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二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?  作者: ハタケシロ
第二章 そして集まる三次元美少女(部員)たち
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第13話 彼女は友達が少ない

「なぁ?智和?」


「なんだ?」


昼休み、俺は親友の智和に気になることを聞いていた。いや、気になる人かな。


「D組の柏木について教えてくんね?」



『……っ!?!!?』



「おい陽向。お前が柏木の名前を出すな。みんな怖がっちまったろ」


「なんでだよ」


すこし耳を澄ましてみる。

おかしい……昼休みなのに静かになっている。

まるで俺と智和の会話を聞くみたいにクラスの奴らが聞き耳を立ててる気がする。野郎の会話を聞いて何が楽しいんだか。

俺は二次元美少女の会話なら楽しめるけど。


「お前が不良の柏木について聞いてくるからだ」


「だからなんでだよ」


俺はただ柏木について知りたいだけなのに。


「お前に分かれって言うほうが無理だな」


やれやれといった顔をしている智和。

何が、やれやれだ。


「てか、なんで柏木なんだ?連合でも作る気か?」


「連合?艦隊なら作ってるぞ?」


愛宕とか愛宕とか愛宕とか……パンパかパーんっ!

ってノリで。


「はぁ。真面目に会話するきあんのかお前は?」


「なぜ、ため息!?」


親友の智和に見放されたら俺、死んじゃうよ?


「もう一回聞く、なんで柏木のことを知りたいんだ?」


なんでって、なんでってそりゃ……


「気になるからに決まってんだろ」


ガッシャーン



『しのちゃん大丈夫!?』


『いきなり椅子から落ちて!』


「え、ええ。だ、大丈夫ですよ」



桃がいる方から大きな音が聞こえたが、桃がただ単に椅子から落ちただけらしい。あいつが落ちるとは珍しい。


「気になるってなんで?」


そんな慌ただしい桃とは違い、智和は冷静に言葉を返す。


「気になってるのに理由なんか必要か?」


「それもそうだな」



『しのちゃんほんとに大丈夫!?』


「ええ、大丈夫ですよ。ぜ、全然大丈夫ですよ」


『けどしのちゃん!汗がすごいよ!?』


「陽向くんが3次元の女の子に興味を持ったことはいいこと……いいこと……それが私じゃないとは……」


『誰か!誰か手伝って!しのちゃんを今すぐ保健室に!』


教室の桃がいる付近では何人かの女子が集まっていた。

たくっ騒がしいな。

つか桃の顔真っ青だけど大丈夫か?



『夢希どうした!?』


「なんか、私にとってよくない情報が……」


『夢希!?おい!しっかりしろって夢希!』



チュー


チュー。


別にキスをしているわけではない。

紙パックのジュースを飲んでいるだけだ。


ちなみにだが、俺のファーストキスは小豆梓ちゃんと心に決めているからな!いや、もう二次元美少女なら誰でも……あんなことやこんなことがしたいっ!ってのが本音だけど。


放課後。俺は智和の情報を元に以前貼った部活勧誘ポスターがある、学校の憩いの場(知ってる奴、使ってる奴はわずか)に来ていた。

目的はとある人物……。

と言っても柏木なんだけどね!



ふと、ポスターを見てみる。


「うん。誰も触ったかんがないな」


普通なら、普通がどうなのか分からないけど、普通はポスターを少しは触ってみたりするものだと俺は思う。オリジナル二次元美少女のポスターとか描いてある文化祭のポスターとか俺触っちゃうし。

だけど、俺と桃の作ったポスターは触られた形跡が全くない。鑑識じゃないからほんとにそうか?って聞かれたら自信ないけど。


「場所悪いよなー」


憩いの場のいう事だけあってこの場所は快適に過ごせると俺は思う。

ベンチがあって、木々がある。うん、快適だ。たまに吹くそよ風もgood


しかし、とんでもなく遠い。つか、校舎なら離れすぎ!本気でこの場に憩いの場を作ったやつと話し合いたい。



スタスタと誰かが来る足音がする。


ここは悲しいかな通しか来ないので、柏木が来たんだと98%分かる。


「よっ」


俺は勇気を振り絞り柏木だと思われる人物に話しかける。

近くにいて顔がはっきりと分かるのだが、俺は完璧にこの人物が柏木だとは思えない。なんせ噂できいたのと一回程度しか顔を見てないからな。


それにしてもブレザーを改造し、中に着ているブラウスの袖をブレザーの袖とともに巻くっていて、スクばはリュック背負い、耳にはイヤリングで女子力が高いんだが、高くないんだが、とりあえず見た目は不良だと分かる柏木だと思われる人物によく声をかけたもんだ。


「……誰?」


柏木は俺に声をかけられたから止まったのか、俺が進行方向にいるから止まったのかは分からないが止まってくれた。


そして怪訝な顔をして聞いてくる。


……まぁ当然だろう。柏木が俺だと分かるはずがない。


「あ、お、俺はE組の」


よし、声は少し裏返ったが詰まることなく言えそうだ。

しかし、柏木は俺が自己紹介をいい終える前に言う。


「E組?あぁ。あんた瀬尾?」


「そうだけど……」


あれ?俺ってそんなに有名だっけ?

いや、隣のクラスだから知ってるのか?

名前を全校に知られてるのは桃と柏木くらいが1年の全校レベルだと思ってたんだけどな。


「なんで俺の名前を?」


「だってあんた有名じゃん」


「有名?俺が?」


「そ。D組の柏木、まっ私とE組の瀬尾って」


隣のクラスだから知ってるわけじゃ無さそうだな。


「え?なんで?」


「どっちも不良だって」


「…………」


「そんな、え?俺が?って顔すんなよ。その面で不良じゃないとありえないから」


「いや、いや、ありえないから!俺が不良とか!」


「鏡見ていいなよ」


鏡に映る俺なんてただのキモ顔だぞ?

この顔をどう見たら不良に見えんだよ!


「で?私になんかよう?」


「ああ、用と言うかその」


いけない、いけない。俺のことを不良とか言うせいで本来の目的を忘れるところだった。

俺は本来の目的である、あることを聞く。


「柏木お前ってさ」


さっき自分で柏木って言ってたんだから、この黒髪でよくよくというか、普通に美少女であるこいつが柏木で間違いないだろう。不良とかやんなければモテる顔してんのに。


そして、俺はどんだけ顔が美形だろうが、不良であることには変わりない柏木に意をけして聞く。


「アニメとか好きなの?」


俺が言ったとたん、柏木は目を見開き、明らかに驚きそして、動揺した。


「な、……なん……で」


「いや、その、左手に付けてるリストバンド」


柏木が左手に付けているリストバンドを指さしどうして俺がアニメとか好きなのかを聞いた理由を明かす。


「こ、これ……?」


柏木は自身が付けているリストバンドに目をやりますます驚く。


「これを分かったっていうのか?」


「分かるに決まってんだろ?俺を舐めんなよ」


伊達に二次元美少女たちと一緒に生活をしているわけじゃない。にわか知識だらけでもあるが俺は一応オタクだ。グッズの一つや二つ見ればどのアニメかなんて分かるし、アニメのグッズ商品だってわかる。


「それはあれだろ?去年の夏に放送されたオリジナルアニメの中学女子の交換日記で主人公の黛がつけてたリストバンドと同じ柄を買ったつもりが全然違うものだったのと妹の譲が買った時点で気づいたリストバンドだろ?まぁそのあとすぐに買い直して本編では同じ柄のリストバンドつけてて登場は三十秒程度だったけど」


俺がいい終えると、柏木はさらに目を見開いて驚いていた。俺が熱く語ったからではないだろうと信じたい。


「なんでそこまで……こんなマニアックな物を」


どうやら、俺が熱く語ったからではなかったらしい。純粋に俺がなぜ知っているのかに驚いているだけみたいだ。


「俺、あの作品好きだったんだよ。クラスでイジメられてる黛が表向きは黛をイジメなきゃいけない親友と裏では交換日記で通じていて、それを支えに頑張って耐えてるところとかさ。最初タイトルだけ見て、これはほのぼの系かなと思ってみたから裏切り感が凄かったけどな。はまり過ぎて学校休みそうになったくらいだからな」


「まさか……あの作品を知ってるやつがいるなんてな」


また、俺がいい終えると、柏木はふっと息を吐いて言った。


俺は久しぶりに語れて清々しいと感じていた。

やっぱりアニメを語れるのは素晴らしい。


「でもさ。これを付けてただけで私がアニメ好きって普通分からないでしょ?」


俺が余韻に浸っていると柏木が聞いてくる。

たしかに、ただリストバンドを付けているだけじゃ普通は分からない。もしかしたら何も知らずに買ったていうのもあるから。でも俺には根拠があった。


「普通はそうかもな。だけどそのリストバンドは妹が間違って買ったものでそしてその妹はお前みたいにウルフカット?だった。あの作品が好きじゃないとそこまでしないだろ」


「けどそれじゃ、一つの作品は好きでもアニメ全体は好きだとは限らないだろ?」


「だな。けど決めてはあれだ」


俺はそうしてこの憩いの場にあるベンチの一つに指を向ける。このまえ、ポスターを貼りに来た時にはあまり、周りを見ていなくて気づかなかったが、さっきじっくりこの辺を探索していたら見つけたものに。


「あんなに色んなアニメのキャラで痛くしているベンチお前のだろ?」


俺が指さすそこには色んなアニメのキャラでカラフルになっているベンチがあった。驚いたのは両端にキャラが座っていて、誰かが真ん中に座ると三人で座っているように見えるんだろうな〜というふうに仕様がなっているところだ。


柏木は痛くなっているベンチを見てふっと小さく息を吐き言う。


「そうだよ!そうですよ!私はアニメが大好きですよ!」


まるでわがままな子供のようにいった。

どうでもいいけど、柏木の一人称、私じゃなくてどう見ても俺、だろ。なんか見た目とのギャップがすごいんだけど。


「こんな不良がアニメ好きだなんてひくだろ?」


威勢が無くなり、今度は弱々しく言う。

それはどこか助けを求めてるみたいだった。


「気にすんな。俺だってこんな見た目だけどオタクだ」


俺は同意するように柏木に言う。

きも面でもオタクはいるんだ。不良だからってアニメが好きだっていいじゃないかと言うように。


「うん。それは引くわー」


あ、あれ?


「あんたの面でアニメ好きとか正直無理」


あれ?なんか、おっかしいぞー?


「つか、あと私に用ある?」


やばい。なぜか知らんがガチで引かれてるぞこれ。

なんとかしたいけど、どうすればいいか分からない。

ええい!早いとこあれを言っちまおう!


「よ、用ならある。つかこれからが本題だ」


「本題?」


「ああ」


放課後にわざわざ不良である柏木にお前ってさアニメ好きなの?なんていうのを聞くために俺は柏木を待っていたわけじゃない!つか、そんなこと怖くて俺にはできない!俺の目的はただ一つ!やっと見つけたんだから!


「俺とオタク友達になってくれ!」


俺の急な申し入れに柏木は戸惑っている。


「……友達?」


「あぁ友達だ。オタクのな。そのポスターを見てくれ。俺はその部に入っててオタク友達を探してるというか作りたいんだ。そしてお前を見つけた」


柏木と廊下でぶつかったとき、柏木が付けていたリストバンドをたまたま見てビビットきたぜ!こいつとなら深く話せれるってな!


「ふん。そうか」


「それと、これはあんまり言っちゃいけねーだろうがこんな、誰も来ないところに来て痛ベンチとか作ってるんだ。お前だってそういう友達がほしいだろ?」


これは遠まわしにお前は友達がいないって言ってるのと同じだ。でもそれは俺とオタク友達になれば解消できる。


「ふん。……ざけんなよ瀬尾」


トーンを低くし、俺の名を呼ぶ柏木。

それは「不良」の柏木を印象づけるものだった。


「なにが友達だぁ?ふざけんなよ!?それにな私にだって話せる奴らはいんだよ」


「それはオタク趣味を話せる友達か?」


俺の頭の中には智和から聞いた柏木が男と歩いているという情報だった。いま、柏木がさしているのはちがう奴なのかもしれない。


「……っ…!」


「あんまいい噂聞かねぇぞ?」


「てめぇには言われたくねぇ」


柏木の低いトーンの声に少し怯み、間があく。

けれど俺は声を発す。


「もう一度言うが俺と」


「私はお前とも、誰とも友達にはならねぇ!!」


その叫びは憩いの場全域に届いただろう。

そして柏木は俺を一瞥したあと、憩いの場を去っていった。



「桃居るんだろ?」


柏木が去ってから数分たったあと、放心状態からようやく立ち直り、俺はそこにはいないはずの人物の名を口にした。


「はい。いますよ」


しかし、その人物はかも当然のように姿を現す。


「私がいると分かっていたんですか?」


「いや、ただお前なら居るんじゃねーかなとは思ってた」


「あてずっぽで私の名前を呼んだんですね」


「まぁな」


少しの沈黙。

そよ風が気持ちよく感じた頃、桃が口を開く。


「残念でしたね」


「あぁ」


「3次元の女の子に興味を持ったと聞いた時には安心したのと動揺がすごかったのですが、陽向くんはただたんに友達が作りたかったんですもんね」


「あぁ」


「これからどうします?」


「あきらめれるはずないだろ。やっと深く話せそうなやつを見つけたんだぞ?逃がすわけにはいかない」


「積極的ですね。……悔しいですよ全く」


「協力しくてくれ」


「はい。いいですよ部長」


「柏木を落とす!」


「はい!落としま……え?」


なーに簡単だ。リアルでギャルゲーをプレイすればいいだけなんだからな。

この前痛車をみて思わずすごいって呟きました笑

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