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香料会の招待状

前回のあらすじ

香料会が外族の信者である。

 アルスヤラルユル。愛称でアルスと呼ばれている男性が外族に信仰する切っ掛けとなったのは、ラー()と呼ばれる天族が最も好むと言われる(みずうみ)があり、そこで羽休めをしていた時のことだった。

 ラー湖には聖なる水と呼ばれる魔力を回復させる不思議な水がありそれを加工して人間が住む街に届けているのが聖水と呼ばれ、その値段は冒険者が最初に貰う手切れ金で1本買えるものなので、何かが物事を揺れる音にアラスは耳を傾ければ、誰かが話しているような会話が聞こえたのだが、アルスでも聴きなれない言語であった。後に分かったことなのだが、それが外族の言語であると知った。

 詳しく内容を聞こうと前に進むと黒い靄のような謎の物体が2体蠢(うごめ)いていた。

「っ!?」

 最初こそ息を飲んだアラスなのだが、その黒い靄の謎の物体が、周りが散々言っていた外族であるということに脳内で映像のように記憶が流れ込んだ。そして次第にアルスは、外族が如何に素晴らしいか見とれてしまい、惹かれていったのである。

 それからラー湖に行くたびに外族を探すようになり、彼らがラー湖に寄らなくなってからは、そこから公式には出せない非公式の外族を信仰する宗教を設立させたのであった。


 魔族にも外族を信仰している者がいるというのは噂程度でしか訊いたことが無かったアルスは、今、目の前にいる魔族で外族を信仰している同士と出会ったことに内心、歓喜していた。

「キオリというのは、あの女装をしている男性のことだろう? 救える者と我々はそう訊いているのだが、その彼が外族の救世主とは、どういうことだ?」

 魔界全体を救える人物だから救える者となっているのだが、さらにプラスするように外族から救世主と呼ばれている。

「流石に特典が盛りすぎだろう。彼は異世界から召喚された勇者候補の1人だろう? その話だとこの世界でも何かと奮闘していたそうじゃないか。なんだ? 魔界に転生した人間が確か変なこと言っていたな。ちーと特典だったか? それに該当するものばかりじゃないか」

 流石に信じられないと言わんばかりにアルスは、眉根を寄せてシャプシュに目線を送れば、シャプシュも

「流石にわたしたちも信じられなかったわ。けれど、キオリ様自身がこの世界と魔界の和平を望んでいるのよ。わたしたちはその発想は無かったわ。アルスヤラルユルはどうなの?」

 真剣な目でアルスを見据えれば、アルスを含む天族は驚愕した。

「魔界とこの世界を結ぶということ、キオリ様が何故12000万年前である魔界にティアマト様が捨てるはずだった器に入ったのか。それを私たちは調べてキオリ様に話そうとは思うわ。その、ちーと特典? というのと似ているけれど、彼は自力かもしくは他者の力を借りて行うのに対して、ちーと特典を手にした人間の転生者は、周りが迷惑しているのにもかかわらず、何かやりました? みたいな感じ悪い人の事を言うんじゃないの?」

 シャプシュの言葉にアルスは、それに納得したのかしていないのか微妙な顔つきになりつつも

「確かにそうだな。あいつは、なりふり構わずって感じだが、キオリはそうではないただの一般市民って感じだったからな」

 と大きいため息を付いてからアルスはそう言ったのである。


「というわけで、キオリ様が名前を偽って外族の信者がいるのではないかというのを、わたしたちが代表してこっちに来たのよ」

 シャプシュがメル・マグに来た理由とその目的を話せば、アルスと20人の信者は信じられないという顔をしていた。

「キオリ様の思考は、わたしたちでも驚愕するものよ。それを看破する理由になったのも、メル・マグに戻ってからキオリ様は外族に関する本をメル・マグ管理図書からいらないから貰ったものだとティアマト様が言っていたわ。何故、キオリ様が外族に関する書物を貰ったのかは不明だけど、救世主だからこそ、外族に関して無知なのよ。外族と魔族と天族が共依存することを決めているのだとしたら、外族がキオリ様を救世主と呼ばれる理由でもあるでしょう?」

 シャプシュがそう言えばアルスは、ふむと頷いた。

「キオリに逢って話がしたい。実際に語って彼を本当に外族の救世主となるのかどうかを我々は知りたい」

 それが結論であった。他の天族もアルスの言葉に頷いた。

「分かったわ」

 シャプシュはアルスのその言葉を受け入れた。


 香料会から後にした時には既に夕方に差し掛かっていた。大きい収穫を得た、宿屋に戻ったシャプシュは、それらの出来事を手紙に記した。

「さてと、本来の目的は果たせたけど…………」

 とシャプシュが悩んでいると泊っている部屋の扉を叩く音が聞こえてシャプシュは返事をすれば、アルスが入ってきた。

「アルスヤラルユル。どうしたのよ?」

 シャプシュはアラスに椅子に座るように促し彼が座ったのを確認してからそう尋ねた。

「キオリに手紙を出したい。ヘルヘイムの魔王城に香料会を広める目的で行く用事があるんだ。その時に彼と直接会って話がしたい。その時間があるかどうかの確認をしたい」

 その言葉にシャプシュは驚愕したものの、頷いてから白紙の紙とペンをアルスに渡した。

 アルスはそれを受け取り、テーブルに手紙を置いていざ書き始めることにした。何を書くのかはもう決まっている。


 メル・マグにいるアルスヤラルユルという天族がいるらしく、ティアマトさん経由ではあるが、それを受け取った。

『キオリへ

 突然の手紙で申し訳ないと思っている。

 私は、アルスヤラルユル。天族で香料会という宗教を開いている。我々香料会では、香料の素晴らしさをヘルヘイムの魔王城に住む魔族に伝えるために、不定期に香料会の開催しているのだが、その香料会の開催にぜひ、キオリにも参加して欲しいと思い手紙に記しました。

 詳しい日時は、魔族のシャプシュに伝えているので気になったらシャプシュに連絡して欲しい。この手紙と一緒に招待状を送付しておりますので、よろしくお願いします。

 アルスヤラルユル』

 送付していると言われて淡い色の便せんの中を探せば、もう1枚の少し曲がったけれど、折り目がない長方形の招待状と書かれた手紙があった。

「香料会…………ねぇ?」

 俺は何となくその裏側を見ると

『我々は外族の信者である』

 と書かれた文字があった。

「!?」

 ベッドで横になろうとしていた身体を無理矢理にでも起こし、俺は机の上に置いた手紙の裏側を見た。

『シャプシュから、キオリが外族の救世主であることを訊いた。ならば外族の言語であり文字でもあるこの字を読めるはずである。この文字は香料会の独自言語として外族の信者ではない人物はそう思っている解読できるのは、救世主のみである。書いている我々も、この文章がちゃんと繋がっているかどうか分からない。

 香料会に誘ったのはシャプシュがキオリが救世主であるかどうかの見極めをしたいからである。我々、外族の信者の何名か連れて、キオリを見るつもりだ。どうせ女装しているだろう。ぷーくすくす』

 最後の最後でからかっているのかと思ったが、これを書いているアルスヤラルユルはこの文章をちゃんと言語化されているのか不明だと言っていたことから、最後の奴はまた会おうってことなのだろう。

「なるほどな。シャプシュさんが戻ってきたら、早速伝えるか…………」

 表向きの任務はメル・マグの宗教の数と人数、なにをやっているかの調査するということだったはずだ。本当の目的は表向きの宗教とは違う外族の信者を探すという目的だったのだが、思ったより本来の目的は達成されたんだな。

【香料会の招待状】

不定期に香料会はヘルヘイムの魔王城を来訪し香料の素晴らしさを伝えるために普及活動を行っている。


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