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第35話 Gの襲来

Gそれはなんの前触れもなく、私たちの前に現れた。

Gを前にすると、なんの準備もしていなかった私たち(特に私)は壊滅的ダメージを負った。いいえ、覚悟はしてましたよ。けど、予想以上でした……。


脱衣所でそれを見つけた時には、夢か、幻かと思いましたよ。まさか、ほんとうに地球上にはこんな生物がいるなんて……想像はしていましたが、実物を生で見るのは初めてのことで対応が出来ませんでした。


「篠原さん!気を確かに持って!」


「そうだ篠原。こんなんじゃやつが真の姿になったとき、お前は耐えられないぞ?」


Gを見て、立ちくらみを起こしてしまった私を霧咲さんと柏木さんが支えてくれる。

制服越しでもまさかとは思っていたのですが、やはり脱いだ時の、徐々にあらわになる、Gの姿を見ると胸が締め付けられる気待ちになる。

そして、そんな私に霧咲さんと柏木さんが励まの言葉をくれる。


「大丈夫ですよ!篠原さんだってこれから」


「そうだ。可能性を捨てるな!」


二人の言葉は、私の力の源になる。でも、でもここまで成長してしまったら可能性は……。


「それに、言いたくはないけどな、瀬尾は……」


「はい。陽向さんは……」


「分かってます。分かってますけど」


頭では分かっています。けど、けど!Gの衝撃は予想以上にすごいんです。


そして、Gは真の姿に……。


先にお湯に浸かって、気分が良くなっている私を嘲笑うかのようにGは悠然とその真の姿を現した。そして、私に迫ってくる。


Gが歩く度に、動く度に、揺れる度に、私たち(特に私)の精神はダメージを負う。


ボイン、ブルンとでも音がしそうなG。それを見る度に、聞こえそうになる度に、私のヒットポイントが減らされていく。


「うわーすごい眺め〜!篠原さんって凄いのね!」


一言、景色の感想を言ったあと、止めと言わんばかりに、Gを大きく揺らす。


「ぐはっ!」


「篠原さん!!」


「篠原!!」


やっぱり、Gカップは凄すぎますよ。



隣の女湯が騒がしいなと思いつつ、俺は一人温泉に浸かっていた。


「桃すげーな。温泉まで完備してるとは。ガチお嬢様だ」


桃の別荘は露天風呂の温泉が完備されていた。

汗を流すためにシャワーを浴びようとしたらここを進められ、正直びびった。

なんてたってシャワーから露天風呂にグレードアップしたんだ。びっくりしないはずがない。


「それにしても、今日はめちゃくちゃ疲れた」


時刻は夕方。夕日がいい感じに映えていた。

思い出すのはさっきまでの出来事。

霧咲を助けるためにヘリを追いかけたり、ヤローと遊んだり、散々だった。


婦警さんを召喚したのはもはや誘拐という事件になったからだ。それで俺の知り合いの婦警を召喚することになった。なんで知り合いなのかって?プライバシーに関わるから教えられない☆


地元とかの警察に任せると事情聴取とかされて、霧咲に余計な思いをさせてしまう。

極力そんなことをさせたくなかったので、知り合いの婦警さんに頼んだと言うわけだ。

けっこうポンコツだけどな。


婦警さんの知り合いの警察とかに男たちの身柄を渡すと思いきや、知り合いがいないと言われ、結局婦警さんが110番にかけるという珍事になった。

ちなみに番号間違えて時報と思われる相手に、「いいから来てください!そんなに時間を言わなくてもいいですよ!」と顔を赤くしながら抗議してたのは内緒だ。


明日も勤務だから帰ると言ったのだが、桃がせっかく来たのだから少しくらいゆっくりしてもと言ったので温泉だけ入って帰ることになった。


……。


隣の3次元共がキャキャキャうるさすぎる。

もう少し静かに入れよ。


でもまぁ、霧咲も元気そうでなによりだ。



「私の名前は藤堂乙女とうどうおとめ。瀬尾くんとは顔見知りって程度の中かな?あ、乙女って呼んでね!」


女湯の方では、私と霧咲さんと柏木さんによる婦警さんに質問大会が開かれていた。


今年で24になるという乙女さんは、笑顔が素敵で、大人の魅力も持ち合わせた綺麗な人というのが、私の感想。べ、べつに胸が大きくていいだなんて思ってないんですからねっ!


スリーサイズに好きな食べ物と簡単な質問をしてから、重要である陽向くんとの関係。どんな関係なのか怖かったけど、やっぱりというかなんというか納得のいく関係で安心しました。


「まぁ瀬尾だからね」


「陽向さんだから」


どうやら二人も私と同じような感想を持ったみたいです。


「乙女さんは陽向さんとはどこで会ったんですか?」


「ん〜と。初めてはあの日、かな?柏木さんと一緒にいたところに声を掛けた時だね」


「あーあの時。逃げ出した……」


「だってぇ!だってぇ!しょうがないと思わない!?」


その日の事を思い出しているのか、乙女さんは涙目になる。よっぽど怖い思いをしたのでしょう。


「「「あっ...(察し)」」」


陽向くんを知ってる私たちは一応に察する。

あの顔を初見でみたらそれは仕方ないですよ。


「あなたたちは瀬尾くんのこと好きなの?」


不意に、そしてド直球で質問される。

私を含めた3人はすぐに答えることができず、ただ顔を赤くしてしまった。


「こんな可愛い子3人を……瀬尾くんは罪深いね~。ん~ライバル多いな~」


え?それはどういう……

と聞く前に、乙女さんが聞いてきます。


「アタックはしないの?」


「えーと、その、なんというか~」


「してるにはしてるんですけど〜」


「瀬尾は3次元には興味がないから」


「興味がない?」


キョトンとしている乙女さんに、私たちは陽向くんがどんな人で、どれだけ二次元を愛していて、hshsしているかということを説明しました。


その陽向くんを私たちで3次元に向けさせようとしているということも話しました。


「なるほど……あの顔からは想像できないね」


陽向くんが二次元LOVEということを知って戸惑っているのか、乙女さんは苦笑いをしました。


気持ちは分かります。まさかあの怖い顔で、い、いえ!怖いだけじゃないんですよ?カッコイイんですよ?ライトノベルを読んでる時の横顔なんてもぅ……って落ち着きましょう。


んん。乙女さんの気持ちは分かります。あの顔で二次元が大好きで、暴力が怖いだなんてギャップがあるにもほどがあるってものですよ。戸惑う気持ちも分かります。


「でもまぁ、それは、それで……」


戸惑う表情から一転、乙女さんはぽっと顔を赤くしてブクブクと顔をお湯に埋めました。


「でもダメよね!いつか犯罪を犯すかもしれない!ううん。犯して欲しい!そうすれば私が逮捕できる!職権を乱用できる!」


これは、霧咲さんと同類の匂いがします。


「私も瀬尾くんを調教するのに協力する!」


「え?協力ですか?」


「うん!で、私にいい考えがあるの!」


「いい考え……ですか?」


「あそこにサウナがあるよね?男女共有って書いてある!」


((ぴくっ、ぴくっ))


「はい。ありますけど……まさかとは思いますけど乙女さん。まさか……」


「女の子の裸に反応しない男の子なんていない!」


「いやでも陽向くんですし……」


下着を見ても何の反応も示さない陽向くんが裸ごときで……い、いえ、もしかしたらワンチャン。あるかもしれません。少しでも可能性があるのなら!


「それに他の二人はもう行ったよ?」


「早すぎますよ!」



そろそろ上がろうかなんて考えていたら、隣から声が聞こえた。


「陽向くん!聞こえますか?」


「…………」


「陽向くんー!」


「…………」


「あっ、ダメですよ陽向くん……そんなところ……あっ!」


「お前は何をやってるんだぁー!!桃ぉおおお!!」


正直、桃が何を言おうが、やってようが、反応しないつもりだったのに、なに俺の名前を出してんだよっ!!誰にも聞かれないとはいえ、もし誰かに聞かれたらどうすんだ!


「いるんじゃないですか!反応して下さいよ!」


「温泉での受け答えはな!嫁とやるためにとってたんだよ!」


ちくしょう!また嫁の誰かとやるまえに3次元なんかの女の子とやっちまった!すまねぇ!


「で、なんだ?」


「サウナに行きませんか!?」


「サウナ?あーあれか。でもあれ男女共有って書いてあんじゃん」


いくら3次元とはいえ、女の子の裸を見るのは申し訳ない。あいつらだって好きな奴に裸を見せたいだろう。それに、あいつらは美少女だ。こんな俺に見せるのは勿体無い。


「大丈夫ですよ!私たちは水着を着ますから!」


「水着?それなら……」


いや待て。あいつらだぞ?素直に着ると思うか?

それに、一緒にサウナに入る理由はあるか?

さすが俺、頭が冴えてるぜ。


「そう言って着ない気だろ?それに、お前らだけで入ればいい」


「うっ……そそそ、そんなわけないじゃないですか!いいから一緒に入りましょうよ!」


なんか、めっちゃ動揺してなかったか?

はん!ここはなんと言おうとも断った方が……


「ちなみに、陽向くんが視聴してない春アニメのブルーレイがa」


「よし!行こう!」


べ、べつにアニメが見たいからじゃ無いんだからねっ!

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