検討
新幹線は快調に進む。オレの口調もこのうえなく滑らかになる。
「まず、大基本として、コースの向きは、おおまかに、西から東向きであるな」
「まぁ、そうだな!」
「地球の半径6371kmがメインのラインになる。それプラス、日本の部分(テラス長さ)。さらに、ムーの首都(地球中心)をゴールにしちまうわけ行かないから(ゴールアウトしてしまうから)、安全のために大陸の端っこまで範囲内に入れたい。弦の長さ7490kmだったから、これを採用してキリよく7500kmとしよう。これがケイブの長さになる――」
「そんな設定、ゲームが受け付けないだろう?」
「今はできるとして話を進めよう!」
「日本の部分、テラスの終端、つまりケイブの始まりが“どこかの海岸”として、ゴール地点はその直下方向7500km地点。となると、テラスの長さは少なくとも192km(全体長の2.5%)だ。海岸から西へ最低それだけの距離を取れる位置がスタート地点になる」
モエの分析にオレはおどけて降参ポーズした。
「おいどうしよう、たくさんあるぞ!?」
実際、こうしてみると、狭いとイメージしてた我が国も、なかなかに広い。
「実はボクは、キミの力を信じているんだ」
「おーい、丸投げかよ」
「ボクを、連れてってくれるんだろ?」
「相棒としてだ。オマエを同格以下と思ったことは1ミリもない」
「フフン。じゃあ、海岸は――東京だと思う」いきなり意見だ。
こちらも即座に対応する。出来なきゃ、コイツの相棒はつとまらん。
「図からして、太平洋に直に接してる所かと思ってたんだけどね。千葉県とか、茨城県とか。そのほうが、形てきに自然と、ムーと陸続きにつながる。その点、東京は……湾の奥に、窪まってるだろう?」
モエは楽しそうに指摘する。
「形の問題は置いといて……ムーの首都は、大陸の要に置いた、とキミは主張した。ならば、同様に大事な“扉”は、該当する国の首都に据えるのがふさわしい」
見え透いたワナかと思ったが成り行き上、突いてみる。
「時間軸に破たんがあると思うぞ? 順番は、扉が先なんだ。“そこ”に扉が置かれたのは確実に有史以前で、東京どころか、江戸も、縄文人もまだ影も形もなかったころだ」
してやったりと、モエはそれこそ悪魔のように、天使の笑みを浮かべたのだった。芝居っ気たっぷりに――
「キミが言いだしたことなのに! この日本は、巨大オリハルコンの上にあるんだろう? なら、扉の防御を固めるために、日本史を誘導するくらい、さほどの事でもなかったろう」
「恐ろしいことを言う……」
オレはモエのコーヒーを奪い取り、残ってる全部を、お下品にズビズビと吸い尽くした。
「……さすがは、春雪萌」目を見張る。
「どういたしまして――このナツナツが!」
まっ赤になって、モエが応えたのだった。




