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授業中の梨津花さん。
そんな優雅な昼休みを終えると
始まる五時間目の授業。
「…であるからして。
答えはどうなる?じゃあ、瀬羅」
「…よって答えはX=IYになります」
静かに答え腰を降ろす梨津花。
それを見守る、隣の席のお節介焼き。
答えを聞いた瞬間。
「りっか!ちげーよ!答えX=TVに
なるんだよっ!!」
「え… 先生、答えはX=TVで…」
「瀬羅、聞いてたの丸聞こえだったから。
はー…お前らは全く…じゃあ次行くぞ」
先生に飛ばされ焦ることもなく表情の変化もなく自分の番を終わらせる。
「りっか!次の放課教えてやろーか?」
「あ…ありがと、けんちゃん。
んー…週末うちの家でいい⁇」
真野謙信はゆったり話す梨津花のペースに合わせてうなづき、分かった、と返す。
本当にこの空間だけみれば彼女はまだ普通なのに。他の者とは話せないなんて。
誰も思わない、初めて見る人間なら。
「はぁ。可愛いな、瀬羅さん。」
誰も思わない、瀬羅梨津花に惚れている男がこのクラスにいるなんて。