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第83話 パンツ

「私のクラスはE組か」


シルフィと一緒に歩きながらついに、学校へとたどり着いた。


歴史はそこそこあるものの、最近校舎を建て替えたこの高校は近代的な作りで大学のキャンパスみたいは風貌になっている。


この見た目もよくて私はこの高校を選んだと言ってもいいくらい。


早速クラス表が張り出されている掲示板を見てみると、E組の所に名前があった。

A組から順に見ていったから名前が無いのかと思って焦っちゃった。


「シルフィは何組だった?」



「私もルルと同じクラスだったよ!E組!やったね!」


「ほんとに!?良かった〜」


シルフィも同じクラスで安心。

少し人見知り気質な私は、友達を作るのが苦手だから初めはシルフィと行動をしたいと思ってた。

同じクラスだからほんとに良かったよ。


「ね、早速行こ!」


「うん!」



教室に入ると、初日という独特の雰囲気のせいか、教室内の雰囲気はどこか浮き足立っていた。

ワクワクするような、少し不安があるような。


そんな中でもシルフィはどこまでもマイペースで、座席表をパッと見ては、私を引っ張り席まで連れていってくれた。


「やったね!ルル!隣同士だよ!」


「だね、良かったよ」


名字で出席番号が決まるシステムのおかげで、シルフィとは通路を挟んで隣の席になることができた。


通路を挟んでと言うことは、もちろん隣にはちゃんと別の人がいるという事なので見てみると、既に誰かが座っていた。


私は意をけして話しかけてみることに。


「こ、こんにちは!私ここの席なんだけど、お隣さんですよね?今日からよろしく……」


……すっごい美人!

お人形さんみたい!

セミロングの髪に長いまつ毛。

ブックカバーをつけていて何を見ているかわからないけど、本を読んでいたその姿は妙に様になってる。


「あ、どうも」


私に気づいてくれたのか、読んでいた本を閉まって挨拶をしてくれる美人さん。

良かった、いい人そう。


「私、天舞ルルって言います。今日からよろしくね?」


「私は咲洲希桜(さきしまきお)って言います。私はとある方以外とは交流をする気は全くないので、これが最初で最後の会話になりますね」


「え?……」


え、えーとどういうこと?

これが最初で最後?

これで今後の関わりがない?

そんな寂しいこと言わなくても、


ゴトゴト


「あっ、」


机の中に閉まっていた本を再び取ろうとした時、咲洲さんの机の中から色々なものが落ちた。


見たことはないけど、たぶん盗聴器らしきもの。

見たことはないけど、たぶん盗撮カメラのようなもの。

見たことはないけど、たぶん、あっ、これは見たことがある、男物のパンツ……。



「失礼……」


何事も無かったかのように机の中に色々なものを閉まっていく咲洲さん。


なっ……

何今の〜!?

今のって普段絶対に生活上必要の無いものだったよね?

というか最後、パンツを拾い上げた時かなりだらしない表情だった気が……。


「ねぇ!ルル!」


「ん?何?」


「ちょっと探検しに行かない?」


「え?探検?」


「まぁ探検と言うよりは施設把握かな?トイレとか場所知っといた方がいいと思うし!」


時計にちらりと目を向けて時間を確認してみる。

まだ時間はだいぶあるみたいだから、シルフィの言う通り探検というなの、施設把握をしてもいいかもしれない。


「だね、そうしよっか」



「おい陽向。部室に戻るのか?」


「まぁな。式の間は何もしなくていいっぽいし、後やるのは後片付けだけだしな」


「じゃあ時間はあるんだな。よし!可愛い子チェックしに行こうぜ!」


「行かない」


「即答かよ。つまんねーなー」


そりゃそうだ。

何が悲しくて3次元の女の子、それも中学という輝かしい時代を捨て去り、高校生になるという暴挙を起こした女の子たちをなぜ見に行かなければならないのか。


「だいたいお前の考えてることは分かったぞ陽向よ。頭おかしいぞお前」


「おかしくなんかねぇーよ。中学を卒業した時点でその子の価値は終了だ」


「ひでぇな」


「だからこそ二次元は素晴らしい」


なんて言ったって身体の成長は無いからな!

心の成長は大いに結構!

じゃないと大人のゴニョゴニョが出来ないからな!

やべー考えただけでワクワクすっぞ!


「やっぱ陽向は別格だな」


「やめろその可愛そうな目で俺を見るな」


俺は全然可愛そうな奴じゃないのに失礼するぜ全く。


「んじゃな俺はまだやることあっからよ」


「おう。俺は部室戻るわ」



どうでもいい事なのだが、体育館は校舎と離れていて、渡り廊下を渡らなければ行けない。

その渡り廊下の一部は吹き抜けになっていてこんな春の季節なんかは風がよく吹き、女子生徒のスカートをよく挑発していた。


「キャッ……!」


まさか、そんないたずらな風が俺の目の前で吹き、なおかつ、新入生と思われる。金髪ツインテの俺ですら可愛いなと思える女の子のスカートを巻き上げるとは思わなかった。


……白か。

どうでもいい。


俺は何も見てない。何事も無かったかのようにその場を後にした。

横を通った時に、新入生の顔をチラリと見たのだが、顔はかなり真っ赤になっていた。


「陽向さん!」


「霧咲か、今から戻るのか?」


「はい!一緒に戻りましょう!それより、そんなげんなりとしてどうしたんですか?」


「いや、新入生と思われる子のパンツを事故とは言え見てな」


「普通の男性の方なら喜ぶと思うんですけど、そんなに嫌な顔をされると新入生の子が可愛そうになりますね。陽向さん!」


「ん?」


「じゃあ、私のを見ましょう!大丈夫です!安心して下さい!穿いてな」


「なんも安心出来ねぇよぉおお!!」


つか、霧咲なんて言おうとした!?穿いてなの後、なんて言おうとした!?

もちろん穿いてますって……無理じゃねぇかぁぁぁ!

なまで言ったらそっから変えれねぇじゃねぇかよぉ!


部室に戻るまでに俺は相当体力を削られた。



「シルフィ先に行き過ぎだって!ってどうしたの?」


「見られた……」


「何を?」


「男の人にパンツを見られた!」


「え!!えーとドンマイ。そんなに落ち込まないで、ね?」


「違うよルル。落ち込んでなんかないの。私は見られた恥ずかしさよりも、見た時のあのノーリアクションの反応が許せない!!」


「え?」


「だってノーリアクションだよ!?ノーリアクション!!というか最後ちょっと嫌な顔をしてたし!私のパンツを見て!酷いと思わない!?」


「えーと、確かに?」


男の人にパンツを見られたら恥ずかしいけど、確かにノーリアクションで最後に嫌な顔をされるのはちょっと酷いかな。


「今度あったらリアクション出来るくらいのパンツを見せる!」


「それは……おかしくない?」

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