コンビニで決意
彼女を見送ってコンビニに入る。
中からずっとこちらを伺っていた店員さんの、
「いらっしゃいませ〜」白々しい声が響く。
陳列棚を整理するふりをして近づいてくる店員さんの肩はすでに少し震えている。
「こんな時間に帰ってきたってことは、玉砕か?一夜限りの相手にすらなれなかったか〜」くくっと喉を鳴らす。
「僕は、そんなつもり全くありませんから」
「なんだ、その余裕は?何があったんた?」
「ナイショです」話してしまうのが、惜しい。
「気持ちわりーな。マジでストーカーとか勘弁してくれよ。まぁ、すでにギリギリ?」
「ちょっと気にしてるんで、言わないでくださいよ」出会いはかなりギリギリだ。付きまとったと言われれば、そうなのかもしれない。でも、まとわりついたわけではないから、大丈夫だ、きっと。
店員さんは、新聞沙汰は絶対にダメだからなと顔をしかめながら、レジを打ちに立ち去る。
細い冷たい指、抱きしめた肩の細さ、ぽってりと柔らかい唇、からだに残っている。
あの人は、いつもああなんだろうか?
そばにピタリと寄ったり、手をとったり、キスをしたりするのだろうか?
僕だから?そう思うことはできない。
彼女の表情は曇り、どこか遠くを見ているようで、僕を誰かに重ねているようだったのだから。
始まったばかりだ。むしろ、まだ始まる前だ。
再来週の水曜日、今度は何をしようか、どこに行こうか。
水曜日を確実に休むために、全力で仕事をせねばならない。絶対にお客さんの用事を入れないように、雑用も、調べものも、水曜日は外す。
明日から残業を心に決めた。
あんまりにも短いので、
もうひとつ更新します。
お楽しみいただけますように(*´-`)