったのに、勇者候補のキオリにヒントを与えてしまうとは」

 俺が返事が出来ないことをいいことに、そいつは俺を見ながら喋り続ける。

「だが、また見つかるわけには行かないから。今回は見逃してあげよう」

 パッと俺の首を絞めていた右手を振りほどくように急に放してから両手で俺の背中を押し倒した。

「っは…………。はぁ、はぁ」

 右手で首元に触りつつt呼吸を整えてから、振り返ればその人物は既にいなかった。


 それから2週間後にシャプシュ達が魔王城に戻ってきた。メル・マグだけだったが、宗教の数はおよそ300近く合ったらしく中には1人で活動している宗教もあったとか。

 謎の人物の邂逅は、あれ以来無かったのだが、ティアマトさんに報告しようとするが、ティアマトさんと出会っただけで霞が掛かったように思い出せなくなり数十m離れてからようやく思い出すという仕組みになっていた為、話すに話せなかった。謎の人物が何かしたのか全く見当がつかない。堂々巡りで先に進まなかったので、記憶の片隅にでもとノートにはそのことには記しておいた。

 シャプシュのお土産の中にはクッキーとか魚とか消耗品から必需品までもがあったのだが、全ては宗教団体が最初に渡すものだという。物で人物を釣るという行動が見事に出ていた。

「キオリ様には全部差し上げますね!」

 シャプシュは瞳を輝かせながらそう言った。

「魔王城の調理場と備蓄倉庫に入れておこう」

 大量に貰ってもいらないものは、いらない。ので、俺がそう言えば

「流石です! キオリ様」

 貰っても貰わなくてもシャプシュは、こう言うのだろうなと安易に想像が出来た自分を少し呪いたいと思ったのは間違っているだろうか。

「?」

 何故か少しだけ意識が失ったような感覚に陥ったような気がする。1時間ぐらいだ。

 そして、何故かシャプシュが両手を合わせて顔が綻んでいたし、なんなら周りに花が視えるぐらいにはシャプシュは浮かれていた。

「嬉しいです! キオリ様に褒めてもらえるなんて恐悦至極です!」

 俺は褒めた覚えはないんだが、何故か褒めたことになっているんだ? 少し意識が遠のいた気がしたんだが、その時に乗っ取られたか? いや、やめておこう。その話を考えるのは後でいい。

 俺自身には記憶にないことだが、とりあえずシャプシュの頭をなでれば更に花が舞ったようなエフェクトをみてしまったので、俺はラーシュを思い出して思わず苦笑いをした。

 その時、咳払いをした男性が近づいてきて俺たちにこう言って来た。

「シャプシュ、キオリ。魔王様がお呼びだ」

【謎の人物】

男か女かハッキリしない声でキオリに話しかけた。

証言だと魔族の男性。


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