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愛すべき病
周りを見て、仕方ないか。
なんて冷たく考える僕はおかしいのだろう。
ひび割れた体育館の窓に、砕けた壁。
そしてその真ん中でよくわからないことを叫んでいた僕。
……引かれるよね。
「お前、なんなんだよ」
眼鏡の男子生徒が僕を見て、声を震わせながら言う。腕章に生徒会と書いてあるのを見ると生徒会長さんなのかな。みんなを代表して、聞いたわけだ。
「えっと」
視界の隅に、人混みを割って僕に向かう双葉が見えた。
今、僕を庇ったりしたら双葉に迷惑がかかる。
頭が混乱した僕は、何故かよくわからないけれど。
「みんなを襲おうとした怪物を倒してました」
嘘をつかなかったのだ。
双葉の何言ってんのマコちゃん!!と言わんばかりの視線に、美海の微笑みが妙に目に焼き付いていた。
「は、はぁ?」
「だから、僕はみんなを、守って……」
「君は、あれか」
そして、この時。
生徒会長さん……五所原左近が放った一言をこれから僕は当分背負い呼ばれる事になってしまう。
それは格好いいものでも、名誉なものでもなく。
「厨二病、というやつか」
思春期に発病する愛すべき病。
それを僕は、背負って行くことになるのだ。