1時間後…
ブクマお願い致します!
4話 1時間後…
今、俺とマヤは第一の街の中心部に向かって歩いている。先ほど暗くなった空はそのままで、未だに変化の兆しがない。最初はバグか何かか? とマヤと一緒に話していたがバグにしては直るのに時間がかかりすぎている。そもそも、バグが起きたなら運営側からお詫びの一言があってもおかしくない。
それがないと言う事は何かしらのイベントか何かと考えるのが道理りだろう。
現にそう考えてるプレイヤーは自分達で組んだパーティー達と
「何だこれ? イベントか何かか?」
「そうだろう。運営側がこっそり仕掛けたドッキリイベント的なやつだろ」
などと話している。
とにかく、今は中心部に行ってみよう。何か分かるかもしれない。
この後、あんな事が起きるとは俺もマヤも想像もしていなかった。
ーーー
「やっとついた。中心部…さっきはちょっと焦ってた分もあったけど意外にあの草原まで距離があるんだな…」
「知らなかったんですか? 本当に馬鹿ですね。リュートは」
「お前は黙っていろ。それより何か異変はないか?」
「はい、ずっとアイテムウィンドーを見てましたが何もきませんでした」
「やっぱりか…」
俺はコンソールを開き、メッセージが届いてないか確認した。と同時にナイスタイミングでメールが届いた。
「おっ! ちょうどメールが届いた…」
「本当ですか? 何て書いてあるんですか?」
「そう急ぐなよ…なになに…」
「どうしたのですかリュート? 顔色が悪いよ?」
「マヤ…お前の所にメールが届いてないか?」
「ちょっと待って下さい……はい、届いてます!」
「見てくれ」
「はい…わかりました…」
数秒後、マヤもリュートと同じようにまるで変なものを見たような顔になった。
「このメール…おかしいです…」
「ああ、差出人の名前がない」
「それにこれはどういうことですか?一時間後に第一の街の中心部に集まれ。この世界で生きたい者は……意味がわからないです」
「俺もだ……待つか?一時間」
「…はい、ここまで言うわれたら最後の「この世界で生きたい者は」って言うのも気になりますから」
「じゃー、一旦ログアウトして五十分後にここで」
「りょーかい! それじゃーまた後で会いましょう!」
「おう!じゃーなー」
そう言うと俺はコンソールからログアウトボタンを押すとゲームを後にした。
「ふう……何なんだ? あれは」
俺はそう言ういながらドアを少し開けた。そこにはいつも母が作ってくれたご飯が置いてあった。
母さん…ありがとう……たまには家族四人でご飯を食べるのも悪くないな…
俺は時計を見る。時刻は午後六時。丁度、ご飯を食べだす時間だ。俺は時計を四十分後にアラームが鳴るようにセットするとお盆を持ち階段を降りていった。
「でさ〜お父さん!」
ガチャン!
「あー!お父さんご飯が勿体無い! ちょっとお父さん⁉︎ 人の話を聞いてる?母さんからもなんか言って……二人ともどうしたの?」
父さんと母さんは階段に続く扉の方をずっと見ている。
「もう、どうしたの二人とも?ドアに何かいる…」
そう言ういながら朱莉がドアの方を見るとそこには晩御飯のハンバーグや味噌汁やご飯が乗ったおぼんを持つ龍輝の姿があった…
「お、おおおお兄ちゃん!」
「「龍輝‼︎」」
「久しぶり…母さん…父さん…」
「ああ! こんな日が来るなんて! 龍輝の顔がもう一度見れるなんて! 父さんは幸せだ! はっ! まさか、これは夢なのか? 俺は夢を見ているのか? 母さん⁉︎」
いやいや父さん……大げさすぎだろ?
「いいえ、私の目にもハッキリと写ってますよ、龍輝の姿が!」
母さんも大げさになってるな…
「お兄ちゃ〜ん!」
お前は今日の朝話しただろ!
心の中でツッコミを入れながらも家族からの温かい言葉と共に龍輝は三人に抱きしめられた。
「わぁ!ちょっ!ご飯が!ご飯が溢れる!」
「ああ、すまない…さあ、ご飯を食べよう!」
「うん…」
「お兄ちゃん! 今度からは一緒に食べるの?」
「たまにな…」
「「「やったー‼︎」」」
おいおい、親まで飛び跳ねて喜ぶなよ…
俺はそんな事を考えながら一年半ぶりに親と話をし、家族全員で集まり、夜ご飯を食べたのだった。
ーーー
自分の部屋に戻った俺は、鳴り響くアラームを止め、ベッドの上に座った。
「ふう……意外に楽しかったな……たまにはこう言うのもいいかもな…」
そう呟くと俺はベリアンを頭に被り、目を閉じるとゲームを開いたのだった。
ーーー
目を開けるとそこは先ほどと同じ第一の街の中心部。違うのは先ほどより明らかに人の量が多い事だ。やはり、あのメールは全てのプレイヤーに届いていたと言う訳か…だが一体何のためだ?
そう思っているとマヤが隣に現れた。
「あ、リュート。先に来てたんですね。それにしても人が多いですね」
「ああ、やっぱりあのメールは全プレイヤーに届いていたみたいだな…」
「そうですね……一時間まで後ニ分」
「ああ…」
何だか悪い予感がするな…
そして、ニ分が経とうとしていた。
「後、十秒…」
「はい」
三…二…一…
俺はアイテムウィンドーに表示される数字から目を離すと同時に鐘が鳴り響いた。
「何も起きない?」
そう呟いたその時、どこからか「塔の上に誰かいるぞ!」と言う叫び声が聞こえてきた。ざわめきと共に俺とマヤも時計塔の上に顔を向けた。その鐘が鳴る巨大な塔の上には確かに一人のフードを被った謎の存在が立っていた。
だがそこにはもう1つ、謎の物体が浮いてあった。
「何だ…あれ?」
その後ろには金色に光り輝く大きな時計が浮いていた。今この場にいる全てのプレイヤーがその謎のフードを被った存在を見ていた。そして、その巨大な時計の針が十二時から一に分針が動いた瞬間、その場にいる全てのプレイヤーの意識は消えた。
そして、次に目を覚ました場所は何もない無の世界だった。
今回も読んでいただきありがとうございます!
次回は今週中に投稿しますので是非、読んで頂ければ幸いです。そして、ブックマークいつでも読めるようにお願いします…