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モノの名前には
呪霊というモノが居る。
と言っても普通の人には見えないし、触れない。
向こうから干渉も出来ないモノで。
名の通り呪われた霊を指す。長年彷徨った霊が自分を呪うケースや殺人事件の犯人が死刑後遺族からの恨みを受けて呪霊に『堕ちる』ケース。
まぁ結局の所。
人の恨みや想いというものは強いのだ。
死後に干渉する程に、純粋で、重い。
そして、もう1つこの物語で知っておいて欲しいモノがある。……それは、この僕だ。
日生真実。『まみ』じゃない。『まこと』。
簡単に僕を説明すると。
記憶喪失で拾われた身。というのが殆どになる。
この珍しい苗字の日生もそこの苗字で、僕の記憶もそこから始まった。
そして教え込まれたのだ。
僕は、モノで。
彼女を守る盾になれと。