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第70話 カウントダウン

「……え?」


瞬殺で橘の告白を断った霧咲に対して、告白した張本人の橘はあからさまに動揺していた。

それもそうだろう。

男である俺から見ても橘はイケメンだ。

自信が多少なりともあったに違いない。

俺があのイケメンフェイスで断られたら発狂するな。


「陽向くんもカッコイイですよ?」


俺の心をナチュラルに読んだ桃がこっそりと言ってくる。

桃よ変な気遣いありがとな。

俺の心は少しは癒されたよ。


「り、理由をいいかな?霧咲さん」


動揺している橘はなんとか口を動かして霧咲に理由を尋ねる。

俺もこのイケメンの告白をどうして断ったのか気になっていたからちょうどいい。


「理由ですか?」


「うん。どうして僕の告白を断ったのかなと思ってね。良ければいいかな?」


「そんなの決まってるじゃないですか」


霧咲は作業を一旦やめると、俺の近くまで来て


「大好きな人がいるからに決まってるじゃないですか」


と言い放った。


「好きな人?」


「はい。私の大好きな人は2次元の女の子が大好きで、私たち3次元の女の子なんて性欲処理の道具ぐらいにしか思ってない人ですけど、私はその人のことが大好きなんです!」


「いろいろツッコミたいところはあるが……。霧咲お前、悪いことは言わないからそんな男のことを好きになるなんて辞めとけ。後悔するぞ?」


二次元美少女が大好きで3次元の女の子は存在する価値なんてあるのか?否。価値なんてない。まず二次元美少女と3次元の女の子は対等ではないからな。天と地いや、天と無だなんて思ってる男のことが好きだなんて霧咲は変わってるなー。

つか、そんな男のことを好きになるなよ。

はっはっはー。おい桃よ小声で「酷いいいようですね」なんて言うなー。


「陽向さん。さすがの私でも怒りますよ?子作りしてもらうしかないですね」


「おかしいだろ!!なんで許して欲しければ的に言ってんだよ!」


だめだ。なんだかんだで絶好調すぎるな霧咲。

つか、逆にこんなイケメンに美少女であっても脳内お花畑の霧咲はダメな気がする。橘が困ってる未来しか想像できないし。


「じゃあ君はその好きな人がいるから僕とは付き合えない。そういうことだね?」


「はい。せっかくの告白だったので嬉しかったですけど、ごめんなさい」


「そうか……。じゃあ諦めるよ。皆さん邪魔をしてすいませんでした。僕はこれで」


そう言って橘は部室を出ていき、霧咲も自分のやっていた作業に戻った。


「もったいない。あんなイケメン他にはいないかもよ?」


部室が一瞬静まった時、柏木が口を開いた。


「そうですわ。ようたなんかよりもイケメンですのに」


俺なんかで悪かったなセラフィよ。

つかな?比べる相手がおかしいから。


「ほんとうに断って良かったんですか?霧咲さん。あんなにイケメンなのに」


「いいんです。イケメンには興味ないですから」


霧咲はイケメンには興味ないんだな。

だけど、桃たちの会話を聞く限りは桃たちはイケメンが好きそうだ。


「桃たちはやっぱイケメンが好きなんだな」


やっぱ普通はそうだよなー。


「「「全然?」」」


「なんなんだよ」



「というわけで、霧咲さんには好きな人がいるからダメだったよ。だから潔く諦めてきたよ」


「何諦めてるのよ!」


「え?」


「もう少しは努力しなさいよ!その無駄なイケメンはこの時のためにあるんでしょ!?」


「いやーどうかな?」


「まぁいいわ。作戦を大幅に変更するわよ」


「作戦?そんなこと聞いてないんだけど」


「文化祭でスタンプラリーがあるじゃない?」


「あー確かにあったね。クラスの女の子に誘われてるよ」


「そう。それを使うわ。シルクはもう一度霧咲夢希にアタックしなさい」


「もう一度?さすがに無理だと思うんだけど」


「大丈夫よ。今度はスタンプラリーに誘うだけだから。なんなら他の女全部とスタンプラリーをしてもらっても構わないわ」


「それもさすがに」


「やりなさい」


「うん。分かったよ」


「シルクが他の女立ちと回れば私は必然的に陽向様と……うへへー」


「真昼姉さん口が緩んでるよ。せっかくの可愛い顔がが台無しに」


「う、うるさいわよ!シルクに可愛いって言われてもしょうがないの!私は陽向様に……それはそれで恥ずかし……ゴニョニョに」



文化祭までカウントダウンにま入った頃、あの人は来てもらいたくないのに来てしまった。


「皆!お待たせ!」


「誰も待ってないですよ。ポンコツさん」


「瀬尾くん酷いよ!?」


だってほんとのことなんだもん。

なんで来たの?まじなんで来たの?

馬鹿なの?ポンコツなの?


「高校生がキャバクラを営業するのはダメだからいろいろと手配をって凄いことになってる!!」


部室の内装にやっと気づいたポンコツさんはめちゃくちゃ驚いた。


「ていうかこれ!本物のキャバクラみたいなんですけど!?」


ポンコツさんが驚くのも無理はない。

なんせ本物に似せて作ったからな。


部活の出し物は本来部費から出るのだが、これもまたある程度は実費で賄ってもいい。賄ってもいいのだが……。

本気をだしてはいけないやつが本気を出してしまった。お嬢様2人が。

つか、同じ部活にお嬢様キャラ2人はダメだと思う。収拾がつかなくなるから。


内装はどこからどう見てもキャバクラと言った感じで、ネットの画像みたまんまが再現されている。

また、セラフィの伝で本物のキャバクラを営業している社長さんに桃たちは接客やらを教えて貰っていた。

ここだけの話だが、壁をぶっ壊して増築してたりしてなかったりする。

お嬢様こえー。


「高校生がキャバクラをやるのはダメだと思ったけど、ここまでクオリティが高いとなると逆にやってもいい気がする!」


いやダメだろ。


「で、何しに来たんですか?迷子ですか?」


「瀬尾くん。私はもういい大人だよ?迷子なんて勤務中にしかならないよ」


「もっとダメでしょ」


警察官が勤務中に迷子になるってダメだろ。

よく警察官になれたなこの人。


「あぁそうそう。来た理由はね?上司に瀬尾くんたちがキャバクラをやるって言ったんだけど」


「は?上司に言った?」


「うん。相談しようと思って」


「このポンコツがぁ!!」


「え?なに?なんで怒られてるの私!」


そりゃそうだろ!

どこにグレーなことをやろうとしてますよーってバカ正直に報告するやつが居るんだよ!


「はぁまぁいいや」


「え、えーと、でね?それを言ったら私がキャバクラに参加するなら見逃すって言ってくれたから、私も参加するよ!」


「え?」


あのー警察の偉い人?

正気ですか?

次回からはようやく(多分!)文化祭に突入します!

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