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第97話 二次元Love野郎は金髪巨乳に興味が無い

「結局あいつあの時、なんて言ったんだ?」


帰り道、俺はジェットコースターの時の柏木がなんて言ったのかを考えながら歩いていた。


デート自体は、ジェットコースターに乗り、何個かアトラクションを乗ったところで解散になったのだが、柏木がなんて言ったのか気になってしょうがない。


柏木本人にも聞いてみたのだが、「なんでもない」と返されるだけだった。


てか、やり方が俺〇イルのゆきのんと一緒みたいだからやめろっての。

トキメイチャウだろうが。


「まぁ、特に重要なことじゃないんならいいけど」


深く考えるのはやめよう。

明日は連休最後の休みだしな。

とりあえず帰ったら寝て、そっから最後の休みを楽しむとしよう。

久しぶりに人がゴミみたいに多いところを1日中もいたから疲れたぜ。


柏木がなんて言ってたかなんて言う悩みは忘れて、明日の最後の休みにワクワクしながら俺は鼻歌交じりに気分よく家に帰った。



「お姉ちゃん。鼻歌なんてうたってるけどなんかいいことあった?」


「あら、シルフィ。実はですね?明日は出かける用事があってその準備が楽しくて」


「そうなんだ。友達と買い物とか?」


「みたいな…?とりあえず楽しみでしょうがないのですの」


「まぁいいけど、明日はお兄ちゃん来るみたいだから早めに帰ってきてね?」


「……え?…………うそ……」



ピンポーン


「ん?」


時刻は夜の11時。

チャイムが鳴り響く。


「誰だよこんな時間に」


俺の貴重なアニメ鑑賞タイムを邪魔するなんていい度胸じゃないか!

さっきまで寝ていて、おはようアニメを見始めようとしていたところだと言うのに!!

宅急便のお兄さん以外なら容赦しないぞ!なんて思いながら扉を開けると、そこには。


「ようたぁ」


エ〇アニメのお嬢様みたいな、金髪巨乳のセラフィが目に若干の涙を浮かべながら立っていた。


「どうした?エ〇アニメ。こんな時間に」


「もはや人ですらないですわ!」


軽いジョークのつもりで言ったのだが、めちゃ怒られた。


「悪ぃ悪ぃ。ちょうどそういったものを見ようと思っていたらお前が来たらつい言葉に出しちまったんだ」


「そう、ならいいのですけど……って良くないですわ!」


うるせーなー。

そんな玄関先で叫ぶなよ。

内容もあれだから、ご近所迷惑どころじゃない騒ぎにまで発展しそうじゃねーかよ。


「なんでそんな迷惑そうな顔を出来ますの!?」


「だってまぁほら、普通に迷惑」


「酷いですわ!」


たく、うるせーな。

てか、何しにきたんだセラフィは。

喚き散らしにでもきたのか?

こととしだいによっては、


「ようた!早速ですがデートしますわよ!」


「ん?デート?」


?を浮かべる俺。


「……え?」


こいつまじ?って顔しているセラフィ。


「は?……あ」


そして思い出す俺。


っべー!完全に忘れてた!

忘れようとしたんじゃなくてガチで忘れてた!

そうだ!セラフィがまだ残ってた!!


「その反応……まさか、忘れてましたわね?!」


「ハハハまさかそんなわけないじゃないか」


なんてこったい。

忘れていたぜこんちくしょう!!

柏木で最後だと思い込んでたぜ!!

そうだよなーセラフィ残ってたよなー。


「ほんとうですの?」


「ほんとうほんとう」


「むぅ。にわかには信じがたいですが、今はいいですわ。ほらようた。デートに行きますわよ!」


「いや、デートって言われてももう遅いぞ?」


忘れてたことには忘れていたが、さすがにやるには遅すぎるというか早すぎるのか?

とにかくもう、日付も変わりそうな時間にデートって言われてもな。


「やるなら明日にしようぜ?な?」


「ほんとうならそうしたいのですが、わたくしにも事情がありますし……それにこの場を凌いだらようた、明日はうやむやにしてデート自体をなくしそうですし」


げ、俺の考えがバレてた。

ちくしょう……。

うやむやにしてバックれてやろうと思ってたのに。


「1億歩譲ってデートに行ってもいいが、この時間帯に俺らが外出歩いてたら補導間違いなしだぞ」


「それもそうですわね。わたくしとデートできるとに1億歩譲ってというのは気になりますけど」


どこかのポンコツ婦警に見つかるぐらいならなんとかなるけど、普通の婦警とかだったら間違いなく補導になる。

まぁでも、なんでかは知らないが、俺と目を合わせる婦警とかはなんでか逃げるようにその場を立ち去って行くんだけどな。おかげで補導されたことがまだない。


「つかセラフィお前よく家が分かったな。来たことないだろ?あ、あるか。てか3次元とはいえ美少女であるお前が1人で出歩いたら危ないだろ」


いくら高校生になった女の子とはいえ、女の子は女の子。1人でこんな遅くに出歩くのは危ない。

なんなら高校生くらいの女の子こそ脂がのっていて食べ頃、なんて言われてるくらいだ。余計に危ない。

しかも3次元とはいえ美少女だ。二次元美少女Loveな俺から見ても相当だ。

こんないかにもエ〇アニメのヒロインです!みたいはやつを紳士共は放っておかないだろう。


「心配して下さるの?」


「まぁな」


友人部の部員だしな。

部員になにかあったら困るからな。


「そういうところがずるいですわようたは……」


「何か言ったか?」


「なんでもないですわ!」


そんなに怒らなくても……。


「でも安心してくだいようた」


「ん?」


「黒服に頼んで車を出してもらいましたわ。なので安心安全にようたの自宅まで来れましたわ」


「…………(ポリポリ)」


金持ちがっ!!!


「それにようたの自宅へのルートようたのルーティンなら、とあるサイトで入手できましたわ」


「え、なにそのサイト怖いんだけど……」


「会員じゃないと入れないタイプのサイトで、中々に厳重なセキュリティ一だったのですけど、クリスティアーノ家の誇る精鋭(ハッカー)たちが頑張ってくれましたわ!」


「こんのお嬢様がっ!!!」


ハッカーをたくさん携えてるってどんだけのお嬢様だよっ!


「てか待て。そのサイトのことを詳しく聞きたいんだが」


「だめですわ。教えられません!」


「なんでだよ!俺の個人情報がだだ漏れしてるかもしれねーだろ?!」


「たしか、そのサイトによりますと……自宅の他に、日々のルーティンとかも載ってましたわ」


「だだ漏れじゃねーか……」


「それによりますと……最近のようたのhshsタイムで」


「もういいそれ以上は言わなくていい」


もう辞めて!俺のHPはゼロよ!



「はくちょんっ!…む?今、誰か私の噂をしましたね?それにしてもひにゃたしゃま遅いな〜部屋から出てったっきり戻ってこない」



「ではデートに行きますわよ!ようた!」


「だから、こんな時間じゃどこにも」


「あ、そうでしたわ」


セラフィがなぜこんなにも焦っているのかは知らないし、興味もないが、どんなにデートをしたくても悲しいかな高校生の俺らには無理なんだ。


分かってくれセラフィ。高校生であるが故に無力な俺たちを。


「それなら仕方ないですわね」


「な?仕方ないだろ?」


「えぇ。仕方ないですわ」


「な?」


「ふぅ……。ようた。よろしいかしら?」


「なんだよ。改まって」


「こんな破廉恥な言葉、名家出身たるわたくしが言うのは、屈辱的なのですけど……でも仕方ありませわね。そう、仕方ないっ!」


もじもじとしながら、ぽしょぽしょと言葉を紡いでいたセラフィは、なにか自分の中で覚悟を決めたらしく、俺を一点に見つめると、勢いよく言葉を出した。


「お泊まりデートっ…!を、してもいいですわよ?」


最後の方は恥ずかしいのか俺のことは見ていなかったが、とりあえずセラフィの言った言葉に俺は反応出来なかった。


そして、脳がようやく言葉の意味を理解した時、俺は絶叫した。


「はぁあぁあああああああぁあああ!?」

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