JK襲来
前回の続きです。
「おー!!!」
と1人の女子が入ってきた。
「「!?!?!?!?」」
俺と雲雀は漫画みたいな後退りをした。
突然こんな辺境の地みたいな教室に女子が入ってきたら誰だってびっくりするだろう。
戸惑ってる俺たちを見てその女子は口を開いた。
「えっと、お、お邪魔だったかな?」
俺はなんとか心を落ち着かせて彼女の姿を見る見た。
格好はうちの学校のスカートと普通のワイシャツだ。少し胸元が空いてて肌が見える。そして青色のネクタイ。
この学校では学年によってネクタイの色が違う。1年は赤、2年は青、3年は緑といった感じだ。ちなみに女子は普通のネクタイだけでなく蝶ネクタイも選べる。つまりこのJKは俺達と同学年ということだ。
髪は明るめの茶髪、ぱっちりとしている目、少し化粧の施された顔、身長は低め150cmくらいだろうか。普通に可愛い。
「あ、あのど、どちら様でしょうか…」
俺が少し噛みながら言うと、JKは「あぁ、ごめんね」と言ってから
「私、2年C組の橘 胡桃。図書室で本読んでから帰ろーって思いながら図書室行こうとしてたら声が聞こえてさ、ここあんまり人いないからさちょっと気になって聞いてたら、おもしろくて…あっ、ごめん!盗み聞きしようとか言う訳じゃなくて…」
彼女、橘 胡桃は俺達の話を聞いていたらしい。一体どこから聞かれていたのか…結構、重要だ。
なぜなら、この橘さん、多分だけど中々の陽キャだ。初対面にもかかわらず話し方や態度がしっかりしている。しかも優しい。俺だったらあそこまで初対面の人にしっかりに話せる自身がない。
そして陽キャなら俺達の話をネタとして話す可能性がある。
そうなると、同学年の女子に
「必死こいて彼女探している童貞だ、きも」
とか言われかねない。俺達の始まったばかりのまだ始まってすらいない「彼女作って脱非リア計画(仮)」が失敗に終わるのは非常に心が辛い。どうする、素直に聞いてみるか。
「あの、橘さん?えっと、どこら辺から聞いてましたか?」
雲雀がそのまま聞いた。あっ、と思ったけどまぁ、どうせ口封じさせるしかないから早めに聞いといても遅めに聞いても変わらないからいいけどさ。
「えっと、文武両道の人の所かな?やっぱりまずかった?」
ええ、だいぶまずいですよ奥さん。
くっそ、ほとんど聞かれてんじゃねぇかよふざけんな。
うわぁ…雲雀、隣でなんて顔してんのよ。この世の絶望を表現してるんじゃないよ。これを作品にして絵画展でも出したら1発有名になれる気がするけどそんなことしてる場合じゃない。
とりあえずこのことは秘密にしてもらわないと…
「あ、でも他の人に言おうとか思ってない…ってなんて顔してんの君!?」
そりゃそうだ、そんな顔してたらツッコまれるわ。近藤がいたら真っ先につっこまれて笑いが起きるところだったよ、って今、橘さんなんて言った?誰にも言わない?
「え、橘さん、今誰にも言わないって言った?」
「ん?うん。そう言ったけど?え、だってこういう話広がったりすると恥ずかしいじゃん」
え?何この子、超いい子じゃね?
まぁ、とりあえず一命は取りとめた。
あぁ、雲雀よ、晴天のような笑顔になったな。
「いや、まぁ、黙って貰えるととても助かります」
雲雀はいい声でそう言った。
「…あの、さ」
「「ん?」」
《橘さんが何かを言いたげにこちらを見ている》ってテロップが出てきそう。
「私に手伝わせてくれないかな?その、さっきの話」
え、なぜ、What?イミワカリマセーン
「え、え?!なんで!?手伝う意味がわかんないんだけど!?」
「手伝うメリットないと思いますよ!?」
俺が驚きながら言った後にすぐ雲雀も言っていた。すると
「いやぁ、何かしたいって思ってたんだよね、最近。だからあんまり本読まないのに図書室で本でも読もうとか思ってたら君たちに…ってそう言えば名前、なんていうの?2人とも。ひばりくんとあきらくん?」
あぁ、そう言えば名前言ってなかったな、
謎すぎる展開で忘れてたわ。
まぁ、相手の名前聞いといてこっちが教えないのはおかしいよな。
「えっと、俺は2年A組の浜辺 明 (はまべ
あきら)で、こっちのが…」
「俺も同じくA組の凪 雲雀です」
えっと、とりあえず謎タイミングの自己紹介が終わって…で、なんだったけ。
「で…あぁ、なんで手伝いたいの?橘さん」
「うん、えっと、まぁ…気まぐれかな?」
「でも、手伝うメリットないですよ?橘さん」
雲雀の言うとうりだ。こんな野郎2人の恋愛事情なんてどうでもいい、むしろめんどくさいはずだ。しかも初対面。
「確かにそうだけど、聞いてしまったわけだし…あっ、そうだ2人にメリットがあるならどうする?」
どういうことだ?俺達2人にメリット?
雲雀の頭の上にも?マークが浮かんでいる気がする
「どういうメリットですか?」
「2人とも、彼女今までいた事ないんでしょ?」
うっ、そっか聞かれてたんだ、普通に心に傷が付いた。はぁ…
「しかも作戦がないときた、ならばそこで私という女子が入れば女の子の気持ちとか聞けるかもよ?」
少し微笑みながら橘さんは言った。けど、なんか強引な感じがする。でも、確かにいい提案だと思う。妄想と現実ではかなりの差があるから橘 胡桃というJKがいれば彼女を作るのに有利になるのは間違いないはずだ。
うーん、一人で悩んでも仕方ないな、とりあえず雲雀の意見を聞こう。
「雲雀、どうする?」
「うーん、確かに橘さん、女子がいた方が彼女作りは捗ると思うから…大丈夫だと思う。いい人っぽいし」
まぁ、それは俺もそう思う。だが、すぐにお友達って訳にもさすがに行かないからなあ
実はすごい悪女でしたとかやられたらやだし、あの時みたいに…
「わかった、橘さん。」
「ん?」
「そうだな、今6月が始まったばっかりだし…1ヶ月だな、7月!7月までになにか俺達を彼女を作れるように1つずつ手助けしてくれ、それが成功したら俺達を正式に手伝ってくれ!」
我ながらめんどくさいことを提案したと思っている、だけど必要だと思う。もしもが起こってからでは遅いんだ。
「おっけ!!!仮契約ってことね!わかった、1ヶ月頑張るよ!」
意外とすんなりいって驚いた。
でも、まぁ善意で手助けしてくれる人はいて損なことは起きないだろう。
「よろしくね、橘さん」
「うん、よろしく雲雀くん!明くんも!」
「あぁ、よろしく」
突如、現れたJK、橘 胡桃は俺達を手伝ってくれるそうです。