七境目。これにて……
極度の衰弱で当分は点滴と絶対安静による入院を余儀なくされた。
あの数日間は毎食欠かさず残さず食べたのに、胃の中は酷く空っぽだった。
あと数日そのままだったら、間違い無く衰弱死していたと看護婦はそう言った。
窓からの空は雲に殆ど覆われ、月明かりも乏しい眠れない夜。
灰色の着物を纏って、個室のベッドで仰向けのまま天井を見ていた。
「(おれを連れて行こうとしてたのかな…。)」
あの土地の話を聞いて、「厄」を押し付けられた女…。
そして手を掴んでいたあの骨は彼女だと確信した。
彼女は寂しくて自分を連れて行こうと…殺そうとしていたのだと思う。
「忘れよう………」
そう独り呟いて妙な寂寞感を振り払う。
どんなに寂しかったからと言って、自身は殺されかけたのだ。
それにもう彼女には会う事も無いだろう…と、本気でそう思っていた。
カーテンがふわりと舞い、風が病室を吹き抜ける。
余りに冷たい風にぶるりと背筋が寒くなった。
「寒…。何で窓が開いて………」
そう呟きながらベットから降りて窓へと近付き、窓に触れて…戦慄した。
病室の窓は嵌め殺しだ。
「何で、風が………」
その時、窓に触れていた右手が重なる。酷く見覚えのある細く白い手に。
酷く覚えのある………。
【やっと会えましたね、】
こんにちは、近道朽名です。
もう夏休みも終わりです。
その終わりに記念して、小説を書いて投稿しようと思いました。
処女投稿につき至らぬ所もありますが……。