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え?誰?
初めてのドリンクバーに手間取りながらもカルピスをグラスに注ぐ梨津花。
「けんちゃんって何であんなに意地悪
なのかなー⁉もうっ…!」
少しムカムカしながら道を進み角を曲がり部屋に戻ろうとすると…
ドンッ!という鈍い音とともに梨津花の身体が後ろに倒れる。瞬間カルピスが零れて…
「嫌だーべちょべちょ…って…
もしかして…ぶつかっ…た?」
少し身体を起こし前ぽうを見ると。
前にぶっ倒れている人を見つけた梨津花。
その人はカルピスでべったりだった。
「いっつつつ……」
「あわ…わわ…わわわわ…」
慌てふためいていたらぶつかった人が起き上がって頭をさすりながら目があって。
「あっ…!瀬羅さん⁉」
梨津花には、分からなかった。
相手が誰なのか。
そして謙信ではない男だと思うと
表情がかたまった。というより凍った。
「瀬羅さん、ごめんなさいっ?
ハンカチ貸しますよっ…」
「っう!さわらないで…!」
とっさに手を振り払う。
身体はとっくに震えていた。
「…!瀬羅っ…さん…!?」
「…ごめんなさい。」
そう言い残して自分の
ハンカチを渡して走り去る。