報酬
入学式でやらかした帰り道、隣で美海がお腹を抱えて笑っていた。
こいつ……札を投げてみた。美海の間合いで灰になった。え、そんな術知らない。
「オリジナル、だよぉ。お兄ちゃん……くくっ」
「笑うなよ。全く、助けてくれれば良かったのに」
「お兄ちゃんなら余裕で勝てると、思ってぇ。
それに知らないもんねぇ静かに出せる強力な呪禁なんかぁ」
そう、なんだけど。
なりふり構わず出てしまった僕のミスなのはわかっているのだ。
でも今終わってからほんの欠片ほど後悔が出てきそうで怖く、なっていて。
「もっと、スマートに解決できたかな!?」
「お兄ちゃんじゃあ、無理だよぉ」
「どうゆう意味だっ!!じゃあ、あいつを放っておいたら」
「ああ『羅剛』?多分みんな死んじゃってたねぇ」
「ら、らごう?」
「人型の俗称だよぉ。呪霊の上位種ー」
なら、良かったのか。
肩を落とす僕に誰かが後ろから抱き付いてきた。
全く、美海……外じゃやめろと。
「美海、おんぶで帰らないからな」
「マコちゃん、守ってくれたんだよね!!ありがとっ!!」
へ?横を見るとふらふらと美海が歩いていた。
て、ことはだ。
振り向くと、すぐそこに双葉の顔があった。
「マコちゃんが戦ってくれなかったら大変だったんだよね?ありがとうねっ!!」
「ーーーっ!?」
声に、ならなかった。
僕の叫びは夕日にこだまして、気を失ったのだった。