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第19話 話し合い

放課後。


二つの意味で勉強をするべく、俺んちで開催される予定の勉強会について話し合うために部室へと向かう。


別に、話し合うためだからとかじゃなくても部室には行くんだけどな。


「うぃーす」


挨拶をしながら扉を開け、中に入る。鍵が空いているから誰か中にいると思いつつ。


桃は後から行きますとアイコンタクトで教室を出る寸前の俺に知らせて来た。友達と話していたからもう少しかかるんだろう。智和しかクラスで友達のいない俺にとっては羨ましい限りだ。


中には霧咲か柏木のどっちかか、両方いると思っていたんだが、あまり予想してない人物が中にいた。



「おっ、陽向か」


「珍しいですね、先生が部室に来るなんて」


多忙な先生は、中々部室には来ない。

だから、中にいるのは部員である霧咲か柏木だと思ったんだけど、まさか先生だとは。


「まぁな。またには息抜きついでに顔でも出そうと思ってな」


「お疲れ様です。先生。たぶん、もう少しで他の奴らも来ると思いますよ」


「そうか」


そういって先生はカバーがかかっていて、中身が分からない単行本?だと思われる本を捲る。


口元が少しニヤついているが、指摘したら何を言われるのか分からいから見なかったことにしよう。


友人部の部室には一部、カーテンで仕切られていて男子禁制の場所がある。中に何があるのかは知らないし教えてもらえないんだけど、たぶんそこから先生は単行本を持ってきたんだろう。共有スペースにカバーのかかった本なんてないし。


因みにだが、一応、女子禁制の場所もあるにはある。俺だけの空間が。まぁでもあれだよね?あいつらがちゃんとルールを守るわけないよね?カーテンなんて霧咲がクライムエッジを使ってズタボロにしたからね?「こんなのがあるのはダメなんです。隠し事なんてダメなんです。陽向さんは」って言いながらやってたからね?あの時の霧咲を見たときは背中がゾクゾクした。



「はぁ。やっぱりチョ〇パーはいいな」


読み終えたのか、単行本を机に置きつつ、一言いう。ん?チョップはいいな?何を読んでたんだ?



「さてと、行くかな」


単行本をカーテンのかかった一区画へと戻して来た先生が言う。


「え?もう行くんですか?もう少しで他の奴らも来ますよ?」


「べつに篠原たちに会いにここに来たわけじゃないからな」


「そうなんですか?」


あっ、息抜きでここに来たんだっけ?


「あぁ。さっきも言ったが、たまにな息抜きをと思ってな。学校で息抜きを出来る場所があるというのはいいものだな。感謝するぞ陽向」


「はぁ、ありがとうございます」


別に友人部は息抜きをするために作ったわけじゃ無いんですけとね。まぁ言わないけど。


「仕事、頑張ってください」


「あぁ。そりゃ社会人だから頑張るさ。仕事終わりの好きなものを見ながらの一杯のためにな」


「オヤジくさいですね」


「お前にもいつか分かるさ陽向。仕事がどれだけ辛くて、その仕事が終わったあとに呑む一杯の旨さがな」


「ですかね」


将来のことはあんま想像したことはないけど、なんか先生の話を聞くと将来のこと考えたくないな。……働きたくないでござる。


「因みに私は酒に弱くて、最初の一杯しか呑めないがな」


「先生の楽しみ瞬殺じゃないすか」


ハッハッハと軽快に笑う先生。

なんか先生のイメージと違った。

酒豪だと思ってたんだけどな。


「さてと、それじゃ、ちょっと絞めてくる」


「何をですか!?」


締めるって……先生が言うとシャレに聞こえないんですけど!


「ん?いうことを聞かない生徒(やつら)だが?」


「なんかやらかしたんですか?そいつらは」


この先生に絞めるなんて言わせるなんて……何をしたらそうなるんだよ。俺だって説教と卍固めしかやられたことないのに。


「やらかしたというか。変に真面目な奴らでな。最初は私も優しく指導していたんだが、だんだんイラッとしてきてな。爆発しそうになったところをここで落ち着かせようと思って来たわけだ」


「なんで爆発しそうになったんすか?」


「この学校には変な部活がたくさんあるのは陽向、お前も知ってるだろう?」


「ええ、まぁ」


この学校には多種多様、様々な部活や同好会がある。友人部もその一部だ。


「私をイラッとさせているのは、そのたくさんの部活の中でもトップの在籍数を擁する帰宅部の連中だ」


「あるんですねそんな部」


「まぁな」


「で、なんで帰宅部のやつらが先生をイラッとさせてるんすか?」


「もうすぐ考査期間に入るだろ?」


「そうですね」


「それでだ、一部部活動を除いて多くの部活動は活動を停止するよな?」


「まぁ、そうですね」


そのおかげで、家で勉強会をすることになってるわけだし。


「当然、帰宅部も例外ではない。だが、帰宅部が活動停止をしたらどうなる?」


「どうなるってそりゃ……」


家にどんな方法であれ、帰るのが帰宅部の活動なら、その活動を止めたとなると……っ!!


「そうだ。つまりは」


「家に帰らないってことですね」


「そういうことだ」


なんとなく先生が困ってるいや、イラッとしてる理由が分かった。

たしかに、考査期間で部活動を止めなきゃならないけど、それは……。


「変に真面目……なるほど、面倒くさそうですね」


「ほんとに面倒くさい。痣にならない程度の蹴りでもお見舞いしてやろうかな」


「暴力はだめですよ、先生」


「光の速さで蹴ったら痛みを感じないと思うんだが?」


「痣どころの話じゃ無くなりますから。それと、なんか先生には出来そうなんでやめてくださいね?まじで」


「冗談だ」


「目がまじですよ先生」


この目は俺にコブラツイストをやったときと同じ目をしている!悪いことは言わない!早く逃げろ!帰宅部!!



「すいません。遅くなりました。あっ、いらしてたんですね先生」


「おう篠原。まぁ、たまにはな」


「皆さんすいません!遅れました!あっ先生」


「よう霧咲。部室(ここ)で会うのは初めてだな」


「そうですね。よろしくお願いします!先生!」


ようやく、桃たちが部室に来た。

けっこう先生と話してたんだな。


霧咲と先生は部室で会うのは初めてか。たしかに、なんか新鮮だしな。


後は柏木が来れば全員揃うな。


「やっ〇ろー!げっ」


「教師に向かってげっとはなんだ。げっとは」


「さーせん」


おっ、柏木も来たな。

ていうか、柏木よ。真顔でやっは〇ー!って言っても……。そこは、がはまさんよろしく、元気良く言わないと。


「なんやかんやで揃いましたね先生」


「だな」


初めてじゃないだろうか?こうして部員と顧問が揃ったのは。


「まぁ、私はもう行くがな。あっと、そうだ。いいか?陽向」


「なんですか?先生」


急に真面目な顔になる先生。いや、いつも真面目な顔なんだけどね。今の真面目な顔よりちょっと怖い顔してるけどいつもは。


「やるんなら。避妊はしろよ」


「…………はい?」


「少しくらいなら目を瞑ってやる。だから避妊はしろ」


避妊って……。



はぁ、先生は分かってないなぁ。



「先生は分かってないですね」


「ん?何をだ?」


「なんで、俺が、三次元の女の子にわざわざエネルギーを使うよなことをしなくちゃいけないんですか?」


「真顔で言われると、すごい説得力だな」


そんなことにエネルギーを使うんなら俺はどうにかして二次元美少女(ヨメたち)とやれる研究を全力でするよ?


「お前たちも苦労するな」


「「「はい……」」」


最後に先生は桃たちにそういって部室を出ていった。


部室には残念そうに、いや、可哀想なものを見るような目で俺を見る桃たちがいた。なにこれ?



「では、さっそく、勉強会について話し合いますか」


先生が居なくなったあと、俺たち四人は座敷ゾーンにある丸テーブルを囲んで、勉強会について話し合うとこに。司会はもちろん桃だ。


「とはいっても、あとは日にちを決めるくらいしか無いんですけどね」


「場所は俺ん家で決まってるしな」


あとは特に決めることも話し合うこともとくに無いだろう。旅行に行くわけじゃないし。


「ううん。篠原さん。まだ決めないといけないこともあるよ」


かとも思ったが、どうやら決めなくてはならないことは他にもあるらしい。時間?とかか?


俺を含めた三人の視線が霧咲に向く。


そこには、いつものぽやぽやした雰囲気の霧咲ではなく、いたって真剣な霧咲がいた。


「それは……なんですか?」


桃もいつもの霧咲ではないと分かったのか、ゴクリとつばを飲み込んで真剣に聞く。


静寂な空気の中、霧咲が口を開く。


「どんな下着を穿いて…」


「よし!いつにする!?」


「陽向さんひどいです!真面目な話なんですよ!?」


「真面目にする話題じゃねーからな!?それ!」


くっそ、だまされた!

よくよく考えたら霧咲がまともな話題を出すはずねぇじゃねーか!


「でも大事なことですよ!?」


「大事……かもしれないが、今はいいから!そういうの!」


なんで、三次元の女の子の下着について話し合わなきゃ行けねーんだ。


「私は黒で行くよ」


「おい!続けるな!柏木!」


「えと、じゃあ私は……」


「言わなくていいから!考えなくていいからな!?桃!!」


「私は……へへ、見てのお楽しみってことで」


「あっ、見る気はこれっぽっちもないんで」


「なんでそこは冷静なんですか!?」


「当たり前だろ?」


三次元の下着を好き好んで見るような変態じゃないからな俺は。二次元美少女の下着は好き好んで見るけどね✩水玉に、縞々に、くまさんにetc……。


「陽向くん。そろそろ本気で病院に行きませんか?」


「おい、深刻そうな顔すんのやめてくれ。ほんとに病気になったんじゃねーかって思っちゃうだろ!」


「大丈夫だ瀬尾」


「ん?」


「(ニコッ)」


「頼むからせめて言葉で言ってくれ!」


柏木の笑顔ってなんか普段見慣れてないぶん、けっこう心にくるぞ!?あっ、ドキッとしたと言う意味ではないです。はい。


「はぁ、最近は柏木さんの事とかいろいろあって、2次元のほうには興味を薄めていたと思ってたんですが、やっぱりそうではないんですね」


「たりめーだ。俺を舐めんな」


「別に褒めては無いんですけど……」


そうやすやすと、二次元美少女(ヨメたち)から離れるような心は持ち合わせてねーぜ!!


「こうしましょう陽向くん」


「ん?」


「勉強会の前に私たちとデートをしましょう!」



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