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二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?  作者: ハタケシロ
二年生偏 第二章 新入部員と友人部の日常
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第108話 出さないからっ!

「瑞希!瑞希!って」


気絶した瑞希を何とか起こそうとする俺。

椅子に座ったまま、天を仰いで満足そうな顔は起こさなくてもいいんじゃないかとすら思ってしまう。


けれど、このままだとあんなに楽しみにしていた瑞希が、オフ会を楽しむことなく終わってしまう。

それだけは避けなくては!


俺も寝坊や遅刻その他もろもろなのでイベントを楽しめなかったことは沢山あったからな!

楽しめなくて終わるイベントほどつまらないものは無い!


ここはオタク同士助け合わねばならない!



「ううぅ。あ、あと少しで始まっちゃうね」


「大丈夫だよ!ルル自信もって!」


「薬さんなら大丈夫だと思いますよ。なんせ薬ですし」


「それは全然大丈夫じゃないよね!?」


本番があと少しという所で、私の緊張はピークに達していた。

指先ほ少し震え始めていて、心無しか少し冷たくなってる気もする。

それもそうだ。こんな経験生まれた初めてだもん。

こんな大勢の前で喋るのでさえ、躊躇してしまうのに、今日に関しては喋るどころか歌うんだから。


舞台袖で震えている私をシルフィと咲洲さんは激励してくれる。

シルフィはいつものように元気いっぱいに私に声をかけてくれて、咲洲さんもいつものように?私に力を貸してくれる。


「ルル大丈夫だから、いつも通りに歌えばいいんだよ」


「薬さん大丈夫です。もし緊張しすぎてゲボを出したとしても自前の薬で治せばいいんですから」


「だから私は薬じゃないから!」


なんだか、2人と話していたら緊張も少しほぐれて気がする。

こういう時の友達って凄いなって思うな。


「じゃあ確認だけどルル。本番がスタートと同時に歌いながらステージに出ていって、歌い終わったらそこからトークって感じね」


「うん。分かったよ」


「そのあとに生乳ですね」


「だから出さないからっ!」



「ん?おや、ここは」


「おっ、起きたか瑞希。良かったもうすぐ本番始まるぞ」


「本番?今日僕の出番は無いはずじゃ」


「何言ってるんだ?瑞希の楽しみにしていた天使のオフ会だろ?」


「天使?…そうだ!僕は天使様のオフ会に来てるんだった!」


オフ会の本番までほんとにあと少しという所で!瑞希は気絶から目覚めた。


色んな手を使って起こそうとしたが、最終的には天使の歌ってみたを聞かせたら目が覚めた。


さすが天使。

一人の人間を速攻で気絶させたかと思いきや、その歌声で自ら気絶させた一人の人間をこの世に復活させやがったぞ。


なんかこの瑞希の状態を見るからに、ほんとに天使は天使なんじゃないかと思ってしまうな。


実はさっきのアナウンスで瑞希以外にも気絶した人が数人居たのはここだけの秘密だ。


あちこちでバタバタって音が聞こえたもんな。


「ありがとう陽向くん。もう少しで一生後悔をするところだったよ」


「いや気にするな。こういう時はお互い様だろ」



「じゃあ本番だねルル!頑張って!」


「うん。頑張って来るよ!」


「生乳はいくらで出しますか?薬さん」


「だから出さないって!私のなんて見ても誰も喜ばないだろうし」


「それは無いと思いますよ。薬さん。希桜のデータよると女性の生乳は、需要が物凄いだとか。それも現役女子高生の生乳なら尚更です。とある人物を除いて皆嬉しがると思いますよ」


「そんな事言われても出さないからね?」


「ちっ」


「今舌打ちした!?」


「してませんよ。私の貧相な乳より薬さんの自前の薬で程よく育った乳は需要あると思うのですが」


「私のは天然だから!」


「ハハハ。2人とも仲良いね!」


咲洲さんにからかわれ、シルフィには笑われて、緊張も程よく解けていった私は、ついに覚悟を決める。


震えている手をぎゅっと握りしめて、深呼吸。

心臓の音はいつもより大きく聞こえるけど、大丈夫。

私には2人が付いているから。


「じゃあ行くね」


「うん頑張ってルル!っとその前に」


「なにこれ?」


行こうとした私を引き留めて、シルフィは私に何かをかぶせてきた。


「お面?」


「うんお面!これなら顔バレとかもしないし、少しは緊張もしないでしょ?ちなみに希桜が作ってくれたんだよ!」


「え?そうなの?」


「生乳を見せるのに顔バレしたら後々めんどくさいじゃないですか。それに今日はオフ会であって、顔見せでは無いのでそれでいいんですよ」


「生乳は披露しないけど、ありがとう咲洲さん!これなら臆することなく歌えるよ!」


「いいから早く金を巻き上げて来てください」


「巻上げは出来ないけど、行ってくるね!」


「それじゃ行くよルル!黒服!ミュージックスタート!」



聞き覚えのあるメロディが爆音でなり始めた。


ライブとかでも普通に使われるこの会場は、音楽機器の設備はそこらへんの会場よりも整っているらしく、オフ会なのにライブにきたと思わせるほどの臨場感を与えてきた。


スピーカーから流れる音で脳が体が、震え始める。


そして、なんと言っても


「Go〇 knows...か」


まさかあの神曲からのスタートだとは。

え?てかオフ会だよね?ライブとかじゃないよね?


「凄いね!陽向くん!初っ端から神曲だよ!」


音が爆音で流れているせいか、隣の瑞希は大きな声で俺に話してきた。

けっこうな大声だとは思うのだが、曲の音が大きすぎて、聞こえないくらいだ。


「まさか天使様が神曲から歌うだなんて、なんて素敵なんだろうね!」


「そうだな!」


天使が神曲を歌う。

なんて素敵な演出なんだ!


『うぉおおおおお!!!』


そして会場の声援が大きくなる。

そう遂に登場したのだ。

中学生かもしれないと噂される天使が!


ステージの上手の方から、歌いながら天使は降臨した。


地球に舞い降りた剣、もとい地球に舞い降りた天使と言っても過言じゃないだろう。

白を基調とした衣装は背中に翼が生えていて、ほんとに天使見たいたのだから。


「さすがに顔は隠すよな」


天使はお面を被りながらの降臨だった。

確かに顔バレもあるだろうし、もともと素人だ。

そこら辺は線を引きたいということなんだろう。


けど、残念だ!体のラインだけじゃ中学生だと判別がつきづらい!

くそっ!もっと3次元中学生を観察しておけば、体のラインだけで判別できたものの!


バタっバタっバタバタ


おいおい瑞希を含めほか数十人が天に召されたぞ。

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