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第62話 映画館

コスプレ衣装専門店から出た俺たちは、特にするあてもなく、ブラブラと歩いていた。


「さっきから気になっていましたけどようた?その手に持っている袋は何ですの?」


セラフィの服を買った時に貰ったフィギュアの袋を尋ねられた。

まさかほんとのことを言うわけにはいかない俺はテキトーに誤魔化す。


「これか?これは嫁に着せる服だ」


「まさかその年齢でお嫁さんが居ますの!?」


「四人居るぜ?」


「四人も!?」


ん?こいつまじで驚いてるみたいだけど俺の嫁が二次元美少女だって分かってるよな?

見た感じ分かってないような感じだけど、訂正するのも面倒いし面白いから黙っておこう。


「まさかこの年齢で四人も養っているとは……ようたは紳士?いえ、不埒?」


なんか、セラフィの中でさらに俺のランクが下がってるな。

不埒って戦国無双シリーズの稲姫からしか聞いたことねーぞ。


「で、この後はどうする?帰る?」


「そうですわね……買い物もすみましたし、特にすることも……」


まさか素で返されるとは思わなかった。

ぼう間違っている主人公風に提案したから、何かしらのツッコミがあるものだと思っていたのに。

いや待て。前向きに考えるんだ俺。

セラフィだってこう言っているんだ。ここは帰ろうじゃないか。そして、家に帰ってアニメ鑑賞会とシャレこもうじゃないか。

ヨッシャー!俺の休日はここからだぜ!


「どうかしましたの?ようた?ガッツポーズなんかしたりして」


「いや、デートって言ってたのに帰れると思って」


「デート?……そそそ、そうですわよ!ようた!これはデートなんですのよ?!帰るのはおかしいとわたくしは思いますわ!」


「今完全に忘れてただろ!」


「ちち、違いますわ!さぁ!デートの続きをしますわよ!」


「いんや俺は帰る!セラフィだって帰る的な感じになってだだろ?」


「子供みたいに駄々をこねないで下さいます?!それにわたくしは一つの買い物を済ませたら帰るのが習わしだと思ったので賛同しそえになっただけですわ!」


「まじでデートどころか買い物に来たことすら無かったんだな」


「わ、悪いですの!?」


「いや別に悪くはないけどさ」


俺だって基本的に家から出たくない派だからあんまり買い物とかで外に出ないしな。


「わたくしはお金持ちでこの美貌なので幼少の頃から特別な存在でしたわ」


「自分で言うか?普通。まぁ当たってるけどさ」


この自信、やっぱり某アニメの某イギリス代表候補生に似てるんだよな。

確かあのキャラは途中で主人公にデレるけどセラフィは……ならなそうだな。つか、誰にデレるんだよ。


「それが災いしたのかは分かりませんけど、異性からはもてはやされても、同性からは嫌悪されましたわ」


なんか、知らない間にセラフィの黒歴史がほんのんの口から語られようとしてるんですけど。


「その結果、同性からの買い物などと言ったお誘いはほとんどと言っていいほど無かったですわ」


「そうか……」


なんか、暗い話題になっちまったな。

悪いことしたなセラフィには。


「人から何かを買ってもらったのもようたが初めてで嬉し……なんでもないですわ!」


「いきなり大声出すなよ。びっくりするだろ」


心臓に悪いから辞めてくれよ。

それにな、3次元だけど美人なセラフィとかが大声を上げると余計に注目を集めるから辞めろ。

ヤロー共からの視線が俺に集まるからな。


「ではようた。デートの続きをしますわよ!どこに行きますの?」


「やっぱりやるの?」


「当たり前ですわ!」


チクショー!!


「しょうがないか。それじゃとりあえず飯にするか。いい時間になってるし」


「そうですわね。ようたが遅刻したおかげでお昼になってますわね」


「お前が服屋を見つけるのに時間がかかったからな」


「はい?」


「あ?」


セラフィが睨んできたので俺も睨み返す。

美人な奴が睨むのは怖いが、俺だって男だ。

引くに引けない時もある。


「……ふぅ。とりあえず飯にしよう。拉致があかない」


「そうですわね」


良かった俺の提案を受け入れてくれて。

受け入れられなかったらどうしようかと思ったぜ。

べ、別に怖いから提案したわけじゃないんだからね!



「お前って箸使えたんだな」


「バカにしてますの!?」


「いや外国人だからさ」


「お父様が橋の使い方は教えてくださいましたわ。今ではお寿司の食べ方もマスターしましたわよ」


「寿司って……箸か素手しかねーじゃねーかよ、食い方」


「うるさいですわね!……それにしても美味しかったですわ」


「だろ?俺もあそこは気に入ってるだ」


「女性があまり居なかったのが不思議でしたけど」


「早い旨い安い!&腹いっぱい食べれるのが売りだからな。仕方ねーよ」


「そうですの?」


ま、普通は牛丼屋に女の子を連れてかねーと思うしな。

デートなんてしねーから分かんねーけど。


「で、この後はどうしますの?」


「かえ」


「帰る以外でお願いしますわ」


「ちっ」


帰る以外って特にすることないんですけど。

俺はもう帰りたいんですけど!


「ようた。あれはなんですの?」


「ん?」


セラフィが聞いてきたのは映画のポスターだった。

今流行りの恋愛ものにSFもの。それに俺が前から見たいと思っていたオリジナルアニメの映画のポスターがたくさん貼ってあった。


「映画見たいのか?」


「映画館では見たことがないですわ」


「じゃ映画にすっか」


そんなに物欲しそうな目をされたら映画にするしかないし、考えるのがだるかったからちょうどいい。

とりあえず、映画館に俺たちは向かうことにした。



「あ……」


「また会いましたね!陽向さん!」


「なんでいるの?」


「映画を見に来たんですよ?」


「いや、それは分かるけどさ」


「陽向くんならここに来ると思ったんですよ」


「未来予知……だと!?」


映画館に入ったら桃と霧咲にまた出くわした。

なんなの?行動パターン読まれてるの?


「そう言えば、あそこに関さんも居ましたね」


「智和が?」


「はい。ほら、あそこに」


見てみると、ゴスロリの格好をしている人が居るだけで智和らしき人物は……ん?


「何をしてるんだ?智和」


「誰のことですか?」


「声を高くしてんじゃねーよ。バレバレだぞ?」


「見ないでくれ!」


「またどうしてそんな格好を……」


「私が着させた」


「柏木が?」


「そ」


トイレの後だったのか、手をハンカチで拭いている柏木が説明する。

なんで着させたんだよ。


「ようた何を見ますか?」


「え、あぁそうだな」


色々なことが起きすぎてて考えて無かった。

そういやセラフィと映画を見るたまに来たんだった。


「どうせなら皆で観れるものにしよう」

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