話変わって、零境目。
昔、一つの集落があり,飢饉等の天災に村人達は困り果てていた。
何とかしようとも治まる気配は一向に現れず、
とうとう村人達は村を捨てる事を決意する。
ところが問題が持ち上がった。
村を出て、災いが着いて来てしまったら?
そうなってしまったら他の村に移住しても…。
災いを連れてきたと迫害を受けてしまう。
何とかしなければと頭を抱えていた時、
村長の倅は村人達に一つの言葉を言ったそうだ。
≪一人に全ての「厄」を押し付けて殺せば、
皆 災い無く,綺麗な身で村へ出る事が出来る。≫
何とも出鱈目この上無い思想であったが………、
村人達はその言葉に飛び付いた。
そして、その「厄」を押し付ける相手を…村長の倅は躊躇無く選んだ。
選ばれた者は一人の娘だった。
村一番の見目麗しさで器量良し。
村中の男全員が彼女に求婚をしてきた程である。
しかし女は村のどの男の求婚にも首を縦に振ろうとしなかった。
それが例え、村長の倅であっても。
それが何より気に入らなったのだろう。
可愛さかえって憎さが百倍。
鳴かぬなら殺してしまえ杜鵑。
それは村の男達も同じだった。
そして「厄」を押し付ける相手として選ばれ、激しく抵抗する女を無理矢理、凌辱したのだ。
村の女達は石を投げて殴って蹴って、暴力の限りを尽くした。
村の男達を惹きつける女の美貌を妬んでいたのだろう。
暴力と凌辱の果てに………女は美貌の面影が無い程に虫の息だった。
そうして村人達は嬉々として村を出た。
村には………、女の屍だけが残った。
女はさぞかし無念だっただろう。
まだ花も先ごろの乙女だったというのに。
村に意中の男がいないだけだったのに。
そしてやっと………見つけたのだ。