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M資金について調べる

―――――――――――――――――――――――


 M資金。

 GHQが大日本帝国の国庫たる日銀の倉庫より応酬した財産を母体としたもの。

 2010年代(この項目は随時更新)の現在の貨幣価値にて5300億円にものぼる巨額の財産を当時のGHQは秘密裏に運用していた。


 当初の運用は財閥解体時の不良債権処理などに充てられていたが、

 1948年に第二次トルーマン政権が発足し、1949年に送り込まれたACJ(アメリカ対日協議会)を中心とした使節団によってGHQが事実上乗っ取られると、


 その後の資金運用は当時米国トップクラスでかつ戦前の日本にて多額の出資を行って活動していた企業連合体が中心となって行われた。


 彼らは運用するにあたって最低限のルールを設ける。

 それは「自身の利益のために活用しない」ということ。


 運用資金はあくまで旧大日本帝国の財産。

 押収した以上は米国のものといえるが、米国のためや日本国のために資金を活用するのはまだしも自身の企業、例えばG.EであればG.Eのために使うといったような事はしない。


 以上の見解でACJの各人は一致し、他にもいくつかルールを設けた上で新たな体制での運用を開始した。


 その道のプロフェッショナルであるG.Eなど名だたる企業の者達によって運用されたこの資金は、当初戦後復興を目指す日本企業への出資という形で使われ、後の朝鮮戦争特需にてその資金規模を肥大化させていく。


 一方でGHQ最高司令であるマッカーサーが最後の力を振り絞った事によって一部が海上自衛隊を組織するための準備資金となり、


 朝鮮戦争時には米国に接収された海防艦の輸送費用などにもあてられてソ連による日本への再侵攻を妨げるだけの力を日本に与えるなど、


 終戦時の日本が経済的に疲弊していないことを裏付けるとても重要な存在な一方で、その運用自体は日本の戦後復興のために活用されたとする情報に偽りはない。


 ベトナム戦争に至るまでは……だが。


 いわば架空のゲームソフトで語られた「賢者の遺産」のようなものは実在したということであるのだが、その規模が最終的にどうなったかは後述しよう。


 実はこの資金自体は終戦直前に存在した額の3分の2でしかなく、残り3分の1は辻嘉六を通して鳩山一郎といった後の日本を支える政治家の手に渡り、政治資金に流用されている。


 流用した連中の多くは社会主義思想を掲げていた連中だった。


 思想的には全く笑い話にもならんが、2000億円規模の金額に上る財産物を彼らは盗み、政治活動に用いたのだ。


 ただ、この時の社会主義者は現在のような「国賊」とも言えるようなものではなく、あくまでその思想をもつだけで国を売るような行為はしていない。


 1960年代になるまで、日本の社会主義といえば純然たるマルクス主義そのものだった。

 それが某国に利用される隙を生んだのは1960年代以降だが、それについては別のレポートにて記すことにする。

 

 この「隠退蔵物資事件」と呼ばれるものは数ある日本の「政治とカネ」の問題の中でも突出した金額であるが、戦後の混乱期を利用して有耶無耶にされてしまっている。


 戦後復興の際の政治資金として一体幾らの金が浪費されたかはあまりにも複雑怪奇な資金の流れによって計算が難しくこの私にも不明だが、大きな流れで言えば日本と米国以外に流れたわけではない。


 ちなみに、この事件に最初に気づいたのはM資金を見つけたウィリアム・マーカットであり、資金運用を始めた際に「戦前に日銀が回収して金庫に納めた数と戦後我々が資金管理を始めた頃の数が合わない」と記録係が指摘したことからウィリアム・マーカットを中心に詳細を調査して判明したことである。


 余談だがウィリアム・マーカットが1952年まで日本にいたのも……いる事が出来たのもこの活動に長らく従事していたからだ。


 M資金となった財産物含めた多くの財物が金庫から消失した件が判明して事件が明るみになると、魔女裁判のようなものが行われて芦田内閣が早期に崩壊した要因野1つとなったのは歴史的にも有名な話だが、


 現代国家の裏には必ずこうした隠れた資本がある。

 資本主義においては尚更こういうものがなければ表立った行動は出来ない。


 その後のM資金がどうなったかというと、朝鮮戦争特需や神武景気、いざなぎ景気などで莫大な金額となったM資金は運用が続けられた一方で日本国企業などへの直接的運用は1960年代に終了して在日米軍のための有事の際の貯蓄金として資金運用しながら現在も残されている。


 ACJが定めたルールにより「本国内での資金利用を厳禁とする」という項目が設けられた結果、運用はあくまで「日本地域における米国のため」という形で在日米軍用の秘密資金となっているわけだ。


 その額2010年代の米国において6300億ドル相当。(随時更新)

 朝鮮戦争程度なら2回は乗り越えられる額だ。


 リーマンブラザーズが倒産した際、この資金を利用して米国経済のダメージを最小限にしようと本気で検討された事もあったが、


 何分、日本企業の有価証券や過去販売された日本国債なども多く含まれており、売却時に秘密資金が露呈する可能性や日米経済に大きく影響する可能性が考慮されたのと、


 何よりも資金運用ルールを逸脱することは許されないということで却下された。


 2018年現在の大統領もその存在を知っているが「有事の際に使うという割には簡単に売却できないものばかり。一体誰のための金なんだ!?」と思っているようだ。(2018年追記)


 恐らくそれもACJの狙いだったのだろう。

 彼らは明治時代から日本国に出資して成功を収めた企業。


 有事の際はレバレッジド・バイアウトなどを行わなければ使う事が出来ないようにすることで、日本国のために使うようになるよう、


 そして本当に「アジア周辺での危機的状況」でなければ簡単に使えないようにしたのだ。

 ACJの面々は過去から現在においてまで日本国内の企業に多額の出資を行っているが、


 かつては莫大な損失を被る事から日米開戦を避けようと躍起になった所、ルーズベルトやコーデル・ハルといった者達に潰された経緯がある。


 日本の戦後復興が早まったのも、戦後政策が転換されたのも彼らが大いに関係しているわけだ。


 M資金は何よりも「米国が二度と日本を襲うことがないように」米国の資産でありながら日本の抑止力となるようにした日本円にして60兆円以上にのぼる秘密資金であり、しかも実際に使うとなると金額以上に日米双方の経済が揺さぶられるようなものとなっていて、


 日本国自体はそれを把握していないが、実態として日本国と米国の2度目の悲劇を避けるための安全装置となっている。


 米国の資本家達は苦労の末日米にそんな仕掛けを施す事に成功したわけだが、資本家が戦争回避のための資本主義的な仕掛け細工を作り上げた例は他に存在しない。


 中東、アフリカ、特定アジア。

 このあたりはむしろ混乱が拡大するようにそういう埋蔵金が埋め込まれている。


 私が常々思うのは中華人民共和国は諜報組織能力の高さを利用してそういう存在を把握する一方、なぜかそういうものを真似する際に表立って行ってしまい、結果周辺各国から「笑いもの」にされていることだ。


 アジア諸国での投資活動は上記M資金を含めた秘密資金と同じような枠組みを作ろうとしたわけであるわけだが、


 表立ってやっても何の効果も無い。

 知られない所に金の動きがあるから効力を発揮する。


 それは例えば核兵器といったようなものを簡単に使えなくするような負い目にもなりうる力を持つのだ。


 ちなみにこういう秘密資金の中には税金対策と称して企業によって作られたものがあるのだが、私はそれを良しとはしなかったので、こっそり助言してパナマ文書などとして公開してやった。


 本来国家に流入すべき利益をプールすると経済活動が停滞してしまうんだよ。

 そんな形での貯蓄は許さない。


 最近の企業は理念なき志なき留保を利益追求のために作り出そうと躍起だが、黒い心で貯蓄された金は争いも生まぬ代わりに経済成長を妨げるものであって、私としては承服できない。


 最後に少々どうでもいい個人的な感情を書き連ねてしまったが、以上がM資金におけるレポートだ。


 地球の先進国が生み出した存在をメディアンの者達がどう捉えるかはさておき、口座や有価証券の詳細も添えてここに記す。


 地球西暦1989年2月16日。アーク著。

(以上のレポートは随時内容を更新するものとする。最終更新及び追記は2018年8月15日)


―――――――――――――――――――――――


 その内容は時間を忘れるほどのものだった。

 読み終えてからすぐさま再び最後まで何度も読み直すというのはムギの人生の中では初めての経験である。


 M資金とは日本の知らぬところで日本を守っているという米国の謎の秘密資金であり、戦後政策の転換を行おうと躍起になった者達が作った現実世界に実在する本当の意味での「賢者の遺産」なのであった。


 その額自体は日本円換算で約60兆円と国家予算1年分程度しかないが、その資金を何かに使おうとするとそれ以上の額が動くことになるよう仕掛けが施されており、日米経済の足場の一部を構築している存在と言えた。


 米国はこの存在を暗に仄めかすことで日米安保条約における駐屯地の展開について優位に動くことが出来るようになっているが、


 一方で日米同士の対立関係が生じないようになっている。

 双方にとって目の上のたんこぶにもなりかねない存在によって日米間の摩擦を回避する仕掛けは戦後70年を越えて日本国が平和な国家であり続けることを可能としたものだった。


 ムギは恐らくそれは「ソ連もといロシアに」絶対に日本が飲み込まれないようにする抑止力の1つでもあると考え、


 米国との強い関係を構築することにより米国自体が社会主義や共産主義に染まらない限りは日本が資本主義国家であり続けることが出来るセーフティの1つでもあるのだと理解した。


 アークはレポートの別添に「20世紀の米国内に真の賢者が存在した」とメモを挟んでいるが、見ればそう書きたくなる気持ちは理解できるとムギも納得する。


――でもこれは上手くすれば日本の外交カードにも使うことが出来るな……ODAという形で日本も似たような秘密資金を特定アジアなどに作ったことは知っていたが……うちの課長がこの資料を手に入れたら外務省に借りが出来ると喜んだかもしれない……。


――いや……国は知ってて知らない素振りをしているのかもしれないが……。


 ムギは他にも秘密資金関係のレポートがあるのを知ると、何か参考になるかもしれないのでそちらにも目を通すことにしたのだった――

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