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イグナイトスター  作者: クリスタルラブ
始まりの世界
3/3

師弟関係


「早く行くぞ」

ローズに遅れながら早歩きで訓練場まで向かう。相変わらずガラッとしていて人の気配がしない。


「来たな。隣にいるのは……ローズか?」


ローズは少し気恥ずかしい様子で手を振る。

「メーク様。お久しぶりです。相変わらずお元気で何よりです」


「見ない間に立派になったな。雰囲気で分かるぞ。あれからも努力したんだな…」


「私には勿体ないお言葉ですよ」


彼女はニッコリと笑っている。


「本題に入るが、今日の訓練は想像の力を制御して代償を小さくいかに効率よく戦えるか見る」


僕の右手についてある機械を取り外してシミュレーションを開始する。


「こればっかりは感覚とコツを掴むしかない。実戦を積み重ねて見つけてくれ。貴方だけのイマジナリーを」


「まずは吉夢級からだ」


黒い渦の中から鋭い刃を持っている謎の影があらわれた。敵は不敵な笑みを浮かべている。


右手から出来損ないの刀を作る。敵は少し虚を突かれた様子を見せる。しかし強敵を見つけたように好戦的な目線で見つめる。


こちらから仕掛けてまず弱点と思われる赤いコアを貫く。しかし鋭い刃に阻まれてしまう。それでも、体を上手く使い刀をはじき飛ばす。一瞬の隙をついて首元に刀を通し倒す。


ホログラムは淡い小さな光となり消えていった。


少しひんやりとしたフィールド内に新しい敵の気配がする。敵の奇襲を何とか刀で受け止める。金属の叫び声が響く。


埒が明かない。そう思い必死に頭の中で考える。だんだん押され始めて焦りで唇を噛む。


だんだんと刀から軋む音が聞こえる。


ついに刀が限界を迎えて真っ二つに折れた。その瞬間深い絶望に包まれる。右手の感触は無くなり見える世界はスローモーションになる。


なんで戦うのだろうか。このまでして何がしたいのか…

 

(諦めないで)


誰かの声が直接脳に響く。もう刀は折れている。こんな状況で勝てるわけない。



(もし…折れなかったら…もっと…強い刀なら)


ふとそんな事を思った。その瞬間両手が白い光に包まれ攻撃しようとした敵は異様な空気に後退りした。


刀が復元して先ほどよりも光沢がある。敵は怯まずにこちらに直進してくる。


「ソンナモノコワシテヤル」


敵の行動を予測して刀を作り変えて盾を生成する。敵は目を見開き、振り上げた刀は根本から折れていた。


盾を刀に変えて心臓を貫いた。そしてホログラムはまた消えた。心臓の音が酷く聞こえる。


(諦めない力が貴方の勝利に繋がったのよ。今は少しお休みなさい)


誰かに優しく肩を撫でられた。戦う理由はここにあったのかもしれない。


膝からぐったりと倒れてしまう。地面はひんやりとして熱く火照った体を冷やす。シュミレーションが終わり彼女達は急いで駆けつける。


「大丈夫?!無理しないで!」

メークが体を揺さぶる。


「目を開けて!閉じないでお願い…」

ローズは泣きそうな表情で見つめる。


メークは少し冷静を取り戻し落ち着いて話す。

「ローズ大丈夫よ。代償が来たのよ。少し経てば良くなるわ…」


頭痛に襲われ意識がぷつんと切れた。


――――

「貴方…無茶しないで」

謎の幻影が僕の肩に触れる。しかし感触は感じない。

 

「少し集中しすぎたかな…あはは…」


「笑い事じゃありません。体を大切にしてください。見てるこっちがヒヤヒヤしますよ…」

彼女の言葉には棘はなく優しい声色だ。


「貴方がここに来るの何回か覚えてますか?」

「初めてじゃないの?来た覚えないけど…」


幻影は少し俯いて目を閉じる。

「覚えなくて大丈夫です…思い出す必要もありませんし…」


「貴方の記憶は消されますからね…これだけは忘れないでください…私の名は、エティ……」


その瞬間意識が朦朧とする。最後まで聞き取れずに水に沈んでしまう。


――――

「……か……大丈夫か…………大丈夫か?!」

目覚めるとローズの膝の上で寝ていた。

痛む頭を抑えながらゆっくり起き上がる。


「無理しないで。バイタル値の揺れがまだ不安定よ」


「このまま不安定に入れば夢窮状態にもなりえる。ゆっくり深呼吸して」

メークに促されゆっくり心臓の鼓動を整える。小刻みに震える心臓も少しずつ正常な動きに戻りつつある。


「夢窮状態って?」


メークは少し話しづらそうに答えた。

「自分の力が暴走するのよ。自分の意思で体がコントロールできなくなる。力を解放しすぎると起こる現象よ。今は治療法がなく…一度なったら二重人格のようになって…無意識のうちに誰かを傷つけてしまう…そうなった人は…遠い森の中に…実際になった人がいる…目の前で見た…」 


「そっか………じゃあ…なる可能性もあるってことか…」


ロースが機械を操作し心拍を確認する。


「少し…安心したようね」

ローズはホッと息をついた。少し寂しそうに空を見上げた。


少し遠くの雲が黒く不吉な予感を示唆していた。


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