風晴「場つなぎ感」
必要ですか?必要ないです。今後の展開に?関係ないです。
「何それ?」
ありすが何か大きな瓶を持って帰ってきた。
「日本酒よ。私は別にいらないんだけど、『日本酒の良さを知って欲しい』とかで貰っちゃったのよ」
「へぇー、飲むの?」
「私はいつもどおりワインでいいんだけど、時音飲む?」
飲んだこと無いから飲んでみたいと思う。ありすはよくワインとか飲んでるけど、頂戴って言っても「これは私のよ」って貰ったことないんだよね。自分でわざわざ買いに行くようなこともないし。
「じゃあ貰うよ」
「晩御飯のときに開けてあげるわ」
――――――夜になりました。
初めてのお酒……なんかどきどきしてきた……
居間のちゃぶ台にお酒のつまみになるものや、コップを置いてある。
「はい、どうぞ」
ありすがコップにお酒を少し注いでくれた。
「これだけ?」
「あんまり一気に飲むものじゃないでしょ?」
そうなんだ。テレビとかでは結構ゴクゴク飲んでるイメージあったけど。
「何をそんなに緊張してるのよ、普通に飲みなさいよ」
「えっ、あっ、うん」
思い切って飲む
…………………………あれ?なんだかぼーっとして……
――――――――――――――――――――
「どうしたの? 時音?」
時音が酒を飲んですぐにありすが異変に気づく。しかし、もう遅かった。ありすが時音のほうに様子を見に近づくと、
「ちょっと、大丈夫な」
そこまで言ってありすの言葉は切れる、正確には途切れさせられた。時音がありすの唇を奪っているのだ。
「んーっ///」
ありすは抵抗できないように手を押さえられていた。少しすると糸を引きながら唇を離す。
「時音っ……! ちょ……やめ……」
ありすは時音にそのまま押し倒される。
「うへへ、ちゅー///」
時音は抱きついてもう一度ありすの唇を貪る。ありすも諦めたのかされるがままになっていた。しばらくすると時音の動きが止まった。
「時音?」
ありすが顔を離し時音の体を揺さぶってみる。
「Zzzz……」
時音は寝てしまったようだ。それを確認したありすは体を動かそうとしたが、時音にがっちりと抱きしめられていて動くことは出来ない。
「はぁ……まったく……」
――――――――――――――
「ん…………」
目を覚ますとありすの頭が目の前にあった。
ん?あれ?僕は確か……ありすがもらってきたお酒を飲んでから…………思い出せな……痛っ!頭が割れるように痛い……これがもしかして二日酔いってやつかな?
「ん……時音起きたの?」
ありすがこっちを向かずに声を掛けてきた。
「とりあえず離れてくれない?」
ありすに言われ、自分の姿勢を今になって確認するとなぜかありすに抱きついて横になっていた。すぐに起き上がって解く。どうしてこうなっているのかわからないけど……。
「ええと……何があったのかな?」
「覚えてないの?あれだけ必死に私の体求めておいて」
「えぇ!?」
僕酔ってなんかやっちゃったの!?
「覚えてないのね、まぁいいわ」
そういってありすは立ち上がる。
「私は寝るからそれ片付けときなさいよ?あとお酒は残ってるからって絶対に飲まないでね」
そういってありすは自分の部屋に向かって行く。声を掛けてきたとき少し見えたありすの顔は目の下にクマが出来ていて、頬は赤くなっていたように見えた。
僕も起き上がり、部屋を……頭が痛いからもう少し後で片付けよう。
十話までで一章と考えていて、六話が妙に長くなっていたのであと三話でまとまってしまう……どうしようか?って思ったので場つなぎに