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第92話 産婦人科

七夕の日に投稿していいタイトルじゃない気が……。

霧咲とのホテルに行くいかない騒動をどうにか、そりゃもう〜どうにか!収めて俺はようやく家にたどり着いていた。


あれからかれこれ2、3時間は押し問答を繰り広げてたんじゃないのか?

最後は夜も遅いから家まで送るという条件を提示してようやく解放されたけどな。

泊まった方がいいと思いますよっ!

ってずっと言ってきたけど、その度にいい天気だなーって答えてやったぜ夜なのに。


ぶっちゃけもうちゅかれたぼくちんねんね

と洒落こみたいが、これから俺は大事な


ポロン


不吉な通知音が鳴った。


すごーく嫌な予感がするが俺は内容を確認することに。


霧咲


これからhshsタイムですよね??


「なんで知ってんだよ!こんちくしょう!!」


思わず叫んでしまった。


どうしてこいつはいや、桃を初めとしたこいつらは俺の心を読んでみたり、俺の行動を予測できたりするのだろうか。


ポロン


霧咲


大きな声を出さないでくださいひにゃたしゃま。機械が壊れてしまうかも知れません。って来ましたよ?


………………


…………


……


え?


機械が壊れてしまうかも知れません?


ん??


ポロン


霧咲


あ、冗談なので安心してくださいと来ました!



………………


ふぅ…………



「安心できねぇええ!!!」


機械ってなんだよっ!

盗聴器か!?

俺の部屋には盗聴器が仕掛けられてるのか!?

前に確か希桜が仕掛けてるとか仕掛けてないとか言ってたがあれはまじもんだったのか!?

だから霧咲には俺の行動が丸わかりなのか!?

つか、霧咲と希桜仲いいなっ!!


一応部屋の中を一通り探してみる。


ないなうん。

ない。

盗聴器らしきものは見つからない。

テレビで得た知識で盗聴器はコンセントタイプのものだったり身近なものに成りすましていたりするという浅い知識で探したが、そんなものはなかった。


まぁだよな。

あったらあったらで犯罪だもんな。

なんかこんな状況前にもあった気がするが気のせいだろう。

気のせいだと信じたいっ!

この部屋に盗聴器類いのものはないと!



「ザザ……ザザ……安心できねぇええ!!!」


……


……


「だからですねひにゃたしゃま。そんなに大きなお声を出されますとせっかく設置した盗聴器類いのものは壊れてしまいます。私の設置した盗聴器及び盗撮機を探しておられるようですが、私は設置のプロ(自称)なのでさすがのひにゃたしゃまでも見つからないですよ」


薄暗い部屋で1人、咲洲希桜は独り言を言いながら陽向のことを観察していた。



ぶっちゃけて言おう。

絶賛寝不足だぜ☆!!


まぁそりゃそうだよなー。

盗聴器ある無い騒ぎのあとも霧咲からの続く怒涛の質問攻め。

挙句の果てに電話までしてきやがった。

俺のhshsタイムを邪魔して何が楽しいんだよこんちくしょう!!


そんなわけで、すごく寝不足だ。

なんてたって朝まで霧咲に付き合わされたからな。

智和あたりがこんな事実を聞いたら笑いながら俺をフルボッコにするレベル。

絶対にこのことは言わはいようにしておこう。

あいつとはいい関係でいたいからな。

秘密を隠している時点でいい関係なのかはさておき。


というわけで俺は霧咲に命じられた通り集合場所へと来ていた。

夜通しの攻撃に耐え感覚が麻痺している俺は、今ではなんと霧咲の命令通りに動いてしまう身体になってしまった。

なんてこったこりゃ将来社畜コースだな。

つか、これが霧咲の作戦なら怖ーよ。夜通し連絡して俺を思い通りに操作しようとしてるなら。


時間は朝5時。

早い。早すぎるバカ早い。


なんでこんなに早いのかと言うと、霧咲がフライングで昨日の夜デート(ホテルに行くという拷問)を開始しようとしたのが、桃を初めとした女の子たちにバレたからだ。


桃たち曰く、明確なルールは決めてないものの流石にこれはルール違反ということで、霧咲にはペナルティが課せられた。

それが、俺とのデート(拷問)は午前中までというもの。

俺にとってもありがたいペナルティかと思いきや霧咲はじゃあ集合時間を早めましょう!と言いやがりこんな早い時間になった。


でもまぁ早い分にはいいか。

その分今日の午後はゆっくりできるわけだしな。


「陽向さーん!」


なんやかんや考えていたらどうやら霧咲が来たみたいだ。

朝なのに凛とした声がよく通る。


「おー。おはよーさん」


「おはようございます!陽向さんっ!いい朝ですね!」


「俺のhshsタイムを邪魔されたのと、通常の休みならこの時間に寝ているのにというのを除けばいい朝だな」


「もうーなんでそんなに元気ないんですか?!これからデートなんですよ?デート!」


「逆になんでお前はそんなに元気なんだよ。つい30分前まで通話してただろうが。お前のマシンガントークが主だったけどな」


こいつは化物の類なのか?

なんで同じように睡眠を取ってないはずなのにこんなに元気いっぱいなんだ?

変な怪異かなにかに取り憑かれてるのか?

それならそうで納得いくんだが。


「そんなの陽向さんに会えたからですよ!」


「お、おう」


理由になってない気もするがまぁいいだろう。

これ以上深く聞くと霧咲ゾーンに入ってしまうからな。


「てか霧咲ほんとに調子よさそうだな。俺なんか家を出る前に鏡をみたらげっそりとしていた俺が映っていたんだが」


いもならhshsタイムで嫁たちのエネルギーを十二分に吸収して英気を養うところだったのだか、霧咲に逆に俺のエネルギーをこれでもかっ!ってほど吸い取られた。

恐るべし霧咲。


「そりゃそうですよ!陽向さんに会えると分かっていて調子が悪くなるはずなんてありません!お化粧の乗りもすごくいいですし!」


そういう霧咲は確かにうっすらと化粧をしていた。

普段はしているのか知らないが、もともとしてなくても肌が白くて整っている顔立ちをさらに化粧で磨きをかけたその顔はいつもよりも更に可愛くなっている。


「どうですか?」


朝5時という誰もいない駅前の広場で、少し頬を朱に染めて自分の服装を披露する霧咲。

昨日着ていた制服のわけもなく、今日はちゃんとした服装だ。

膝まであるチェック柄のスカートに白いブラウス。霧咲にしては珍しく落ち着いた装いだ。

この場面を写真にでも収めて、とあるルートから売ればいくらになるんだろうとか感がえてしまうくらい様になっていた。


「セカイイチカワイイとおもう」


寝不足と2次元の嫁たちの服装にしか興味の無い俺にとってはどーーでもよかった。

けれど、そんな俺でも可愛いと思えたので素直な感想を述べた。


「むぅ。でましたねテキトー発言」


「まさか。素直な感想を述べただけだ」


「あくびをしながら言いませんよ!はっ!そうですよね陽向さんはこんな格好じゃ満足できないですもんね。そうだと思って実はこの下には」


「いやー!!すごく可愛いなっ!ほんと!世界一!」


その服の下にはにも着てないと信じよう。



「あのー霧咲さん?」


「なんですか?陽向さん」


「ここは……えーと、なんなの?」


俺の目の前にはどこにでもあるような一軒家が建っている。

ほんとにどこにでもあるような。

二階建てで、外観も周りに合わせたようにモダンな色をしている。

少しだけ他の家と違うところはこのでかい看板だろう。

そして、なぜ俺がこんなに困惑しているかと言うと、この看板のせいでしかない。

看板自体には何にも問題は無いのだが、看板に書いてある文字に問題がありすぎる。

なんて書いてるのかと言うと……


「見てわかりませんか?産婦人科ですっ!」


俺の代わりに霧咲が元気よく、凛とした声音で言ってくれた。


まぁいい俺だって分かる。

霧咲は頭がおかしいってことにくらいはさ。

でもだ。どこの世界にデートで産婦人科に来ようとする現役女子高生がいるってんだ?

俺の尊敬する変態な横で……あ、行ってるわあの人も。


とりあえずこの言葉だけは言わせてくれ、というか叫ばせてくれ



「なんでだょおおおおおおお!!!!!」


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