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ターミナル
ターミナルの建物内に進入した。
前を行くモエが、新築の綺麗なフロアの上を、それはもう傍若無人に、ウキウキと疾走する。
「おい気ィつけろ」
「あん……あん……!」
苦笑せざるを得ない。無我夢中ってやつだ。まぁ、現世じゃ、こんなワルゴトできないからな。
こっちが注意しなきゃと、オレは今一度、声を張り上げた。
「そろそろだからッ。速度おとせよ!」
わかった、というハンドサイン。そして、いきなり掻き消えた。ゾーンアウト。
「やれやれ! なんという(オレの)アタッカー!」
自分もそのまま続いてゴールアウトを果たし、現世に転出する。動物のいなくなったコピー世界は、この瞬間消滅する。
そしてここは、初就航お祝いイベントで盛り上がる、新築フロア内だった。体質が元に戻ったモエと並び立ち――笑顔になり――
これは偶然だ。そこで真っ赤なワンピのオバサンと再会を果たし、事情を知った周囲の乗客の拍手と祝福を受けて――
笑顔――笑顔――肩に手を回して――
ま、一つ花を添えることができたのかも、ね。
ここに、一つのミッションを、成功裡に終えることができたのだった。




