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真鳥 杏3

「よっす。明、橘さん…と真鳥先輩!?なんでここに!?」


 雲雀は入ってきた途端、大きないい声でいった。うるさいうるさい。

 状況が掴めないのか、俺と橘さんと真鳥先輩を見てくる。わかるぞ、雲雀。俺だってこの状況を把握してる訳じゃない。ていうか、雲雀も知ってるのか、真鳥先輩のこと。疑ってたわけじゃないけど有名人なのか、この人。確かに綺麗だし、陸上部のエースで表彰もされてたら知ってる人は知ってるか。


「こんにちは〜、凪 雲雀くんだったわよね?」


「えっ、俺の名前!知ってくれてるんですか!?」


「うん。ちょっと知る機会があったからね」


 おいおい、俺の時とだいぶ違うな。マジでからかわれてたってことなんだろう。はぁ、最初見た時は幻想的な雰囲気だったのに、いつの間にか…


「マジかよ…で、これはどういう状況なの?」


「うーん、私もよくわかんないんだよね。来たら杏先輩と明くんが話してたって感じだったから」


「や、俺もよくわからん。俺がここに来るよりも先に真鳥先輩来てたし。ほんとになんでここにいるんですか?真鳥先輩」


 雲雀の問いかけに対して、俺と橘さんがそう答えて、3人とも真鳥先輩の方を見る。


「ありゃ?私な感じ?まぁ、凪くんも来たことだし話しますか!」


 どうやら俺達3人を待っていたようだ。

 なんで3人を待っていたんだ?だって橘さんと集まるようにしようってなったのは昨日だったはず。もしかして、橘さんが?それは無いか。橘さんも真鳥先輩が来て驚いてる様子だった。まぁ、こんなこと俺の中だけで考えても答えは出ないか、大人しく真鳥先輩の話を聞くか。


「えっとね〜、昨日の6時すぎくらいにさ、君たち3人で帰ってたでしょ?」


「私さ、その時図書委員のりんなちゃんとさ、一緒に帰ろうと思ってたところなんだけど…和気あいあいと談笑しながら帰ってる所をみてさ〜楽しそうだなって思って。ふふっ」


 この教室を出る時にいたのか、全然気づかなかった…


「さっきも言ったけど、私受験生だからさ、勉強ばっかで暇だったの。部活もやってないしね。」


「あ、真鳥先輩3年ですもんね」


 雲雀が思い出したかのように言った。


「で、まぁ、面白いことしそうな雰囲気だったじゃん?君たち」


 面白いこと。「彼女作り大作戦」のことを聞かれたわけじゃ流石にないだろう、帰りの時に見たって言ってるし。けど、俺達がなにかしようとしてる事は気づいてるみたい。

 すげえな、この人。伊達に有名人やってないな。


「まぁ、他にも理由はあるけど…まぁ、個人的に私がすごい気になるのよ。君たちがなにかすることに。だって、面白いことしそうじゃない!!!君達。あんまり接点なさそうな君たち。ふふっ、なんでか分からないんだけどね」


 なぜか興奮気味に話している引き気味の俺たち。最初の印象からだいぶかけ離れてて怖い。

 しかし…接点がなさそうか。言われてみればそうかもしれないな。家でばっかりゲームしてる俺。元気でうるさい雲雀。バリバリ陽キャの橘さん。でも、人の巡り合わせってのはこんなもんな気がする。


「ま、こんな感じの、私でもよく分からないけど、勘ってやつを理由にここにいるのよ。分かってくれたかしら?でも私の勘は結構面白いことに繋がるからね、間違いないよ」


 自分の勘に結構自信を持ってるみたいです。

 だけどなぁ、昨日の今日で彼女作り大作戦のメンバーを増やす必要って無くないか?確かに真鳥先輩は綺麗ですけど…普通に彼女が今までいた事ないことを美人な人に知られたくないっていう、謎なプライドがある。

 しかし、昨日の橘さんとは訳が違う。まだ話の内容、彼女作り(以下略)の内容はまだ知られていない。謎の勘はあるみたいだけど、内容まではまだ知られていないと思う。

 そんなことを思っていたら真鳥先輩が言った。


「でもなんかこの感じからして、恋愛関係かな?ふふっ」


 前言撤回。この人の勘はだいぶ当たるみたいです。大変ですね、ヤバそう。

 雲雀はやっぱり動揺してるように見える。やっぱりこいつ態度に出るなー。そこがいい所でもあるんだけど。

 橘さんは「はぁぁ…」と何か諦めたようなため息をつく。何?やっぱり当たるの?この人の勘。「やばいかも」と小声で耳うちしてくる。お、おう。ち、近いな。いい匂いがした。


「ちょっと?凪くん?態度に出すぎじゃない?図星だってこと分かっちゃうよ?ふふっ。」


 あぁ、さらに動揺してしまっている。雲雀よ。もうこの人に嘘はつけなさそうだ。

 橘さんも完全に諦めて眉間を押さえて頭を横に小さく振っている。

 仕方ないここは全部話して、黙っててもらう。今、俺の辞書からプライドの4文字が消えた。


「あの、真鳥先輩…」


 所々、端折って彼女(以下略)を説明した。

 どうやらまだ、プライドの4文字は消えていなかったようです。くっそ恥ずかしかった!

 だってこの人ずっとニコニコしてんだもん!怖い!はずい!死ぬ!

 いや、彼女作るまで死ねないわ、やっぱり。

 で、俺の話を聴き終わった真鳥はというと…


「あはははっ!なるほどねぇ。んふふっ、やっぱり面白い感じなことじゃない。私の勘、やっぱり当たるな」


 笑われた。はずい。てか、この人やっぱり綺麗な顔してるわ。雲雀は…うん。なんか開き直ってずっと窓の方を見てるわ、かっこいいなおい。(錯覚)


「あの、杏先輩。この話黙ってて貰えませんか?」


 俺が言おうと思っていたことを傷ついてる俺の代わりに橘さんが代弁してくれた。


「ん?まぁいいけど、え?なんで?」


 真鳥先輩がニマニマしながら俺と雲雀を見て言ってくる。

 俺がどう言おうか、考えてたら。


「『恥ずかしい』じゃ、ないですか、こういうこと」


 なんか雲雀がいい声で言った。なんかもう、お前すげーよ…

 真鳥先輩が暫し、目を丸くした後にまた笑った。


「あはははっ!んふ!ふふふ、そりゃあそうよね!うん。大丈夫よ、言わない言わない!」


 うん、なら良かった。もし、話されたりしたら。予測される橘さんが周りに話した場合より酷いことになる所だった。なんせ、この人は有名人だ。違う学年の陽キャとも中が良さそうな人だ。俺達が彼女を必死に作ろうとしているのが北厚見高全生徒に知れ渡ってしまうところだった。うん。本当に良かった。


「で、まぁわかってると思うけど、私も手伝わしてもらうわよ。」


 と、真鳥先輩が言った。

 いやまぁ、そッスよね。うん。多分拒否も出来ないよね、この雰囲気。断ったら多分情報全生徒行きだよね。


「それはまぁ、はい…」


「あら、ほんと?物分りが良くて助かるよ!あきくん」


 満面の笑みで真鳥先輩が言う。拒否権ないからしょうがないじゃないですかやだー


「あっでも、1ヶ月の仮契約期間があるから」


「あー、それは大丈夫よ。あきくんに関してはだけど。」


 橘さんが言った後に「大丈夫大丈夫」と、真鳥先輩が答えた。

 ん?どゆこと?俺に関して?


「どういうことですか」


「それはね、あきくんの第1彼女候補を紹介してあげるってことよ」


「え?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 俺の第1彼女候補がいるそうです。



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