表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

由奈ちゃんがともだちじゃなくなったから、わたしにはともだちがいなくなってしまった。

わたしはひとりで自分のつくえでお弁当を広げて食べはじめる。由奈ちゃんはおなじ教室でほかの子たちといっしょにお弁当を食べてる。あーあ。

王子様はお昼になると同時に教室からでていっちゃったし、なんだかご飯たべるのつまんないなあ。

由奈ちゃんがいない今や、わたしに話しかけるのは王子様だけになってしまった。

っていっても全然たいしたことはなしてないけど。王子様はみんなにやさしいからわたしに話しかけてるなんて、知ってる。どうせみんなみたいに内心はバカにしてるんじゃないかな。

まあ、どうでもいいや。そういうのって、なれてるし。


そう思ってたら、やっぱりねっていうことが起きた。


それはその日の放課後のことだった。

王子様はそりゃあモテる。プレゼントだって誕生日じゃないのにいっぱいもらってる。きょうも教室で照れてほおが真っ赤になった女の子からクッキーのプレゼントをもらってた。

王子様はにっこりとしたきれいな笑顔で「ありがとう。うれしいよ」と言った。


でもそれは嘘だったみたい。たまたま忘れ物を取りに行くために放課後に教室にもどったら、そのプレゼントをぐしゃっと握りつぶした王子様をみてしまった。


「あっ」


なんて、ついつい声をあげてしまうと王子様はすごい早さでこっちをむいた。こういう間の悪いところがダメなのかな?

王子様は怖い顔でつかつかとこっちに来て、「今の、みた?」と聞いてきた。頷くと王子様はハァーっとふかいため息をひとつついた。


「ま、おまえにみられたのは不幸中の幸いだな」

「なんでわたしならいいの?」

「バカだから。それにボッチだし。そんなおまえがこれを吹聴しても誰も信じねぇよ」

「たしかにわたし、バカだしともだちいないし、いう人いないや」


そう返すと王子様はへんな顔をして、「おまえってやっぱ、マジでバカだわ」といった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ