雨宮「学校回」
必要ですか?必要です。遅いですよね?遅いです。済まぬ。
7話でどころか6話でSoAの文字数超えてるじゃん。
眠い……あの後ハナに軽く説明をした。
ハナが言うには時音さんは空間、時間操作、瞬間移動のどれからしい。
記憶を読めばもっとわかりやすいと言っていたが、やっぱりそれは嫌だ。
あのとき変な妄想してたし恥ずかしいんだよ。
んで、話し終わった後も昼間にあんだけ寝たから眠くならなくてさ。
朝まで起きてたんだ。そして気がついた。思い出した。
今日は月曜日、学校じゃねぇか!
気づいたときにはすでに8時を過ぎていた。
どたばたと準備しているとハナが起きてきた。
「朝から騒々しいわね、どうしたの?」
「今日が月曜だって忘れてたんだよ!学校行ってくる!」
「ちょっと、私は」
「留守番しといてくれ!!」
それだけ行って俺は家を飛び出した。
急がなければ……人通りが少ない道を選んでと
「行くぜ!『高速』!!」
さっそく昨日習得した能力で走っていく。
速い速い、これならすぐ着くぞ。
『高速』を使ったおかげで時間に余裕が出来たかもしれない。
人が増え始めたのがわかったので『高速』を解いて普通に歩く。
携帯で時間を確認すると相当余裕が出来たようだ。
結構ゆっくり行っても大丈夫だな。
「わぁー!遅刻遅刻!」
すごくベタな台詞が曲がり角の先から聞こえたと思ったら、
案の定俺は走ってきた女の子にぶつかった。
食パン咥えてるとか本当にそんなのいたんだな。
その女の子が着ているのは俺たちの学校の制服だ。
リボンで学年もわかる。一年生のようだ。
お互いにしりもちをついてしまう……パンツは……見えない。
「いったー……ちゃんと前見て歩いてくださいよ!」
「あ、ごめん」
『お前がな!』と思ったが、言うのもどうかと思うから謝った。
「あーあ、足擦りむいちゃ……ハッ!遅刻しそうなんだった!」
「えーあのー?まだ10分ほど余裕ありますが?」
「え?何言ってるんです?もう3分も無いじゃないですか。」
俺は携帯を開き時間を見せる。
「……ぷっ!あははははははは!!それ遅れてるじゃないですかー!」
そう言って彼女は近くにあった時計を指し、自分の携帯も取り出した。
……やべぇ、マジで遅れてるじゃんこの携帯の時計。設定したの誰だよ。
何を隠そうこのわた……やめようこんなこと考えてる場合じゃない。
「あぁもう時間ない!遅刻確定!」
なんとなくあそこまでベタなことして遅刻は可哀想だと思ったので俺は一つ提案する。
こんなことで使ってるのバレたらハナ怒るかな?
「誰にも言わないならあと1分ほどで連れて行ってやれるけど……」
「え?本当ですか?お願いします!」
「あぁ、まかせろ」
そう言って俺は荷物を両肩に掛け、女の子をお姫様抱っこする
なぜかって言うとこれが一番走りやすそうだからだ。
「え……ちょ!まさか走ってですか?」
「そのまさかだ……『高速』!」
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一応1分前に着いたが学校につくころにはくたくただった。
普通より少し鍛えられた程度の筋力じゃ人を抱えるのは辛い。
そう思うと時音さんって本当に何者なんだろう。
「……ありがとうございました」
女の子はそう言ってすぐに走っていった。
その後俺は教室に入って気づいた。
教室に入るのに間に合わなかったら遅刻じゃないか。
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昼休み、弁当は急いでいて作れてないし、財布も忘れて食うものが無い……
「なんだ雨宮、お前食うもんねぇの?」
話しかけてきたのは暁洋、俺の学校での少ない友の一人だ。
入学したころに俺の前の席だったのでよく話すようになった。
2年になってからも同じクラスで実はうれしかったり。
暁の手には袋に入った大量のパンがある。購買で買ってきたようだ。
「母さんいないし朝忙しくてな、金も忘れたし。それ一個くれよ」
「なんでお前んとこの母さんいねぇの?これは俺の食いもんだ」
「土曜から勝手に父さんとイタリア旅行行っててさ、一ヶ月は帰ってこねぇらしい。いいじゃねぇか一個ぐらい」
「なんだそりゃ、昨日はどうしてたんだよ。これは俺の最低限の量なんだよ」
「インスタント食品が大量に買い込まれてた。どんだけ食うんだお前」
「健康に悪そうだなそれ。これの1,5倍は欲しいな。」
そんな話をしていると廊下から声が聞こえる。
最近どこかで聞いたような……
「雨宮せんぱーい!いないんですかー!」
叫んで呼ぶなよ、恥ずかしいだろ。
朝会ったあの女の子だ。何の用だろうか。
「なんだ雨宮、ついに彼女でも出来たか?彼女の弁当分けてもらえよ」
「そんなんじゃねぇよ。今朝会ったばっかだ」
それを言って女の子のところへ行く。
「何か用か?」
「放課後に話があるので残っててください。」
「え?今じゃ駄「それじゃあまた放課後」
颯爽と走って戻っていった。
クラスも名前もわからないから探しようが無い……
とりあえず席にもどって暁から焼きそばパン一個盗「おいコラ」
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放課後、あの女の子は一体俺に何の用があるのか。
「あ、逃げずにちゃんと残ってくれたね、雨宮先輩」
「逃げるような用件なのか……ところでなんで俺の名前とかクラスわかったんだ?」
「その辺の人に『足に速い変な人知ってますか』って聞いたら『雨宮じゃね?』って言ってたから」
……学校での俺の評価はそんなもんか。
「そういえば私まだ名乗ってませんでしたね、水谷蘭子です。」
「俺の名前は聞いてるだろうが雨宮速人だ。」
「そんなことより、先輩は能力者ですよね?」
「え……まさか……」
「そのまさか、私も能力者なのです。」
「で、どうしようと?」
「結局遅刻もしたし憂さ晴らししようと」
「そういうことか」
用件はわかった。じゃあ俺は逃げよう。
「『高速』!」
「逃がすかっての」
教室の出入り口に水の塊があって出ることが出来ない。
お前他に学校に残ってる奴がいたらどうするつもりだ。
水の中に突っ込みそうになったのを急停止して逃れる。
「水の中突っ込んでくれたらやりたい放題なのになぁ」
「世の中そううまくは行かないぜ?」
「でもいつまでも入り口の近くにいるのはラッキーですね」
「へ?」
水が俺の足を掴んでいる。そして……
「そのまま引きずりこむ!」
「逃げる!」
「出来な……えっ!?」
俺も逃げれるなんて思ってなかったが、なんとか高速移動で振り払えたらしい。
「なかなかやるじゃないですか、どんな能力なんです?」
「人に尋ねるときはまず自分からだろ」
「私は水を操る能力です、自分で水を出すこともできますよ」
おいおい……こんな誘導尋問に引っかかんなよ
「そうか、俺は逃げることが出来る程度の能力だ。さらば!」
いや出入り口は相変わらずスライムみたいななにかがいるけど
「『水砲』!」
すごい勢いで水が飛んでくるが、まだ俺の速度以下だな。かわす。
あ、こいつ窓ぶっ壊しやがった。よし、窓から逃げれ……ここ4階だった。
教室から出るにはやっぱこいつ倒すしかないのか。
あんまり女の子には手を出したくないんだが、
つーかさっき窓割りやがったから、人が集まってくる前に終わらせないと……
「よし、悪く思うなよ?」
「は?」
高速移動しながら水谷に体当たりする。
ぶつかったときに結構な勢いで飛んでいく
そして黒板にぶち当たる。やりすぎたな。本当にごめん。
教室の出入り口をみるとただの水がぶちまけられていた。
「痛ったー、これ骨折れてますよ」
「すまん、やりすぎた。」
「先輩、保健室行って先生呼んできて」
「保健室でどうこうなるようなものじゃないだろ」
「え?うちの保健医知らないの?」
「ん?あぁ使ったこと無いからな」
「じゃあ私を保健室に連れてってよ。まだこの時間なら残ってるだろうから」
「よくわからんがお前の言うとおりにしとくか」
また水谷を抱え保健室に向かう。
もうすぐ日が落ちそうだ。
保健室に着き、中に入る。
「失礼します」
「おーい鈴ちゃんいるー?」
「鈴ちゃん?」
「保健医の鹿乃鈴。私は鈴ちゃんって呼んでます」
すこしすると水谷が失礼な呼び方をしたにもかかわらず、奥から若い男の保健医が出てきた。
「鈴ちゃん言うな……ってなんだ?そんなイチャつかれたらイライラするだろ。どっかいけ」
抱え方のことですか?
「骨折れたから治してよ。あとこんな変人とイチャイチャとかしたくないし」
「変人に抱えられてるのは嫌だろう、今すぐ落としてやるよ」
「わぁーストップストップ!」
冗談だよ、冗談。
「ったく……朝も足擦りむいたとかで来たよな。今日どんだけ怪我したら気が済むんだ。」
「全部この雨宮先輩が原因です。あと2年3組の教室の窓も壊したから直してよ」
「壊れたじゃなくて壊したなんだな」
「それも雨宮先輩が原因です。」
「それはお前だろ!」
もしかしたら原因は俺かもしれないけど!憂さ晴らし名目で来たこいつが悪い。
「とにかく治して欲しいんだけど」
「こいつの前で治すのか……このアホが怪我させられるってことはそういうことか」
さっきからよくわからないが……治せるのか?
つーかいい加減持ちっぱなしはつらい……
「雨宮とやら、そいつをそこのベッドに移してくれ」
「あぁ、はい」
俺は言われたとおり水谷を保健室のベッドに移す。
あとはなんとかなりそうだし、めんどくさいから帰っていいかな?
「じゃあ俺はこれで……」
「まぁ待て、お前も能力者とやらなんだろう?あとでどんなものか見たいから待ってくれ」
「…………はい?」
え?ちょっとまって?水谷も能力者で、この鈴って人も?
「『元通り』……ほら、治したぞ」
鈴さんは手を合わせる動作をしたあと水谷に触れた。
それで治ったと言っているが……
「おーやっぱすごいね鈴ちゃんの能力は」
やっぱりこの人も能力者か。
火の男、時音さん、水谷、鈴さん、そして俺。
この町だけでこんなにいていいのか?
「さて……雨宮とやら」
「なんですか?喧嘩したいんですか?」
「んなわけねーだろ、さっきの見てなかったのか?俺のは喧嘩向きじゃねぇよ。ただこのアホを倒した能力っていうのはどんなもんか見たいだけだ。」
「能力ってそんなホイホイ見せるものでもないでしょ」
「鈴ちゃん、雨宮先輩は逃げる程度の能力だよ」
その嘘信じてたのか……
「……あぁわかったよ。お前がこいつに勝ったんじゃなくて、こいつがアホだったんだな」
「鈴ちゃん酷い……私手加減しただけだよ」
「手加減で骨折られるなよ」
まぁ……その通りだよな。
「じゃあ俺そろそろ帰りますんで」
「教室の窓直しとけよ?」
「……直してくださいお願いします」
「別に俺は喧嘩大会とやらは出ないし、能力に純粋な興味があるんだ。見せてくれるよな?」
信用するのもどうかと思うが水谷のせいで教室に残ってたのクラスの奴らにバレてるからな。
窓割れてるの完全に俺のせいだと思われるよな。
とりあえず見せて直してもらうしかないか……。
「俺の能力はただ速度を上げるだけです。水谷もその状態で体当たりしたら吹っ飛びました。」
「逃げる程度の能力じゃなかったんですか!騙したんですね!」
「騙されてるお前が馬鹿なんだよ……どんな速度かみせてくれ」
「『高速』」
その辺をすこし走ってすぐ立ち止まる。
教室のときも思ったけど室内で使う能力じゃねぇぞコレ。
「おぉー速いな。それで体力テストの50メートルとか走ってみろよ」
「嫌だよ!どんだけ目立ちたい奴だよそれ!」
「冗談だ。まぁ俺はめんどくさいときは能力で治してやったりするけどな」
仕事に都合いい能力ですね。
「さて、窓直しとくからお前ら帰っていいぞ」
「もういいんですか?」
「それ以上は何もないんだろ?」
「そうですね」
そろそろ暗くなってきたし帰るか……
「あ、もう暗くなってるんだから水谷を送ってやれよ?」
「鈴ちゃんさっきからアホアホ言いすぎだよ!」
能力者なんだし守らなくても大丈夫じゃないかとも思うんだけどなぁ。
「はぁ……それじゃあ帰りましょう雨宮先輩」
「あぁ」
そんなこんなで俺たちは学校をあとにする。
水谷の家は意外と近いようで、なんでこんな近いのに遅刻するんだよって言いたくなった。
水谷曰く「近いと余裕だと思っちゃうじゃないですか」とのことだ。
「そういやお前、いつから能力持ってるんだ?」
「人に聞くときは自分からって先輩が言ってたじゃないですか」
「あー俺は一昨日だ」
「一昨日!?そんな最近だったんですか!?」
「あ、やっぱこれおかしいのか」
「たった二日で扱えるようになったんですか?」
「昨日の午前中にやっただけだが……それもおかしいか?」
「当たり前です。力の元が最初はすぐ切れるから扱えるようになる練習は時間がかかるはずです」
ん?神の使いが力の元になるエネルギー貸してくれるんじゃないのか?
「先輩とんでもないですね、すごい才能です」
「そんな才能必要ないんだがな、ところでお前はいつからなんだ?」
「私は……3年前くらいですね。中学の入学したてのころです。あの時は何もわからなくてただ驚いてました。」
「最初は誰でも驚くよな」
「そうですね。そういえば先輩は能力者の大会とかでるんですか?」
「ん?あぁ一応な」
「じゃあライバルですね」
「今頃それ認識?」
「私、先輩は適当で夢とかない人だと思ってて大会にも興味ないものだと……」
「今日はじめて会ったよな?」
「戦ってみての直感です」
「そんな直感捨てちまえ」
そういえば優勝者は願い一つ叶えれるのか……
なんか考えとかないとな。
「先輩、私の家この近くなんで」
「あぁ、じゃあな」
「また明日も会いましょう」
水谷と別れ、俺も家に直行する。
もう8時か……
家の戸を開け
「ただいごげぶっ!」
帰ってくるなりハナが顔面に飛び蹴りしてきた。
昨日もこんなことあったよな。
ずっと書いてましたよ?短編とかゴミとか増やしながらも。
あと、どっかで見たことある名前があるのはご愛嬌。
謎が謎すぎて作者にもよくわからない現状。