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第72話 文化祭1

ついに始まった高校生活最初の文化祭。

今日から4日間の木金土日で行われる。


初日の今日は一般公開はなく、身内だけで行う言わば準本番と言ったところだ。

準本番だからクラスの出し物は明日からの3日間のみで今日は部活の出し物しかでない。


その分、文化系部活に所属しているやつらは専念できるため明日の一般公開に向けていい練習になる。

一般公開となると客が予想を超える勢いで来るらしいからな。

俺たちも明日からの一般公開に向けて練習を……となるはずなのだが、俺が所属している友人部はまさかの激混み状態で余裕なんかなかった。

もしかして学校の男子全員来てんじゃないの?っていうレベル。


ああ、朝の穏やかな時間が懐かしい。



「皆可愛いよ!」


「えへへ。なんか照れちゃいますね」


「そうですね。私は着ていたので慣れたと思っていましたけど恥ずかしいですし」


「わたくしは別になんともないですわね。慣れてますから」


「ここに来てのお嬢様アピール乙。……動きにく」


ポンコツさんがドレスアップした4人の姿を見て褒めまくっている。


桃たちはというと、霧咲と桃はなんだか恥ずかしがっていて、セラフィはやけにドレスが似合っていた。柏木は動きづらいドレスが嫌なのか、隙あらば脱ぐ勢いだ。


「ほらほら。瀬尾くんも皆を褒めなくちゃ」


ポンコツさんの言葉を聞いてか、桃たちはなにか期待をする目で俺を見てくる。

さすがの俺でも分かる。感想を言ってもらいたいんだろう。これは。


「皆よく似合ってるぞ。どこからどうみてもキャバ嬢だ。その3次元にしては磨き上がった美少女っぷりで金を巻き上げてこい!」


コイツらが稼いだ売り上げで俺、Blu-rayBOXを買いまくるんだ!!


「いろいろとツッコミどころはありますけど、ありがとうございます陽向くん!」


「ホテル代確保のために頑張りますね!陽向さん!」


「お前は頑張んなくていいからな霧咲」


霧咲には頑張らないでもらう方向にしてもらおう。

危険な匂いがするからなあいつは。


「おっと、忘れてた。エ〇アニメに出てくる」


「ようた!!」


セラフィをからかおうと思ったら怒られた。

なんだかセラフィの扱い方も分かってきたぞ。


「陽向さん……そんなに我慢出来ないなら……」


「来るな霧咲。よし、いいぞ動くなよ」


霧咲の扱い方は未だにわかんないんだけど、どうすればいいんだ?


「瀬尾。動きづらいから関呼んできてくれる?」


「俺の直感が智和に危険が迫っていると告げてるから無理だ」


柏木のやつ、動きづらいからって智和に着せる気だな。確かに前見た智和の女装姿は可愛かったけど、俺はあいつの親友だ。……売り上げがイマイチだったら呼びに行こう。何気可愛いからな智和の女装は。


「では、皆さん今日は学校内の人だけなので少ししかお客さんは来ないと思いますが、全員を呼ぶ気持ちで頑張りましょう!!」


円陣を組んだ俺たちに向かってまず、桃が士気を高めることをいう。


「よし。ほんとうにどうしようもなく、これ以上はダメだ。もしかしたら死んでしまうかもしれないっていう状況になったら呼んでくれ。俺は裏で飲みもんの準備とかしってから」


「どれだけ私たちを助けたくないんですか。陽向くんは」


「3次元の女の子を助ける義理はない」


「そんなキリッとした表情で言わないでくださいよ」


「明日から桃とセラフィはクラスの方もあるから桃とセラフィが入れない状況も確認しておくぞ」


今日もどうせこの3次元だが美少女なコイツら目的でくる男子共が大勢いると思うが、明日になると一般人も含めるから今日よりも凄いことになるとは予想できる。

それに、霧咲や柏木と違ってクラスのメインになっている桃とセラフィはどうしてもクラスの方に出なくちゃ行けない時があるから、その時に店を回せるのかも確認しておかなくちゃならない。


「すみません。明日からご迷惑をかけてしまって」


「申し訳ないですわ」


「大丈夫ですよ。私とかっしーで頑張りますし、明日は乙女さんも参加してくれますし!」


「最終手段で関を投入するから大丈夫」


「今日は参加できないけど、明日は任せて!二人の分も1番年上である私が頑張るから!」


「そうだぞ気にするな。クラスの方があるんなら仕方ない。明日はコイツらに任せておけって」


「あれれ?瀬尾くんも同じクラスじゃ……」


最後に気合い入れの声を出して、文化祭1日目は幕を上げた。



セラフィの知り合いの某老舗料理屋のの料理長に、ここ数日みっちり料理の修行をしてもらったおかげで俺はカフェとかで出されるレベルのものは早く、そして美味しく作れるようにはなっていた。


自分でもコツは掴んだし、もっと加速はしたくないか?少年。の勢いで料理を作れるのだが、いかんせん追いつかない。

注文が多すぎて、加速世界に飛び込みたいくらいだ。


タブレットにどんどん注文が追加されていき、俺はそれを目で追いながら必死こいて料理を作ったり、ドリンクバーの機械で飲み物を注いだりと忙しく働いる。出来たものは、棒回転すし店でも使っている新幹線を使って桃たちそれぞれが座っているテーブルに自動的に届くようになっている。

お嬢様2人が本気を出すと、学生の文化祭レベルじゃないものになってしまうのが怖いぜ!

今はこの忙しさが怖いけどな!

なんで初日から修羅場なんだよっ!!

そりゃ3次元だけど美少女が4人もいたら来ますよね!俺には何がいいのかさっぱり分からないが、予想を遥かに上回る数だよコンチキショー!!


「ふー。凄いお客さんの数ですね」


休憩になったのか、桃が裏にやってきた。

顔は朝とは違って疲れが出ている。


「な。頼んだもので女の子と話せる時間が増えるっていう方式にしたら全員ほとんどのものを頼みやがるし」


基本、話せる時間は3分程度にしたのだが、飲み物を頼むと+1分と言うふう方式にした。そうすれば馬鹿なやつらはドンドン頼むと思ったからだ。しかし、実際は全員が馬鹿だった。ドンドン注文してきやがる。


「客が多すぎて、しれっと分単位から秒単位にしたのにこの忙しさ。なんなんだよ」


「逆に回転数が上がって忙しくなっちゃいましたね」


「一応聞いとくが、やなことはされてないよな?」


「一応なんですね。大丈夫ですよ。私を含めて全員なにも嫌なことはされてないみたいです。貼り紙効果かもしれないですね」


貼り紙には、女の子には触れるなや、撮影禁止といった禁止事項を何個か書いてある。先生の写真付きで。


先生のパワーはすげーな。


「俺もしょうがないから監視カメラで一応見てるけど、何かあったら言えよな」


「はい!頼りにしてますね!すみません裏方に回れなくて」


「気にするな。こういうのは適材適所って言うだろ?桃たちが表で稼ぐ分、俺は裏で頑張るからさ」


「なら、私が手伝いましょうか?」


「ん?」


手を動かしながら振り向くと、どこかで見かけた銀髪美少女が立っていた。

つか、一応ここ関係者以外立ち入り禁止なんですけど。


「あなたはもしかして真昼さんですか?」


「そうよ。初めまして篠原桃さん」


銀髪美少女は真昼というらしい。

どっかで聞いた名前だ。


「あの、どうしてお手伝いを」


「私部活に入ってないから今日は暇なの。そしたら偶然に!偶然に!ここを通ったら大勢の人で溢れかえってるじゃない?そんな状況を見たら手伝おうかなって」


「どうします?陽向くん」


「手伝ってくれるんなら正直ありがたい。今この状況だと、忙しくてスマホでしかアニメが見れないからな。どうせならあのデカイモニターでみたいのに、忙しくてそこまで行けない」


「それだと忙しいのかどうか微妙な判断になりますよ陽向くん。真昼さんお手伝いお願いできますか?」


「やた!……んん。了解。任せて」



「皆お疲れ。よく頑張った」


やっと1日目が終了した俺たちは、ソファに埋もれるように座った。

疲れすぎて立つ気にならない。


「すごい数でしたわね」


「ですね。あんなに男の人と喋ったのは初めてです」


「疲れた」


セラフィ、霧咲、柏木とそれぞれ疲れた表情をしながら言った。


「真昼さんお手伝いありがとうございました」


「いいえ。気にしないで桃さん。私が好きでしたことだし」


「でもほんと、助かりました。おかげでモニターで嫁たちを見れましたし」


「結局見たんですね陽向くん」


呆れた桃の声が聞こえたが、気の所為だろう。


「よければ明日もお願いしたいですけど、明日からはクラスの方があるんでダメですよね?」


「そうね。私のクラスは深夜くんと私がなぜかメインっぽいからあまり抜けれそうにないものね」


「あのーもしかして真昼さんって3年A組の真昼さんですか?」


恐る恐ると言った感じで霧咲が聞く。

3年A組の真昼……3年A組の真昼……。

あっ!!


「そうよ?」


「「「「え?!」」」」


桃以外全員が驚いた声を出した。

知らなすぎだろ!お前ら!俺もだけどさ。


「あ、そうだ勝負しない?」


「勝負ですか?」


「そう。陽向さま……んん、そこの男の子をかけて」


「陽向くんを?」


「勝負内容は簡単。明日一日だけの来場者数を勝負するの。私が勝ったら明後日からの2日間そこの男の子を借りるわね。で、私が負けたら明後日からはこの部活を手伝うわ。どう?」


「いいだろう。その勝負のかった」


承諾したのは友人部の顧問である先生だった。

いつの間に来たんだ?つか、勝手にOKしないで下さい。


「ちょっと先生勝手にOKしないで下さいよ」


「考えても見ろ陽向。真昼が明後日からここを手伝うとなったら3年A組の売り上げと来場者は確実に減るだろ?そうしたら私のクラスが文化王になれる。違うか?」


「た、確かに」


そうなれば、買えるBlu-rayBOXの量が増える……!


「それに勝負というのは響きがいい。まるで少年マンガみたいで面白いじゃないか」


その考え方どこぞの間違ってる平塚先生みたいですよ先生。


先生の言い分を聞いて、ほかの奴らもやる気を出したみたいだ。どうやらこの流れは変えれないらしい。


(陽向くんを)


(陽向さんを)


(瀬尾を)


(ようたを)


((((渡すわけにはいかない!))))


「ふむ。真昼を含めた女子全員、私の独断と偏見で一番明日活躍したと思われるも1名に何でも命令できる権利を与えよう」


いや、それ俺だけ何の得もないんですけど。


「「「「「なんでも!?」」」」」


食いつき方がハンパじゃなかった。

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