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帰り道、寄り道
2人は黙って歩いていた。
謙信は梨津花の手をひいたままだ。
先をずんずん歩く謙信につまづきそうになりながらついて行く。
「けんちゃん…速い…」
「……」
「けんちゃん…?」
問いかけると謙信は足を止めて振り返って。
「その、さー。声とかどうにかなんねー?」
「えっ…?」
「あのねー。無表情の癖に…
その可愛い声に男がよって来るの!」
若干叫ぶように言う謙信に謙信だけに見せる表情の変化を見せて。
「けんちゃ…」
「りっか!もう、そんなことはいいから、
気分転換に遊びにいくぞ!!」
「えっ…えっーー!ちょっと!!
けんちゃん!!」
謙信といる時みたいに表情を変えられれば友達だって、まともな男だってよって来ると思うのだが…謙信も、家族もずっとそう思っていたがそんな夢は叶うことはなかった。
「りっか、どこ行く?」
「けんちゃんに、お任せで…」
「あー、もー!可愛い声、禁止!」
「あっ、はいっ…ごめんなさい」
「あやまんなって!ほら空気が重くなるの」
言い合いながらずんずん走って行く謙信。
たどり着いたのは…